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0926「溶かす」

昨日は打ち合わせが全部で10本もあって、さすがに最後の方は自分が何をしゃべっているのかよくわからなくなってしまっていたが、最後のやつは、どちらかというとよくわからなくなってしまった方が良いタイプのミーティングだったのでむしろ良かった。時差ボケはもはやほとんど関係なく動いているが、全く無いわけではないので、体調もふんわり悪くなっていくし、さすがに早めに東京の家に帰って「日記なんか書いてらんねえよ」なんて寝てしまったら2日分くらい遅延している感じになったので2日分書かなくてはいけない。

なので、ある種雑に「こなす」文章になってしまうが、つまりいつもとあまり変わらないと思う。

今回日本に帰ってきている理由はいくつかあるが、その中の1つが、物件探しのHOME’Sとかを運営しているLIFULLさんのトークイベントに出るためだった。こういうのだ。

LIFULLの川嵜さんとnoizの豊田さんとパネルでしゃべるみたいなやつだったが、結構お題が抽象的で、「既成概念にとらわれない発想から生み出す、事業クリエイティブ」というものだったので、「あれ? いや、自分は結構既成概念にとらわれているような気がするし大丈夫かな?」とか思っていた。物を買う時にちゃんとお金を払うし、用を足すときはトイレで用を足している。

が、ふんわり事前に打ち合わせをして臨んだら殊の外、しゃべるのが面白くって良かった。豊田さんは「建築」という概念を因数分解して、「建築っていうのはこういう行為であるからだとするとこういうのもああいうのもすべて建築なのであって、建物を開発する、ということだけに絞るのはアレだよね」というようなニュアンスのお話をされていて(違ったらすみません)、自分に置き換えるとそれは「ジャズ」という言葉に近くて、ジャズというのは音楽のジャンルではなくて、状態のことである、とかいつも言っていて、極端な話、人間が何かにリアクションして何かを表現することはすべてジャズなのであって、ゆえに自分の仕事はジャズなのである、とか勝手に言っているのと近いものがあった(気がする)。

「既成概念」という言葉を使うと「既成」すなわち既に存在する概念との比較みたいなことを考えてしまうが。実はたぶんそれは「既成」なんじゃなくって、何らかの行為を言語化して効率的に人と共通認識を持つための後付けの概念なのではないかということを思った。

「広告」なんていう概念もそうで、たぶん「広告」というのものがいわゆる広告の形に収斂していくまでに、結構自由な試行錯誤があって、その末に「まあ今の時代においてはこういうのが(CMとか新聞広告とかそういうの)広告表現のフォーマットとして最適解なんだろうからこれらを【広告】と呼ぼう」というプロセスがあったはずで、その末に時代が変わってしまったので「脱広告」みたいな話が俎上に上ってしまうがそれは実は結局「広告」という概念が実を結ぶ前のスープっぽい状態に話を戻しているだけで、便宜上後付で固定された概念が逆に不便になってきたから再分解して考え直しているだけ、ということなんだろうと思う。

そう考えると、なんかうまく行かなくなったらいろんな概念を溶かして考え直す、というのはわりと癖にすると良いやり方なのかも知れない。「新しいエアコンをつくろう」というお題があったときに、「エアコン」という後付の概念を下敷きにするんじゃなくて「エアコンってそもそもなんなんだっけ?」という形で一回「エアコン」を溶かすことを考える。

いまの世の中は結構完成品に満ちていて、完成されたルールと概念に則って動いているが、ちょっと見回すと、「そろそろ溶かした方が良いもの」が見つかったりする。

なんていうことを真面目に考えさせられるような対話はそんなにないので、参加してよかったけどあと30分くらいあったらもっと溶かせたなと思った。

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