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個人の露出を増やせば、ブランドになれるのか?

Voicy「コテツのブランディングと商売の話」 コラム
 読めばブランディングができて、商売が上手くなる。

このコラムは、コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で
語った内容を文章化したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
Voicyもお聞きください。


【お知らせ】
2022年4月より、小哲津のブランディングと商売の勉強会のコテツゼミの
六期生がスタートします。コテツが直接講師となり、半年間でご自身やビジネスのリブランディングを学ぶ講座です。
10人限定となる予定です。
3月から募集開始。
こちらのnoteかVoicyで告知します。

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Voicy  No.0015 2021年8月16日収録
個人の露出を増やせば、ブランドになれるのか?


とにかく有名になりたい病気

今日のテーマは「個人の露出を増やせば、ブランドになれるのか?」です。

結論、露出を増やすだけ増やしてもブランドになれるわけじゃない。ここまで15秒。結論だけ言えば、これだけです。露出量とブランドになれるかなれないかは、別の話です。

まず、ブランドになりたいのか、ただ有名になりたいのかも整理する必要があります。自分のビジネスをどういうタイプで成立させていくかアバウトな人が結構多いです。

ブームとブランドは、つくり方が違います。ブームになればいいと短期的に、焼き畑的に回収できるビジネスで、ブランドづくりやブランディングをしようとする人がいます。ブランドビジネスをしたい人が焼き畑的なビジネスのやり方でブームをつくろうとしても、それはうまくいかないでしょう。

自動車といっても、いろいろあるじゃないですか。軽自動車みたいに安い部品で近所乗りの車と、フェラーリみたいに無駄にいいものを使ってライフスタイルを表明するような車は、つくろうと思っても全然違う。

ブランドをつくりたいのか。ブームをつくりたいのか。有名なメーカーになりたいのか。しっかりとファンのいるブランドになりたいのか。ビジネスをしようと思っても、やり方が違うのです。

露出を増やしてもブランドになれるわけじゃありません。経営をしていく上で、ほんとにブランドになりたいのかという問いを自分で考えてみてほしいというのが、まず1つめ。

次に露出をどうするか。個人事業主も企業の社長も、露出というものをどう考えていくかという論点に、現時点でのご自身のお考えを確認してほしいんです。そもそも、露出はしなきゃいけないものじゃないからね。

スポーツの世界では、レベルが上がって強くなって結果を出せるようになると、結果の能力に比例して有名になる仕組みです。

例えば高校で野球をやっていたら、地方大会はないけれども甲子園に行けば全国のNHKとかで放送がある。決勝となれば大勢が見る。実力が高いということと有名であるということは、スポーツにおいてはイコールです。金メダルを取るぐらい、世界で一番その試合においては強かった人は、世界中のテレビで金メダリストとして決勝戦が放送さます。

けれどもビジネスの世界は全く違って、露出してもいない、有名じゃない優良企業が山ほどあるんです。ビジネスをやっている人でも全然そういう認識がない人がいるのだけど、しょうもない経営をやっていても、有名な人というのがいるんです。

ビジネスの世界というのは、しっかりとした実績があって、消費者の方々やお客さまへの貢献が高いから有名になるというわけではありません。業績も良くて会社としてお客さまやファンの方に価値を出している。けれども、有名にならないという手だてでやっているところもある。

だから、「SNSで有名になる=経営がうまくいく」もないです。露出が多い少ないという軸が1つと、もう一つ、仕事として成り立っているかという軸があります。

この2軸は全く関連性がない。露出が多い、でも仕事として成り立ってないという会社もあれば、仕事として成り立っている。けれども露出が低いというところもある。

ソフトバンクの孫さんのように、仕事として成り立っていて露出が高いという会社も、もちろんあります。サイバーエージェントも今回「ウマ娘」が爆発しました。決算発表もありましたけど業績がめちゃくちゃいい。ABEMA(旧称Abema TV)もやっている会社です。

そのように仕事としてめちゃくちゃ成立していて露出も高い。両軸で高いところがあるから、ビジネスを始めた人は、個人事業主も中小企業も、露出を高めればそれに伴って仕事として成り立つようになると、なぜか思い込んでいる人がいるんです。

けれども、そこは別です。仕事として「成り立っている」「大いに成り立っている」「まあまあ成り立っている」「ちょっとだけ成り立っている」「成り立ってない」「全く仕事として成り立ってない」という軸でだけ考えたときに、それぞれビジネスとか仕事をやっている方には、現時点での評価があるのです。

そのときに、露出を増やせばブランドになると思っている病の人って、なぜか露出を増やせば仕事として成り立つようになると思い込みます。そもそも仕事として成り立ってない、あるいは売上が上がってない理由を「知られていないからだ」みたいな露出の問題と考える人が、一定数必ずいるんですよね。

実際に、俺がさまざまなクライアントさんをグループコンサルとかコテツゼミで見ていて、自分も経営していると、商売って売上が上がっているときもあれば、上がっていないときもあるものです。

売上が上がってない理由は「知られている」とか「露出が少ない」だけではないんです。単純に実力が不足している。ニーズがターゲットとしてのお客さまに合ってない。一度取引して頂いてもリピートにもならなければファンにもならない。そんな「ファンづくり活動」とか、リピートしていただく要素の磨き込み不足みたいなことが、結構あるわけです。

そういう状況が売上が上がらないとか仕事が成り立ってない真の原因だったとき、露出を増やしたところで、大して変わりません。

でも、なぜかビジネスを始めたての人に多いんですけど、露出と集客を頑張ればビジネスはうまくいくと思い込んでいる、ある種の病気みたいな感じの方がいるんです。ビジネスとして成り立っている先にブランドとなれるかなれないかの話があるので、露出軸で考えたときに、露出が多いか少ないかというのでご自身を確認します。

もう一個、仕事として成り立っている、成り立っていないで確認します。仕事として成り立ってないのであれば、なんで成り立ってないのかを棚卸しするのがまず一番。その棚卸しをせずに露出量を増やしたところで、仕事として成り立ってない、売上が上がらない、お客さまが支持してくださらない理由が別にあるのであれば、有名になってもダメですよね。

次のチャプターで具体例を挙げて説明します。


有名だけどファンがいない

露出が多いか少ないかという軸が1つ。これは多ければいいというわけじゃないですよ。露出しないという戦略は「あり」です。

ちなみに、自分が25~26で始めて40歳ぐらいまで経営していた1つめの会社は、十数年経営していてトータルで数百億円企業になりました。そこを経営していたときは、自分は露出しない主義で、コテツ社長はメディアに出ないという考えで十数年やっていたんだけど、全く問題なく業績は伸びていました。

そういう戦略方針ですから、露出を増やす必要がなかったんです。それでブランド力も付いたし、ニッチなシェアで業界日本一の会社をやっていました。ちなみに、そのときは自分の露出はゼロ。自分は出ない。取材は絶対に受けないというやり方です。

露出が多いか少ないかという軸と、ビジネスとして成り立つ成り立たないという軸には順番があります。仕事として成り立っているという状況をつくった上で露出する。または、仕事として成り立たせるような手だてをきちっと踏みながら露出量も上げていくという両方をやるならば、伸びていきます。

でも、これがブランドになれるかどうかというのは、また別の話です。有名だけどブランドじゃないという状況は大いにあり得る。

ブランドは「あなたじゃなきゃダメ」ということで、競合との相対比較を超えて、無条件であなたに付いていきたいというファンの方がいてくださる状態のこと。露出量が減ったからスイッチされているような状況は、そもそもブランドじゃないのです。

スターバックスは、広告をかけずに今の状況まで行ったのでブランドです。「みんなにとってのブランド」という意味ではないですよ。スターバックスをブランドとして信頼している方が確実にいる状況なので、「ドトールのほうがコーヒーは安いよ」と言われても、スタバまで歩いていく。

ドトールとスタバがあって、今いる位置からスタバのほうが遠くても、相対比較を超えてスタバを選ぶファンの方がいらっしゃる状態です。

これは広告とか露出量でつくられたものではありません。ブランドになるかどうかと露出量というのは、関係が全くないとは言わないけど、正直、現象として完全につながってくることではないです。

露出を増やして興味を持ってもらう活動が1つ。もう一つ、愛されてファンになってもらう「あなたじゃなきゃダメ」という状況をつくることは、2つの戦略を2層で同時に進めることでブランドになるのであれば必要です。でも、有名にだけなっても全くブランドじゃないことがあります。

実例で、素人参加番組ってあるじゃないですか。最近多いのは恋愛リアリティーショー。『テラスハウス』とか、古くは『あいのり』とか『バチェラー・ジャパン』とか、ABEMAでやっている『オオカミくんには騙されない』みたいな番組がありますよね。あれに出ることによる露出って強力じゃないですか。

聞くところによると、女子高生の6割が見ていると言われているABEMAの『オオカミくんには騙されない』という恋愛リアリティーショー。それには男性5名、女性5名ぐらいが出てきます。タレントさん、モデルさん、DJとかミュージシャンをやっていますという方が出演している。放送している期間は露出量がめちゃめちゃ上がるから、高校生とか20代前半までの人の中で話題沸騰して有名人になるのです。

だから超絶、露出量が上がります。けれども、『オオカミくんには騙されない』とか『テラスハウス』とか『バチェラー・ジャパン』に出ている人で、そのあともブランド化が成功して、ファンの人が「あなたじゃなきゃダメ」と付いてきてくれる状況をつくれている人は、どれぐらいいますか。

露出が減るとともにファンの熱も減る。ファンというか興味ある人が減り、ファン化もされずに、大成する人もあまり出てこないというのが、素人参加恋愛リアリティーショーの現実だと思います。

なので、露出量さえ上がればファンというのがいつの間にかつくられて、競合との比較を超えて付いてきてもらえると思っている人は、恋愛リアリティーショーに出てみたらいいんじゃないですか。めちゃ有名になります。

『バチェラー・ジャパン』でも『バチェロレッテ』でも『テラスハウス』でも出てみたらいい。そうしたら、町を歩いていても「わあ、誰々さんだ」みたいなことになるんですが、それでビジネスが成り立ちますか。何か別な魅力がないと、そのあと全然商売が成り立たないだろうというのが、本当ではないかと思います。

ブランドになりたいかどうか。自分のビジネスをブランドにするかしないかという問いをアバウトにしていると、露出量を増やす作戦を採る意味合いも、おかしくなってしまう。まずは、そこを考えていくのが1つです。

もう一つ、露出量が多くて有名だけど、ファンがいなくてビジネスが成り立っていないという状況でも、とにかく露出して、フォロワーが多くしてワーキャー言われる状況をつくりたいという方がいらっしゃれば、それは止めるものじゃないです。けれども、商売的には一番きついと思います。

個人事業主や中小企業の場合は、年間で100万人も200万人も新規のお客さまが必要という状況ではないと思うんです。ビジネスの性質にもよりますが、数十人、数百人。数千人、数万人レベルで常に新規を取らないと成り立たないビジネスをやっていたら、リピートづくりとかファン化は失敗しています。ですから、そこを見直す必要がある。

嵐とかタモリとかダウンタウンレベルで、知名度を上げないと成り立たないようなビジネスをやっている会社は、ほぼないでしょう。自分のビジネス規模やブランドスケールに合った新規のお客さまに、ちゃんと見ていただける状況をつくるにはどうしたらいいか。そういう問いのほうが、よっぽど地に足が付いたビジネスになると考えております。

今日は以上です。
久々野智小哲津でした。

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