#27 JAPAN X BOWL 2020 ゲームレビュー

変則シーズンだった2020年のXリーグを締めくくるボウルゲームが無事開かれた。最後のプレーまで緊迫した展開となり、最高峰を決めるにふさわしい試合だった。

第1クォーター

[富士通]自陣24ydからの攻撃
RBグラントとQBバードソンのランでテンポ良く前進。パスを織り交ぜるがオービックDLのプレッシャーでロングゲインを許さない。2回の更新に抑え込まれてセンターライン付近からパント。オービックフェアキャッチで攻守交代。

[オービック]自陣9ydからの攻撃
細かなゲインで1回更新したが、その後の1stダウンでQBロックレイがサックを受け大きくロス。敵陣に入れずにパントで富士通フェアキャッチ。

[富士通]自陣30ydからの攻撃
最初のパスでオービックにパスインターフェアの反則がありオートマチック1stダウン更新。ショートパスは精度高く通るもののロングパスは長短の調節が十分にできておらずバードソン自身が走るプレーで大きくゲイン。敵陣22yd地点で投じたパスはレシーバーが弾いてオービックDBブロンソン・ビーティーがインターセプトで攻守交代。

[オービック]自陣22ydからの攻撃
RB李のランを織り交ぜながら、TEハフ、WR西村へのパスがヒットしエンドゾーン手前敵陣1ydまで前進。ここで李が右に展開してタッチダウン。TFPキック成功。ターンオーバーから一度もパス失敗やロスなくゲインの連続で先制に成功。富士通 0-7 オービック

[富士通]キックオフタッチバック、自陣25ydからの攻撃
グラントのランがほとんどゲインできず、苦し紛れに投げた縦方向のロングパスが通らずスリー・アンド・アウト。パントでオービックWR池井のリターンが終わりクォータータイム。

第2クォーター


[オービック]自陣42ydからの攻撃
ランが着実にゲインにつながるが、ロックレイのパスの精度が低くシリーズで投じたパスは2回ともインコンプリート。センターライン付近から投じたパスはWRとのミスコミュニケーションで易々とDB奥田にインターセプトを許す。

[富士通]自陣31ydからの攻撃
グラントとバードソンのランで1回更新したがその後のパスが3度続けてオービックDL陣の巧みなカバーでヒットせずパントへ。富士通はターンオーバーで得た攻撃権をスコアにつなげられず。

[オービック]自陣27ydからの攻撃
ロックレイーハフのホットラインで2回連続パスを通し一気に敵陣進入。続けてハフに投じられたパスの後、タックルを受けたハフがボールを取りこぼし富士通がカバーしてエンドゾーンへ。1回目のビデオレビューによりタッチダウンのジャッジが覆りボールデッド。このプレーで1stダウンを更新したオービックは命拾いしたが、次のプレーでパスレシーバーがファンブル。パスキャッチが完成していたかどうか2回目のビデオレビュー。結果はパスインコンプリートでまたもオービックにとって有利にジャッジが覆った。
ここから李がラン、パスキャッチ、ランと3プレー続けてゲインを決めて一気にタッチダウン。TFPキックは富士通にブロックされ失敗。
富士通 0-13 オービック

[富士通]自陣18ydからの攻撃
キックオフレシーバーがリバースピッチを見せたがオービック落ち着いて処理。グラントのランが2回続けて出て更新。さらにWR松井へのパスがヒットして攻撃のバリエーションが生まれ始める。グラントへのパスはセカンドエフォートで一気に敵陣中盤まで侵攻し、その後ロスやパスインコンプリートなしで攻撃を続ける。敵陣12ydでエンドゾーン左奥コーナーに投じたパスを松井がジャンプしてキャッチしタッチダウン。TFPキック成功。
富士通 7-13 オービック

[オービック]自陣25ydからの攻撃
WR池井の個人技で一発更新したが、その後パスインコンプリート、ロックレイのファンブル(自チームカバー)もありそのまま時間を流してハーフタイムへ。

前半はロングパスがほとんど決まらない中でランプレーの勝負に。オービックRB李が小刻みなランで2TDをマーク。かたや富士通RBグラントはオービックDL・LBの前に爆発的なゲインを見せられず。オービックとしては前半にリードを奪い逃げ切りを図る展開に持ち込めた。富士通はリーグ戦でほとんど経験のないビハインドからの追い上げを強いられた。

第3クォーター

[オービック]自陣34ydからの攻撃
パスは10~15yds程度、ランはショートの攻撃を細かくつないだが、富士通守備中盤が大きなゲインを許さず、富士通陣28yd地点で4thダウンに追い込んだ。ここでオービックK山﨑がFGを大きく左に外した。このシリーズ、攻撃に6分以上を費やしたが得点にはつながらず。

[富士通]自陣28ydからの攻撃
バードソンからWR岩松へのショートパスを通すもオービックDB陣がすみやかに集まりランアフターキャッチを阻止。グラントのランが続いて1stダウンを更新するが、パスターゲットが見つからないバードソンが自ら走ってほぼノーゲイン。3rdダウンもロングパスが決まらずパントで攻守交代。オービックはフェアキャッチ。富士通はLBニクソンをRBとして投入してキャッチアップのギアを入れたがスコアできず。

[オービック]自陣7ydからの攻撃
李が2回で40yds近く走ってセンターライン付近までボールを上げると、ロックレイからWR水野に23ydsパスが決まり敵陣へ。ここでスナップミスでロスすると2ndダウンでロックレイがサックされてクォータータイム。3Qは両チーム無得点。

第4クォーター


[オービック]敵陣45ydからクォーター開始
3rd & 24でオービックがオフェンスのパスインターフェアを取られて15ydsの罰退、さらにフォルススタートも加わり3rd & 44というとんでもないロングシチュエーションを強いられる。結局自陣35ydからパントで攻守交代。オービックは反則でリズムを大きく崩し、富士通にとってまずまずのフィールドポジションを明け渡した。

[富士通]自陣38ydからの攻撃
バードソンからWR森田へのパスで一発更新を決めたが、その後バードソンのランが止められ、2回続けてパスインコンプリート。悪くないポジションからの攻撃だったがセンターラインからのパントで攻守交代。このシリーズは約1分で終わった。

[オービック]自陣9ydからの攻撃
自陣エンドゾーンを背負って攻撃するがゲインが出ず富士通ディフェンスの餌食に。スリー・アンド・アウトでパント。この攻撃も1分半で終え、3Qから一転して目まぐるしく攻守が入れ替わる。

[富士通]敵陣39ydからの攻撃
グラントに加えニクソンのランでオービックDLを消耗にかかる。プレッシャーを受けたバードソンのパスをWR中村がキャッチしたプレーをアウト・オブ・バウンズとジャッジしたことで3回目のビデオレビュー。ここはパスコンプリートと判定され富士通側に有利なジャッジへ。エンドゾーンまで11ydsとなるも3回の攻撃で9ydsのゲインにとどまった。残り5分弱、4th & 1 のシチュエーションでFGかプレーか注目されたが富士通はギャンブルを選択。バードソンがキープしてエンドゾーンへ持ち込もうとしたがタックルでボールをこぼし、オービックがこれをカバーして一気に反対側エンドゾーンまで持ち込んだ。ここで4回目のビデオレビュー。結果、バードソンのダウンが先となりタッチダウンは認められなかったが、バードソンが1stダウン更新には到達していないとジャッジされターンオーバー。オービックは土壇場でディフェンスが踏ん張った。残り時間は4分40秒。

[オービック]自陣1ydからの攻撃
セーフティの失点の危機を背負って始まった攻撃は時間消費を兼ねて李のランプレーに一本化。4回続けてランを展開して自陣中盤まで回復したが、十分に時間を使い切るには至らずにパントへ。ここでP長尾のパントが50yds以上押し戻す大きなキックになった。残り時間1分31秒。

[富士通]自陣22ydからの攻撃
2回連続で10ydsを超えるパスで更新を続け、たちまちセンターライン付近までゲイン。ここでオービックDLとLBがバードソンにプレッシャーを強くかけ、パスインコンプリートを3回続けさせ、時間も浪費させた。ここで富士通の底力が発揮され、4th & 10 のギャンブルからバードソンのランが成功。ラテラルパスからのグラントのランはショートで止まったが、WR宜本へのパスで更新に成功。さらに松井へのパスが通りエンドゾーンまで6ydsまで攻め入る。残り2秒のラストプレーはエンドゾーンへのパス。これをカットされて試合終了。
富士通 7-13 オービック(7年ぶり9回目の優勝)

結局後半は両チーム無得点で終わったが、攻撃力が乏しいために無得点となった試合ではなかった。守備の集中力が尋常なレベルでなかった。ここ一番での守備が光り、ロングゲインのシーンがほとんどなかったのがその証左だろう。
4回のビデオレビューが行われる異例の試合だったが、審判団はスムーズに試合を運んでいた。往々にしてレビュー中に中だるみが起こるものだが、てきぱきとジャッジしていたのが印象的だった。

今年は春のトーナメントが中止になり、秋のシーズンも試合数が半分以下に抑えられ、チームとしての調整がまともにできなかったことだろう。その中で最後のワンプレーまで息詰まる試合を見せてくれた両チームに感謝したい。
そして来シーズン、また楽しい試合を見せてもらえるようファンとして心待ちにしたいと思う。

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