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日雇い派遣の現実。そうか〜!なるほどね~!

 派遣バイト先はお菓子の箱詰め工場だった。お菓子工場ではなく菓子の箱詰め工場である。流れ作業だけどベルトコンベアはない。長机を並べてその上に白い布をひいてラインをつくってその上で、箱を組み立てたり、中敷きを入れたり、お菓子を詰めたり、お菓子の由来を書いた紙を入れたり、重さを測ったり、封印したりして製品を仕上げていく。私の使命はウサギ型のモナカをひたすら箱に並べること。

 グ◯コや森◯のような大手だったらとっくに全工程機械化されてるんだろうけど、観光地の土産物屋で売ってるようなロットの少ない商品だと機械化してもペイできないのかもしれない。

ファミレスの給仕がロボットになったこんにちにおいて、こんなモダンタイムスみたいな仕事もあるところにはあるんだな。私のような不器用な人間にも働く場所があるのはありがたいことだけど、直接雇用のバイトではなく派遣バイトで現場をまわしてるってことは仕事量が一定ではないのかしらん?

 コロナ騒動が落ち着いて(落ち着いたということになって)円安もあって観光地には外国人観光客がそぞろ歩きウサギモナカも売れまくっていることだろう。でもまた別の伝染病が流行らないとも限らないし、中小企業が設備投資や求人に臆病になるのは当然だ。

 円安、インフレ、日本経済はどうなってしまうのでしょうか?それはそうと晩ごはん何にしようかしらなどと考えてると5時のチャイムが鳴った。

 使い捨ての帽子と手袋を外しながら更衣室に向かう、リュックをかついで靴を履き替えていると同じ派遣会社の女の子に「〇〇駅だったら一緒に帰りませんか?」と声をかけられた。駅から工場までも彼女と話しながら来たんだった。 

 彼女はもともと美容販売員だったけど、仕事のストレスから病気になってリハビリがてらこの仕事をしているらしい。ぱっちりした目と形のいい広い額、工場に似つかわしくない真っ白なブラウスとライトグレーの本皮のバッグ。「もちろん!」そうして我々は事務所の名簿に終業時間とサインを書き込んで工場をあとにした。

🐰

 ねえアゲさん、恋バナしてもいいですか?今わたし付き合うかどうか悩んでる相手がいるんですけど、結構年下なんですよね。それで出会いが〇〇駅の近くのコンビニで「すみませんナンパじゃないんですけど」って。それってナンパですよね。私普段だったらそう言うの絶対教えないんですけどその時はなぜかライン交換しちゃって、彼、愛情表現がすごくて私も嬉しい気持ちもありつつ、でも年収とか不安もあるし、ホストとかだったらやだし。

「ネットワークビジネスとか宗教とかもあるあるよね。いま詩織さん(仮名)すごく幸せそうだからその気持ちを大事にしてほしいけど、詩織ちゃんが傷つくような結末になったらって思うとちょっと心配かな」

倒立教会の集団結婚式とかホホバの輸血拒否とか、こわいですよね

「私、ホホバの人あんまり嫌いじゃないんです。出産後新生児と二人っきりだったときに、ホホバの人がうちにピンポン押しにきて神様の話をしてくれて、それがすごく嬉しかったんだよ。だって子供はオギャーしか言わないし夫や親は子供とか家事の話ばっかりで、そんなときに神の存在について議論しにきてくれてほんとに救われた。私が思うにホホバと装花と天梨教は入るとめんどくさそうだけど友達付き合いするぶんには実害がない。」

私、じつは装花学会なんですよね。

「そうなんだ!わたし友達ホホバ2世と、口福の化学2世と、天梨教3世いるけど、装花のひとははじめて!(ちなみに私は強酸糖2世だけどそれはヒ・ミ・ツ♡)」

私は装花3世です!アゲさん!もっとお話したいです!ライン交換してください!

「いいよ!私は宗教の話聞くのは好きだから勧誘してくれてもいいけど入らないからノルマがあるならやめといた時間の無駄かもしれないけど」

勧誘なんかしませんよ!恋バナ聴いてください♡

「うん!」

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後日あとオシャレなカジュアルフレンチでランチして、5時間ぐらいのうち4時間ぐらい装花の話聞いた♡



えっいいんですか!?お菓子とか買います!!