【読書録】ディドロ他『百科全書』4 神と王の気配が強いんじゃ

 引き続きこの本を読んでいる。
 「自然法」「主権者」「親権」の項目。これらに滲んでいるのは、王権と親権の、今とは違う、今現在の日本の社会からは想像もつかない力関係としての王権と親権の力である。主権の奥には、神の力がある、神がいなければ、王は力をもたない、神の代理として振る舞うのが王である、等々、はっきりと書かれている。その力に歪んでいて、たぶん、現在ではこれは事典としては成り立たないのではないかと思わされる。なんだ、やはり永遠に価値を持ち続ける事典なんて作り得ないのか、とここでそっぽを向くのは即断かもしれない、原典である、ウィキソースに保存されている「百科全書」を、翻訳して軽く覗いてみたことがあるのだが、「脇」とは、「アラブ人」とは、など、やっぱり想像する「すべてのもの」について、説明している感じはあって、この岩波版で抜き出した箇所は、中心的であり、かつ当時の匂いが強烈に感じられる箇所のみ切り抜いたから、先のような感じがしたのであって、全体を見てみれば、もしかしたらそれほど現在にあっても違和感を感じないのかもしれないとも思った。

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