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エッセイのレベルアップを図る方法教えます(エッセイ#7)


#わたしのチャレンジ

エッセイを書く、という私のチャレンジの舞台裏をご紹介しよう。
※わたしのチャレンジという応募に寄せたかったので、こんな内容にしちゃいました。


通算すると七作目になるようだ。ここらへんで一つ、こなれた感じを出していかねば、いつまでたっても内容も文体も成長しない野郎だと思われ、飽きられてしまうだろう。そもそも読者が少ないのだから一人二人の読者離れが致命的である。

では、どのようなエッセイを私は書いていきたいのか?

……軽妙洒脱な語り口で、世に存在するどうでもいいことをアリクイのようにほじくりかえして、一時間後には忘れてしまうような偽薬にもならない文章。

あらためて自分のゴールを確認してみると、いささか退廃的に傾倒しすぎではないかという気がしてくる。トレイに載せられ一切使われずに捨てられていくマクドナルドのナプキンのような虚しい気分だ。

もう少し、含蓄のある(多少は意味のある)内容にもしていきたい。読み終わった後には、読者が思わず膝を打つような(今は首をひねるぐらいが関の山だ)。そして、二時間は内容を覚えていられるような。

修行しなければなるまい。

昨日、不意にそう思い立った私は、図書館でエッセイを一つ借りることにした。あまり時間もなかったので、エッセイコーナにある分厚い村上春樹を「えいや」でつかんで、ピッとして家に持ち帰った。

「村上さんのところ」という本だった。

読者が村上春樹にメールを送り、それに対する返信を村上春樹本人が行う。そのやりとりを収録したものだった。

お気づきでしょう。いわゆるエッセイではございませんでした。

自分のマヌケさにしばし落胆したが、とりあえず読んでみようと気を取り直した(さすがエリちゃん! 切り替えは早い!)。

久しぶりの春樹に触れた。彼のいい加減な回答に笑い、深い洞察にうなった。

600ページ以上あったが、するするっと四時間ぐらいで読めた。
ためになる部分が多々あり、これからの私のエッセイの血肉となりそうな気がした。

そして、今、まさに、これを書きながら、どの部分がためになったのかを思い出そうとしているのだが、全く思い出せない。

思い出せたのは、村上春樹が使った比喩「コンドームを二枚重ねてセックスをしているみたいだ」に対して女性アシスタントが「女性の私にはよくわからないんですが」と言い、村上春樹が「僕もそんなことやったことないからわからない。あんまり深く意味なんて考えないでいいんです」という風に締めくくった下りだけだ(正確ではないです)。

ああ、もしかすると、エッセイもそんなもんでいいのかもしれないなぁ。私はどういうワケかやたらと勇気と意欲が湧き、エッセイをレベルアップさせるための「今のところ」の結論までスカッと出てきた。

結論。肩ひじ張らずに書こう。


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