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【映画感想】望み


本日観たのは、堤幸彦監督の『望み』。Twitterで少し話題になっていて気になったので、チェックしました!

↓以下、ネタバレありです↓

【あらすじ】

一級建築士の石川一登(いしかわかずと)とフリー校正者の妻・貴代美(きよみ)は、一登がデザインを手掛けた邸宅で、高校生の息子・規士(ただし)と中三の娘・雅(みやび)と共に幸せに暮らしていた。規士は怪我でサッカー部を辞めて以来遊び仲間が増え、無断外泊が多くなっていた。受験を控えた雅は、志望校合格を目指し、毎日塾通いに励んでいた。冬休みのある晩、規士は家を出たきり帰らず、連絡すら途絶えてしまう。翌日、一登と貴代美が警察に通報すべきか心配していると、同級生が殺害されたというニュースが流れる。警察の調べによると、規士が事件へ関与している可能性が高いという。行方不明者は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとももう一人の被害者なのか。

引用:https://filmarks.com/movies/89501

【キャスト】

石川一登:堤真一
石川貴代美:石田ゆり子
石川規士:岡田健史
石川雅:清原果耶
三浦貴大
野田弘美:早織
西尾まり
平原テツ
渡辺哲
寺沼俊嗣:加藤雅也
織田扶美子:市毛良枝
内藤重彦:松田翔太
高山毅:竜雷太
飯塚杏奈:松風理咲

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/望み_(雫井脩介の小説)#キャスト

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幸せな家族の日常を奪った殺人事件。朝まで帰らない高校生の息子の行方が分からない数日間の描写は、見ていてうずうずしました。高校生という思春期真っ盛りの時期ということもあり、普段の出来事を多くは語らない息子。事件に巻き込まれているという可能性に対し、何があったのか、本当に巻き込まれているのか、息子を信じたいけれど自分たち(家族)の知らない部分もあるのではないか……という不安と葛藤する父(堤真一)と母(石田ゆり子)の姿が印象的でした。

不安と葛藤する姿は二人とも同様にありつつ、被害者かもしれないと考える父と、加害者かもしれないと考える母との相反する想いが交差する姿どちらにも共感できる部分がありました。

優しい息子は人を殺すような奴ではない、と息子を信じるが故に息子が死んでいる、被害者である可能性を考える父。

生きていてさえくれれば良い、と強く願うが故に息子が殺人を犯している、加害者である可能性を考える母。

息子を信じたい気持ち、息子に生きて帰って来て欲しい気持ち。どちらも親としては強く強く願いたいことなんだと思います。

そして、この映画の中で印象的だったのは、映画の冒頭で高校生の息子の将来に対し、父がかけたこの言葉。

「大人になったら、自然に何でもできるようになると思ってたけど、そうじゃないな。

何もしなかったら、何もできない大人になるだけだ。」

映画の冒頭なのでさらっと聞き逃しがちなシーンですが、この言葉は非常に頭に残りました。恐らくどんな人も納得できる言葉でしょう。シンプルな言葉ほどしっかりと胸の奥へ入り込みますね。

また、最後に警察官が父と母へ放つこの言葉にも共感しました。

「心の優しいお子さんほど、ご両親に心配をかけまいとする。

しっかりしたお子さんほど、問題を自分で解決しようとします。」

迷惑をかけたくないと思う人は、人を頼るのが苦手なんです。不器用ながら、悲しませないように、心配をかけないようにとどうにか一人で解決する方法を探ります。けれど、それが最悪の事態を招くこともある。この映画のように。

側から見ていれば、事態が最悪になる前に親でなくても誰かを頼れただろう、と思います。けれど、こういうことは現実でも起こりがちな気がします。(犯罪とまでは行かなくても。)

この映画は本当に不幸な話ではありますが、人を頼れず最悪なことが起こってしまうという状況としては結構あることだと思います。

お子さんを持つ方々、友人や恋人、親族など大事な人がいる方々。人を頼れない真面目な優しい人達に、少しでも頼ってねと伝えて欲しいなと思った作品でした。

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