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UX検定を受けてみた話

先ほど受験し終わったので、感想を書いておく。

成果

立場・状況

自分は事業会社で「UIデザイナー」として自社のサービス開発に関わっている。UXとして企画された物を実行する側の立場なので、UXは微妙に専門からは外れている。

ただ、自社にUXに専門的に携わる人員や組織がない。現状、ビジネス部門としてwebマーケターや、場合によっては営業部門が企画を考えている。経営部門はUXやデザインも重視しているので、私のようなデザイナーを雇用している訳だが、肝心の企画サイドにUXの知見がない。

UIデザインをする中で困ることは「デザイン」の言葉の定義が曖昧なので、企画メンバーによって、認識している責任領域が違うこと。擦り合わせができればまだ良いが、色や形について注文を付けることだけをデザインだと信じて疑わない人や、UXという概念がないのでユーザーニーズを無視して企画を考えてしまう人に、いくらUXについて説明しても響かない。

それで、成功しているのなら良いのだけど…。


検定を受ける狙い

そこで、どうにかして、企画メンバーにUX検定を受けさせてやろうと考えた。私個人がUXについて説明するより、自分でUXの基礎について理解しようとすれば、少しは話が通じるようになるのではないか?

置かれている立場や与えられるプレッシャーが違うだけで、根は社会のためになる事業をしたいと思っている人たちなので、UXという言葉には興味を持ってくれる感触はある。

そこで、先駆けとして私が「デザイナー」として受験し、こんなに勉強になったんですよとプレゼンし、社内の教育カリキュラムに組み込めないかと企んだ訳だった。

表層や構造の区別も付かないメンバーからすれば、「デザイナーがUXについて良い学習方法を知っているらしい」くらいの解像度で受け取ってくれると思うので、専門外であることは伏せておけそうだ。


成果と検定の感触

結論、受ける価値・受けさせる価値はあると思う。

専門外なので当然勉強にはなったし、何より「何とググったら知りたい情報が出てくるのか」がある程度分かったのが良かった。

「UX」で検索すると胡散臭い記事ばかりが出て来てうんざりするが、具体的な検索ワードや概要を知っていれば、検定が終わった後に自分で検索して知識を深められる。

また、なぜUXが必要なのか説明できるようになったのも大きい。デザイナーからしたら、必要に決まってんだろ!!と思ってしまうが、現状UXについて依頼されるどころか、こちらからUXの必要性を説いて権限を付与してもらうか、権限のある人にUXを考えてもらう必要があるので、この成果は私にとって大きい。


カリキュラムに組み込む上での障壁

しかし、この検定を広く受験させるには障壁がある。一つは勉強方法が確立されていないこと。

「出題範囲(シラバス)」は公開されているが、ここには記載されていなかった問題も出題された。一番下には注釈もある。

※出題範囲(シラバス)は社会や技術の動向を踏まえて随時見直すものとし、内容の追加、変更、削除などを行う場合があります。

https://www.uxia.or.jp/certification/202305_ux_syllabus.pdf?20230515

これでは、「ここから出るので勉強しておいて」と言えない。

また、「推薦図書」はあるが数冊になるので、全社員に同時に提供するのは難しい。動画コンテンツも販売されているが、¥30,800/人は出してもらえないだろう…(法人価格で安くなっていれば検討の余地はあるので、ダメ元で資料を取り寄せてみようか…)

そして、過去問がない。試験勉強において一番やるべきなのは、本番までに事前にテストしてミスを潰しておくかだと思う。これは開発でいうと、リリース前にテストできない状態。デプロイエンジニアにリリースを拒否される事案だ。過去問を売ってくれ〜。

能動的に学習する意欲がある人には推薦できるが、受動的に「検定を受けさせられる」状態を作るのは難しい。検定もビジネスだから仕方ないんだけどさ。


超・個人的感想

うんこの話

社会人になってから「試験」という物をほとんど受けなくなった。すると慣れないテストに身体がびっくりして、朝からお腹が緩くなり、受験開始時間にPCの前に座れるのかハラハラした。


検定の社会的意義・ターゲットを想像する

終始、ライティングからデザインから全部の演出が「ビジネス!ビジネス!拝金イエーイ!」というテンションなので、個人的にすごい嫌だったのだけれど、内容や検定のコンセプトにはすごく共感できた。

開発はユーザーのあらゆる自由(自由の定義も推薦図書内でされている)を守りながら、進められるべきである。そのためにはあらゆる職種・専門領域の人がUXと人間中心デザインの基礎知識を持つ必要がある。という思想はデザイナーをやっていると「そうだよな〜」と思えたし、他の人に紹介する際にも社会的意義の方が話しやすい。

ただ、ターゲット層がいつも利益や数字のことで頭がいっぱいの人だとしたら、こんな感じのデザインになっているのは妥当な設計なのかもしれない。


各タイミングの心情の変化

6月25日:受験を決めた時

6月27日:まだやる気があった時

8月20日:心が折れている
本番前にテストができないので、嫌になってる時

9月2日:受験日

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