1215「来年、2日間読書で休みます」

都合で、日曜日に上海に戻る便を福岡発に変更したので、連日yumaさんにANAの株主優待券をもらって九州に来た。

珍しい日本での週末なので(普段、子供のサタデースクールの送迎を担当しているので、なるべく土曜日にはニューヨークにいるようにしている)、いろいろ行きたいところに行くチャンスではあるが、ニューヨークの次男が体調を崩してしまったらしく、心配でわりとじっとしていた。

我々海外在住者にとって、Kindleを始めとした電子書籍というものはとても重要だ。本というものほど嵩張って重いものはないし、海外で日本語の本を購入できる場所はとても少ない上に品揃えが弱い。

Kindleがあることで、いつでもどこでも日本語の本を瞬時に手に入れることができる。本屋をポケットに持ち運んでいるようなもので、これは子供の頃には想像できていなかった「未来」ではある。
電子書籍なんてダメだよ紙の質感がいいんだよ的なことを言って紙の本を読む人もいるが、海外在住者からするとそれは贅沢というものだ。

昔の海外在住日本人にとって、日本語の活字というのはとても貴重な資源だったはずだ。
松岡修造さんなどは、テニスでアメリカに留学した際、英語力をつけるために日本語の情報をすべて遮断したらしいが、それは本当にすごいな、と思う。私なんかはいい加減なのと、なるべく読書をして生きていたい人なので、そんなんやったら続かない。無理して続けられなくなるのが一番良くない。

ところが世の中には当然Kindleに入っていない本というのが存在していて、Kindleにこだわっているとそういう本に触れることはできない。

有名なところでは、浦沢直樹先生の漫画などは、電子書籍にはなっていない。見開きで読むことを想定した作品だから、とかがあるらしい。

そんな中、Kindle化されていないがゆえに、私が唯一、わざわざ紙の本をアメリカに持ち帰って、定期的に読んでいる本というかシリーズがある。

それは、小野不由美さんの「十二国記」シリーズだ。中国というか、そうでもない東洋的異世界を舞台にしたファンタジーノベルで、もともとはライトノベル・いわゆるラノベのカテゴリーから登場した。
話の詳細は、私が書いても面白く見せる自信がないので書かないが、人間が生きていく上でとても大切なフレーズが随所に散りばめられていて、私は仕事をやり、私生活を送る上での指針を十二国記たくさん得た。
シリーズ初の短編集「華胥の幽夢」が出版された頃に読み出したので、17年前くらいに出会って、繰り返し繰り返し読んでいることになる。
ボロボロになったので、ニューヨークには、新しいやつを買って持っていった。

ところが、この十二国記、2001年のその「華胥の幽夢」以来、続き物であるにも関わらず、2013年につなぎとなる短編集「丕緒の鳥」が出た以外、全く続きの音沙汰が無いのだ。

メインのストーリーラインの長編最新作である「黄昏の岸 暁の天」が、続く感に満ちた形で終わったきり、17年も長編が出ていない。私を含めたファンは本当に17年間続編を待ち続けている。

下記が、一番最初の「月の影 影の海」、上巻は非常に憂鬱な展開が続くが、我慢して下巻まで読むと、報われまくって救われる。

新潮社の十二国記ウェブサイトとツイッターからは、ここ数年毎年のように、「今年はダメだったけど、来年こそは新刊出ます」という情報が、毎年末、申し訳なさそうに発信されてきた。

もうファンはこれが狼少年芸だとわかっているので、「はいはいわかりましたよ。こっちが死ぬ前に出してくれればそれでいいですよ」くらいには諦めている。
今年もそろそろ申し訳無さそうな文章が掲載されるのだと思っていた。

ところが今年は少し様子が違う。下記のように「2019年に必ず出る」とまで言い切ったのだ。

人間、ここまで言い切ってしまったら引き下がることはできないだろう。これは本当に出てしまうのかもしれない。やばい。これは本当に出るっぽい。2日くらい休みとって読むとか、本気で検討しないといかん。

十二国記を読み始めた頃には、影も形もなかった次男の熱が下がって笑っている写真が届いた。もう少しで帰れる。

みんなにも読んでほしいですか?

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