「橘さんって、髪綺麗だよね。」 「桜って髪綺麗だよね。」 学生の時からよく言われる。それは、社会人になっても変わらない。 その中でもよく褒めてくれたのが幼馴染の葵だった。 容姿端麗、明朗闊達とはまさにこの子のことだろうと思わせるような、そんな子だった。 「だった」とは少し嫌なことを想像させるかもしれないが別に亡くなったわけではない。 ただ、少し、存在が遠くなっただけ。 雨の日。空気が肌にぺたりとひっついて離れない少し厄介な日。そんな雰囲気と真反対のテレビから聞こえる