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一人でも多くのロービジョン者に一冊でも多くの本に出会って欲しい。富津市図書館にレティッサオンハンド導入!

読者の皆様は図書館によく行きますでしょうか。「普段手に入りづらい本も読むことができる」・「静かな空間でしばらく時間を忘れ読書に没頭できる」、図書館という特別な空間で過ごす時間は、何とも言えない贅沢なひと時に感じます。私は仕事柄、図書館に行くと、この図書館は視覚障害者にとってどんな配慮を行っているかな、利用しやすい図書館なのかなという視点で見たりもしています。

「視覚障害者は目が見えない」、なので触ることや音声による情報保障が必要、故に点字・点字ブロック・音声案内の導入が必要。という考え方を基本に、多くの図書館でも「視覚障害者」への情報保障として点字・点字ブロックの設置が進みました。この取り組みにより多くの「全盲の方」にとっては図書館が以前よりもアクセスしやすくなり、身近な場所になってきていると考えられます。
情報の85%を占めるといわれる視覚情報がほぼない「全盲の方」にとって、触れることや音声による情報は非常に大切で、点字ブロックや点字、音声案内によって必要な情報を積極的に保障していくという動きは、社会的にも非常に重要です。
しかし、「視覚障害者は目が見えない」という画一的な考えは、実際には視覚障害者の一部しか見ていない考え方とも言えます。視覚障害者(視覚障害者手帳を取得している約30万人)のうち「全盲」の割合は10%~15%ほどと言われ、80%以上の視覚障害者は実は“見えづらさを感じているロービジョン者”なのです。点字・点字ブロック、音声案内を準備していくことは、全盲の視覚障害者に対する大切な配慮ですが、点字・点字ブロック、音声案内を準備するだけでは、視覚障害者の8割を占める“見えづらさを感じているロービジョン者”にとっては、求めているニーズも異なり不十分なのです。
眼鏡やコンタクトレンズを使っても矯正視力がでず、視力が0.3未満というように見えづらさを感じているロービジョン者は、全世界で2.5億人、国内でも145万人もいるのです。

全盲の方の施設に求める準備の解が点字・点字ブロック・音声案内だとしたら、“見えづらさを感じているロービジョン者”が求める図書館に必要な準備はいったい何でしょうか?ロービジョン者が図書館に求める本当のニーズは、触ることで図書館や本にアクセスすることではなく、自分の目でより見やすく本にアクセスすることなのです。

では、ロービジョン者が自分の目でより見やすく本にアクセスするためにはどうしたらいいでしょうか?そのひとつの解が、レティッサオンハンドなのです。

2023年4月に地域に愛される図書館づくりを目指し「富津市図書館」が開館しました。


イオンモール内にあるとてもきれいな図書館です!フラットな作りで車いすユーザーにも優しく、点字ブロックもあります。

富津市は幾度となく図書館建設計画が策定されてきましたが、市の財政状況等により実施には至らず、全国でも数少ない「図書館のない市」だったのです。今まで公民館図書室や移動図書館(本をたくさん積んだ車が図書館を利用しにくい地域の人のために巡回して図書を行うサービス)で対応してきた富津市でしたが、念願の市立図書館の開館するにあたり、富津市図書館はより多くの人が、一冊でも多くの本と出会い、本との出会いが夢をかなえるきっかけになってほしいという想いを持っていました。
このより多くの人に一冊でも多くの本に出会って欲しいという現れが、「レティッサオンハンド」の導入でした。
富津市図書館はイオンモール内にあることもあり、お子様からファミリー層、ご年配の方と幅広い年齢の方にご利用いただいています。富津市民を中心に月14,000人ほどの方が図書館に訪れ、読書をすること、勉強をする人、特別な空間と時間を楽しんでいます。
富津市図書館も見えづらさのあるロービジョンのある方の来館が現状多くなことは理解していました。しかし、レティッサオンハンドを導入することにより、より多くの人に一冊でも多くの本に出会って欲しいという想いはいづれ届き、今まで見えづらさを理由に図書館から足が遠のいていた方にも、図書館に来てもらえるようになると考えています。富津市図書館のご担当者様は、図書館でレティッサオンハンドが使えるようになることは、ロービジョンのある方が感じてる図書館における不便を解消してくれることを理解しているのです。

ロービジョンのある方が感じてる図書館における不便とは何でしょうか。そしてその不便をレティッサオンハンドはどう解消してくれるのでしょうか。

見えづらさのあるロービジョン者の不便①
図書館全体が分かりづらい。

この図書館ってどこに何があるの?

図書館に行っても図書館全体が視認しづらく、どこにどんな本があるのかを理解することに難しさを感じています。近づけば見えるものも多くありますが、遠くのものや全体把握がしづらい特徴があります。単眼鏡を使うロービジョン者もいますが、単眼鏡は見える範囲が狭いため全体を把握しづらい難しさがあります。

レティッサオンハンドを使うことで①
図書館の全体を把握できる。

図書館の全体が見えた!理解できた!

レティッサオンハンドは水平画角60度という広い視野の画像を網膜に直接投影できるため、図書館のような広い場所でも全体を視認しやすく、自分の読みたい本があるエリアの把握をスムーズに行えます。

見えづらさのあるロービジョン者の不便②
自分の目で本が探しづらい。

どこに私の読みたい本があるの?

理想的には自分の目で読みたい本を探したいですが、大量に所蔵される本棚から読みたい本を探すことに難しさがあります。図書司書に聞けば本を探してくれますが、自分が読みたい本を都度図書司書に伝え探してもらうことに不便や遠慮が発生します。本に近づけばタイトルにアクセスできますが、目を近づけることができない場所(上段や下段)にある本は、自分の目で見つけることが困難でもあります。

レティッサオンハンドを使うことで②
自分の目で本が探せるようになる。

少し遠くからでも読みたい本が自分で探せる!

レティッサオンハンドは持ち運びができるため、あらゆる本棚にアクセスすることが可能です。網膜に直接投影される画像(本棚の表紙やタイトル)を認識し、読みたい本を自分の目で探し、手に取ることが可能になります。

見えづらさのあるロービジョン者の不便③
本を読む時に、目を近づけて読むから疲れる。
周りの目も気になって本が読めない。


この距離なら読めるけど…この姿勢は疲れるし、周りの目も気になるんだよなあ…

目を近づければ、見ること読むことができるロービジョン者も多くいます。しかし目と読みたい箇所の距離を近づける必要があるため、目が非常に疲れ長時間読むことが難しいこともあります。また目を近づけるために姿勢を崩し、猫背になってしまうため、公共の場でこの姿勢で本を読むことに抵抗があります。

レティッサオンハンドを使うことで③
目を近づけて読むことからの解放。

この距離からでも本が読める!周りの目も気にならない!

レティッサオンハンドは7倍までズームを使えるため、細かな文字や図も拡大し読むことができます。テーブルに本を置いた状態で本に目を近づけることなく文字や図を読むことが可能になります。これにより姿勢が改善され、長時間本を読む際の疲労の軽減、集中力の継続につながります。また本に顔を近づける姿勢から解放され、周りの目も気にせず本を読むことができます。

見えづらさのあるロービジョン者の不便④
本を読む時のに時間がかかる

文字を目で追うのが大変で35秒もかかった…

教科書や本を読む時の読み方は、目を近づけるか、ルーペを使うか、拡大読書器を使う方法になります。目を近づければ読むことができますが、目が疲れ集中力が続きません。また目を近づけて読む、ルーペを使う、拡大読書器を使う読み方は、拡大し文字や図を視認する方法のため、一度に数文字しか読むことができず読むのに時間がかかります。

レティッサオンハンドを使うことで④
文字が見える量が多くなり、読む速度が上がる

数文字まとめて読める!19秒で読めた!

レティッサオンハンドはピントが合った状態の映像を網膜に直接投影することができます。そのため、単眼鏡やルーペよりも広い画角で文字を視認することができ、数文字をまとめて読むことができるので読む速度が向上します。

見えづらさのあるロービジョン者の不便⑤
据え置き型の拡大読書器は読める場所が限られてしまう

拡大読書器がある場所でしか、拡大して読めない…

拡大読書器もロービジョン者にとっては本を読む際の大きな助けになります。しかし従来の拡大読書器は据え置き型が多く、どうしても拡大読書器がある場所でしか読むことができないという場所の制限が発生してしまいます。

レティッサオンハンドを使うことで⑤
場所の制限がなくなり、好きな場所で読むことができる

今日はどこで読もうかな!

レティッサオンハンドは従来の拡大読書器のような据え置き型ではなく、場所にとらわれず持ち運ぶことができるので、好きな場所で読むことが可能になります。決められた場所でしか読めなかった本を、自分の意志で読む場所を決めることができることは、図書館を楽しむ大きな助けになります。

実際にロービジョン当事者と富津市図書館に行きましたが、少なくとも見えづらさのあるロービジョン者が図書館で感じる5つの不便を、レティッサオンハンドは解消してくれます。富津市図書館担当者もこのレティッサオンハンドが持つ可能性が広がり、より多く見えづらさのあるロービジョン者に一冊でも多くの本に出会って欲しいという想いが実までには、少し時間がかかると思っています。それでも富津市図書館にはレティッサオンハンドがあり、今まで見えづらさが原因となり図書館から、本を読むことから遠ざかっていたロービジョン者が、今まで以上に読める楽しさ、図書館に訪れる楽しさに触れる機会は増えていくと信じています。

まだレティッサオンハンドの導入は決して多くなく、すべてはこれからなのですが、この価値を一人でも多くの方に知っていただき、いづれはすべての図書館にレティッサオンハンドが導入され、すべての視覚障害のある方に足を運ぶ先の一つとして図書館が選択肢に挙がる未来を作っていきたいと考えています。