（FMぐんまの♪おとな電話相談室♪の時間です。
けさも、群馬県ブラジル村のドラァグクイーンのみなさまが
相談をお受けします）

「”ゲイの友達を持つのがいい”って、サラ・ジェシカ・パーカーが、
言ってたのが、ゲイの地位向上よ、うれしくない？」
「何百年前の映画よ」
「だいたい、ゲイの地位向上って、どんな地位にいるのよ。上は誰？下は誰？」
「しかも、ゲイが、女性のアクセサリーになるってのは、もう一つ倒錯が必要よね」

（無駄話はそこらへんで。リスナーが電話の向こうでお待ちなんですけど）
「なにが無駄話よ、私の人生、無駄でできてる」
「だいたい、この時代に、電話相談室って、どういう立ち位置なの？」
「それに、朝８時に、ゲイの放送って、誰が聞くの？」
「農夫じゃあないんだから」
「なんか言ったら？喋らないアナウンサーだよね、このジャガイモ頭。
バター塗って食っちゃうぞ」

（もしも〜し、お名前とご年齢を）
[ラジオネーム、群馬のこんにゃく。年齢は、ハタチ]
（お悩みは？）
[この1月に成人したんだけど、10代からは”ジジイの仲間入り”って言われるし、
おとなになっていいことって、なんですか？]

「いいこと、たくさんあるよ。18歳からベジタリアンになれるし、ははは」
「スベってるよ、このおかま」
「ピーターパンみたいにずっと子供でいれればいいのにね」
「年齢は若くなれないけど、気持ちは若くなれるから」
「いったい、なんの話？」

「ティンカーベルって、おせっかいな妖精、あれ、じゃまよね」
「アンタ、いつから女嫌いになった？」
「オヤジが外に女をつくって家にいないし、帰ってきたらDV。オヤジから逃げていた。そのうち部屋にこもるようになって、かわいそうなおふくろの真似して化粧するようになって、鏡の中の自分を見たら、これが自分だ、と思うようになって」

（あのう、相談員の身の上話はよくて、電話の向こうで、首を長くしてハタチが
待っているんですけど）
「うるさいわね、このジャガイモ頭、バター持ってこい。それで、」
「私たちって、家庭環境似てない？マツコもマングローブもお母さんの話はしても、オヤジの話はしないでしょ。クイーンのフレディも、厳格なオヤジとやさしいお母さんでしょ」
「でも、さあ、男に恨みを持っているのに、どうして、フェロモン発散の若い男を好きになるの？ふと思うことがあるの」
「暴力犯の恐怖から、犯人に同情する”ストックホルム症候群”？」
「私たちは、逃れられなかった恐怖を味わってるのよ。この状況を救ってくれるのは、弱い母親の愛より、より強い力だと信じて、首が太いとか、胸板の厚い男とかを求めるようになったのよ」
「レズビアンの方は、女性はクールだから力そのものを信じていないの。傷を舐めてくれる存在を求めて[傷を舐めてあげようかー傷を舐めて]レスビアン・カップルが生まれるの」
「じゃあ、バイセクチュアルは？」
「慈母への愛が強く残っている人の心情が、両方向に向かわせたのよ」

（あのう）
「さっきからミキサールームが、タバコの煙ですごく曇って見えない。異常よ」
「なんか、興奮してタバコ吸いまくり？激しく共感してくれてるの？両腕で、輪っかをつくってるわよ」
「あとで、私たちで、食べちゃおうか」
（あのう、おかまの悩みにギャラ払えませんよ）
「おかま？お前に言われたくない。美輪明宏さんは、自分たちを”おかま”と呼ぶなって、おっしゃってるし」
（ですが）
「うるさいわね、ハタチの首の長い男よね」

「そもそも、おとなになったから、ポジティブって、どこにそんなスイッチあるの？」
「なる必要ないよ。世間の圧力に負けちゃダメ」
「そう、だいたい、ポジティブに生きろって、自分ができなかったから言ってるのよ」
「ふつうに生きるのが、おとなってこと」
「でもね、ふつうがいいなんて、若い頃、思わないよね」
「ふつうじゃないことをずっと体験して、じょじょに思うこと。私たちみたいに」
「ここで、なぜ、涙ぐむ？」
「肩の力を抜いて生きればいい。私たちみたいに」
「抜きすぎ」

[肩の力抜いてると、やる気あんのかと、おとなに言われて、、]
「やる気だけで解決できるか？早い話が、おかまのように生きろってことよ」
「マイペースをつらぬくのよ」
「その男に従っている限り、その男にうまく利用されて、その男を超えられないわよ」
「これが、成人式で私たちが教えてあげたかった、どこ吹く風の”おかま独立
宣言”」

（こんにゃくさん、おわかりになりましたかぁ）
「わかるわけないじゃん」
「ピーターパンがおとなにならなかったのは、永遠に自分でいられる自由を手に
入れるためだったのかな」
「差別されている孤高のおかまと、ピーターパンは、そんなに変わらないのよ」

（FMぐんまは、全面的にGLBT運動を支援します。しかし、放送された意見は、
個人の意見であり、FMぐんまの見解ではありません）
（や、やめてください、私の頭にバターを塗るのは）