フィンランド留学記 1日目
8月13日午前5時。夜型の僕にとってこの時間に起きるのは辛かった。が、そんなことを感じている暇はない。なぜなら今日はついにフィンランドへ飛び立つ日なのだがら。ただ、そんな出発日には似合わず、外では小雨が降っていた。それともこれは、物語などでよく出てくる負な展開が待ち受けている合図だったのかもしれない。
2時間かけて成田空港に行き、初めて同志と対面した。この時は結構緊張していたのを今でもよく覚えている。実感が全く湧かないが、自分はこれから何か大きなことに挑むんだということは確かであった。付き添って来てくれた母親には平気であるかのように振る舞っていたが、内心は結構怖気付いていた。
預け入れの荷物や手荷物の重量が制限を少し超えたりしたトラブルがあったが、その後順調にチェックインを済ませて、とりあえず皆無事に飛行機に搭乗することができた。
飛行機に乗っている間はチェックイン中に仲良くなった一つ年上の男子と、なんでもないことやフィンランド語の進捗について話したりしていた。ご飯はテネットを見ながら機内食の照り焼きチキンを堪能した。美味しかったが、それは10ヶ月も和食を食べられなくなる僕たちへの憐れみのようにも受け止められた。
出発したのは11時、フライトは10時間、着いたのは現地時間16時だが、体内時計は日本時間の22時だった。リアル「テネット」を体験して体は疲れていた上、ここでまさかの乗り物酔い持ちが発覚し、ヘトヘトどころではなかったが、深呼吸でなんとか酔いを落ち着かせた。
その後、バスでサボンリンナという町に行かなければいけないのだが、バス停まで現地スタッフが送ってくれた。僕のスタッフは過去に一度フィンランドで交換留学をしたことがあるトルコ人の男性で、とても陽気だったので、車中で気軽に色々話せた。
この人がホストファミリーだったら飽きないだろうな...
バス停に着き、トルコ人男性に挨拶し、地獄のバス5時間の旅を味わうことになった。
というのも、その時はまだ飛行機酔いが残っていて、さらに僕はバスや車の独特の匂いが苦手だった。そして二段バスの二段目に座席があり酔うのは確実だった。その上、マイクを通した運転手の重く低い声が脳に響き、聞き慣れないフィンランド語を移動中ずっと浴びせられていて、落ち着くことが一度もできなかった。
だから寝ることにした。したのだが!フィンランドの夏は太陽は21時(現地時間)まで沈まない...そう、まさに悪夢だった。
目的地についたのは23時だった。ホストファミリーと対面して、花のぬいぐるみ(中古)を頂いた。
ホストファミリーはシングルマザーと18歳の長女、15歳の長男、13歳の次女、9歳の三女の5人構成である。事前情報で、娘した二人の趣味が乗馬であると聞き、失礼な話、これはお金持ちの家に当たったのではないのかと期待していた。
しかし、と逆説するのも失礼だが、車で連れて行かれるのは町から離れた林に囲まれた小さな平家だった。車酔いの残りで気持ちが悪く何も考えたくなかったが、どうしても色々想像してしまう。
ドアを開けた。まぁそうだよな。贅沢は言ってられないんだから...
散らかった廊下を通り抜けて自分の部屋に荷物を置いた。そして風呂場へ向かい、肩まで積み上がった溜まった洗い物を極力無視し、シャワーを浴びた。足拭きマットも泥がついていて少し汚かったが気にしないようにした。そして水道水を飲んですぐに寝た。
おやすみ。これからどうなるのやら。
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