Quanny

忘れないうちに夢について話すからさ、コーヒー淹れて飲み干すあいだ、聞いててくれない?

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忘れないうちに夢について話すからさ、コーヒー淹れて飲み干すあいだ、聞いててくれない?

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大きな窓のある白い部屋

大きな窓のある白い部屋に帰ると昔の恋人が荷物を整頓している。 その横にもう一人私に似た人もいて、シーツにくるまってその様子を眺めている。 私は「来てたの」聞くと「近くに来たから元気かなと思って」と答える。「出ていくの」と聞くと「目的地のある人は強いね」と微かに笑って私を抱きしめて、また荷物に目を向ける。 その瞬間、シーツの中の人は私だと気づいて、この部屋にはもう誰も居てはいけないと強く思った。私はそこに丸まる私をシーツごと引っ張って、すべてを置いて部屋を出た。 外は真夜中

    • 「ニルギリの香り」

      南インドの田舎のお話。 出てくる人はみんな陽気で笑い方が上品。 無言でカレーを食べる家族の食卓のシーンが暗いけど暖かくてよかった。 鉄道で離れ離れになる男女のシーンは空と植物の色が鮮やかできれいだった。という映画をみた。 という夢だった。 2021.10.12.

      • 泳げるアリクイと船

        昼下がり、木漏れ日の刺す水路をボートで下る。 目的地はわからない。水路脇には細長い木々がお辞儀をするように揺れている。モネの絵みたいな風景。船頭さんは背の低い中年の男性で、黙々とオールを動かしている。乗客は私ひとり。 あんまり気持ちのいい日差しに目を閉じた。瞼の裏で木漏れ日が模様を作っては消えていくのを見ていた。目を開けて船の下の水を触ろうと手を伸ばした。水中の石は苔が蒸してジメジメしていて少し気持ち悪くなったので手を引っ込めた。 その瞬間、アリクイみたいな生き物が船尾の

        • 夜見る夢について話すから聞いていてね

          本当は恋人にしてほしいことがあって。 休日の朝、夜に見たどうでもいい夢の話を聞いてほしい。 まどろみながら私がぽつぽつ喋るのを意識の片隅で聞いていてほしい。 二人で二度寝してしまって夢の続きで集合するのもいい。 ちゃんと起きた後はコーヒーを一緒に飲んでほしい。 飲み終わるまでには起きるから。 そんな人はなかなか居ないので私はここで時々夢の話をする。 誰かの夢の話って大抵の人にとって凄くつまらないものだから普段の会話では話題にしない。 それなのに夢の話を聞いてくださる人

        大きな窓のある白い部屋