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0413「中国という温浴施設」

朝から洗濯して勉強して抹茶飲んで仕事して、渋谷に行って筋トレして、午後は土曜日で自由ではあるので、自分の中では、浅草に行って馬券でも買って昼間から飲んで演芸ホールにでも行くか、温浴施設にでも行くか、というところで、迷った結果、スカイスパYOKOHAMAに行った。

スカイスパYOKOHAMAは、「サ道」のタナカカツキ先生も「一番よく行く」というほどのサウナで、間違いなく日本有数の温浴施設だと思う。横浜駅につながっているスカイビルにある。

良いサウナには、魔法があると思う。凡俗のサウナは、入って8分もすると熱さのバランスが悪くなって、サウナ室を出ることを考え始める。水風呂も、心地よさが「冷たすぎる」、に変わるタイミングが早い。

ところが、良いサウナは、何らかの理由でサウナ室なり水風呂なり外気浴なり、「時間の感覚が飛ぶ」。

日本一のサウナとして有名な「サウナしきじ」だったらとにかく水風呂だ。サウナは完全にハードコア的に熱いが、あの水風呂が待っていると思うと、というかあの水風呂を最大限楽しむことを考えると、15分は余裕で行ける。で、富士の湧き水を使った水風呂。あれは、やろうと思えば一生入っていてもいいくらいの唯一無二の絶対的な水風呂で、死ぬんならあそこで死にたい、というレベルの究極の水風呂だ。ふつう、冷たすぎてつらくなる局面が来るのに、あそこの水風呂だけは冷たいはずなのに永遠に時間がエクステンドされる。「胎内」っていうのはあそこの水風呂のことを言うのだと思う。

スカイスパYOKOHAMAにも魔法があって、それはやはり、サウナ室だ。「しきじ」が水風呂ならスカイスパはサウナ室。湿度と温度の繊細なバランス調整が常に完璧で、あまり他にはない「15分でも短く感じる」つらくないサウナ室になっている。テレビがなく、横浜の港の風景の人々の営みがテレビ代わりになる。読後感としては、「UNIQLO CALENDAR」に似ている。あの、ずっと見ていられる感じが、大きな窓で展開される。ので、私は窓際の席が好きだ。そのへん全部ひっくるめて、スカイスパも、魔法がかかっている温浴施設のひとつだな、と思う。

池袋のタイムズスパ・レスタとか、条件はスカイスパに近い気がするのに、なんか魔法が足りてないところがあって、それがあの場所を二番手グループにとどめている気がする。十分ととのうので素晴らしいんだけど。

ところで、こういった健康ランド的なシステムを持った温浴施設の多くは、「バーコードスキャンシステム」を採用している。ロッカーの鍵とかにバーコードがついていて、自動販売機で牛乳を買うときでも、レストランでめしを買うときでも、全部そのバーコードをバーコードスキャナでスキャンしてもらうことで支払い可能だ。東京で手っ取り早く体験できるところでいうと、水道橋の「ラクーア」とか「大江戸温泉物語」とか。「大江戸温泉物語」なんかはテーマパークなので、バーコードで食い物や酒だけではなく、UFOキャッチャーからお土産まで、全部行ける。で、施設を出るときに精算するシステムだ。

このシステムは体験したことがある人には当たり前で特別なことではないが、実はとんでもない。キャッシュレス社会そのものなのだ。などと考えていたら、ちょうどMASKMANの中西さんもfacebookでそんなことを書いていた。元記事は読んでないけど。

基本的なユーザーエクスペリエンスは、中国で散々もてはやされている微信支付(Wechat Pay)や、支付宝(Alipay)とわりと同じなのだ。バーコードという原始的な記号をベースにして、すべての決済をワンスキャンでやる。

これって、中国でイノベーションや、キャッシュレスや、ともてはやされているあのQRベースの仕組みと、実はあんまり変わらない。

中国は、国全体でそれができるようになっている。で、ラクーアなり大江戸温泉では、施設内だけでそれをやっている。規模の違いと支払い処理の順番だけなのだ。

しかも、この仕組みは中国が今のようにキャッシュレス化する前から全然ある。

このあたりに中国の面白さがある。たぶん日本人は、このバーコードスキャン仮決済システムを温浴施設の外でやってみたらすごいじゃん、という発想に行かない。あれは温浴施設の独自のシステムだ、ということになる。しかし中国の人たちは軽やかにそれを国家レベルでやる。温浴施設国家になってしまっている。

これは、イノベーション力というより、自由さと素直さだ。

中国に学ぼう、みたいな風潮があるけれど、単純に事象を学ぶんじゃなくて、中国人の自由さ、問題解決能力の幅広さ、を吸収しないと結局同じような気がする。

温浴施設で言ったら、中国には魔法のかかった温浴施設はないが。

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qanta

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