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刹那を楽しむ

石は地球上のどこにでもあるものですが、その石が自分の目の前に現れるまで、何千年、何万年という時が経過しています。その長い年月を経て、たまたま今、その形になって自分の前に現れているわけです。
自然石はどれも個々に形が違いますが、川の上流では「いったいどういう経路をたどってこの形になったんだろう?」と思わずにいられない不思議な形をした石が現れることがあります。
実際その石がそれまでどのような経路を辿ったのかはわかりませんが、間違いなく言えるのは、この後、下流に流されていく過程で石と石がぶつかりあって、不思議さを醸し出す源泉である突起部分が欠けていくだろうということです。
ならば、今のその不思議な形の寿命は長くはないということです。そういう刹那な存在と一期一会でかかわるのですから、ロックバランサーとしては刹那な形が最も映えるようにロックバランシングをするのは、使命とも運命とも言えると思っています。

ロックバランシングによる造形はとてもデリケートで儚い存在です。それは刹那な存在をさらに刹那な状態で表現していることになります。
刹那に刹那を重ねるという、非常に稀有な時間と状況を作り出し、それを堪能するのも人間だけができる贅沢でしょう。

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