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#36 資格の話 (2)

私は学生の頃、ある程度はテキストや参考書を自分で読み進めるとそれなりに内容が理解できていた。だから、社労士試験でもそれでいけるだろうと思っていたのだが、やはり社会人になった自分が学生の頃と同じ学習で太刀打ちできるものではなかった。

教訓:学生時代の勉強法は社会人になって通用するとは限らない

出願期間が過ぎたため、私は翌年の試験をターゲットに決めた。ただ、同じような学習はどこかで行き詰まると直感したため、どこかのスクールにお世話になることにした。
当時は大阪に住んでいたのでスクールに通うこともできたのだが、私はこのとき、某スクールの通信講座を申し込んだ。通学クラスに比べて安いということと、定期的にDVDが自宅に送られてくるので学習習慣を身につけられるだろうというもくろみだった。

DVDとテキストが自宅に届き、新しい勉強が始まった。やはり独力でテキストを読み進めていくよりはわかりやすい。テキストの内容も力を入れるべきポイントを教えてくれるからメリハリがつく。そのため、秋から冬あたりまでは順調に学習が進んだ。
ところが、健康保険法あたりから雲行きが怪しくなった。健康保険は厚生年金とリンクして制度設計されているので、両方を見据えて勉強する必要がある(反対に、両方を見据えられれば効率よく勉強できる)。しかし私は柔軟な勉強が出来なかった。そこでつまづいてしまい、なかなか前に進めなくなってしまったのだ。定期的にDVDは送られてくるので、それが積み上がっていくプレッシャーが私を追い詰めていった。

なんとかDVDを見終えたのは出願期間どころか、試験本番の半月ほど前だった。しかも過去問の勉強はそこから手をつけるという有り様。資格試験合格の王道は過去問の研究にあるのに、直前になったのには理由が2つある。

理由1 つまづいた時のリカバリーが出来なかった

申し込んでいた通信講座は安いが故の理由もあり、DVDやテキストを送るのはいいが、受講者からの質問を受け付ける仕組みが郵送のみだった(次回教材の配送時に回答が同封されるシステム)。そのためどうしても問題解決に時間を要してしまったのだった。
思い返してみれば、学生時代は分からない点をすぐに先生に聞いていた。だから、つまづいたとしても早めにリカバリーが出来ていた。しかし通信教育では(ここほど極端ではないにしても)タイムラグが生じる。ここは下調べが足りていなかった。

理由2 「見る」ことが目的になってしまった

DVDの配送スケジュールに追われ、本来は内容の理解が第一になるはずが、とにかく「こなす」ことを優先するようになってしまった。そのため、十分に理解しないまま次の章に進んだところでほとんど意味はない。

結局、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法は「一通り上っ面を撫でた」程度で本試験を迎えることになった。

(ご存知ない方のために)社労士試験は「択一式」と「選択式」の2種類の試験が行われる。
択一式は、「正しい(誤っている)ものをひとつ選べ」のような出題形式で、1問につき5つの選択肢から選ぶ。
選択式は、1科目当たり10~20行程度の文章に5箇所の空欄があり、空欄に当てはまる語句や数値を、20個の語群から選ぶ。
いずれもマークシート方式で出題される。
択一式は1科目10問×7科目を3時間30分で解き、満点70点。
選択式は1科目5点×8科目を1時間20分で解き、満点40点。

私の社労士試験初受験は平成23年、関西大学キャンパスだった。
この年の3月に東日本大震災があり、それまで午後に設定されていた択一式試験が電力事情を考慮して午前に変更された。そのため朝早くからスタミナ勝負の試験形式に対応する必要があったのだが、やはり私は明らかな準備不足だった。前半はそれなりに解けていたが、後半(社会保険関係)になると問題文が何を言っているのかわからなくなる問題が続き、当然解答の選択肢を絞り込むこともできない。最後は淡々とマークシートに同じ記号をマークし続けてタイムアップを迎えた。
午後の選択式試験はほとんど記憶にない。大勢の受験者に混じって関大前駅まで歩いた記憶はあるので、試験は受けているはずだが。

自己採点をする必要もなく、不合格だった。惜しい点すら見当たらなかった。

私はその後転勤によって大阪を後にした。関東に移り住んだ私は少しの間社労士試験から距離を置いた。

(続きます)

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