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発達障害診断の闇と、行政サービスからの光


1.臨床での発達障害(神経発達症)の診断の難しさ


2024年1月において、発達障害(神経発達症)の診断ができる医師は、精神科医の中でも、更に限られています。
そして、薬を処方できる薬局も限られています。
現に私は、過去3年4ヶ月通ったBクリニックの精神科医から
「僕は(発達障害)診断できないし、(診断できないから)薬も出せない」
と言われたことをきっかけに、発達障害を専門に診られるCクリニックへ転院しました。
私と同じようなパターンで転院を繰り返す人は、一定数います。
昭和大学病院附属烏山病院の病院長を勤める岩波明先生は、本の中でこう述べています。

ある患者さんは、最初のクリニックでは「そんなものは病気ではない」と一喝され、次のクリニックでは「自分は専門ではないのでわからない」と医師から言われ、さらに受診した大学病院では「可能性はあるけれども、はっきりと診断できない」と曖昧に告げられてしまったため、最後に当院の外来を受診されました。

武田双雲、岩波明(2022.10.1):ADHDを「才能」に換える生き方他人と違っても悩まなくていい!,p165

あとは、2年間で2か所から退職させられたことも原因のひとつです。(1か所目は産業医が復帰を認めなかったことによる休職期間満了による自己都合退職扱い、2か所目は著しいコミュニケーション不足と独断専行が目立つことによる退職勧奨。)
Bクリニックでは、3年間も、二次障害の鬱病の治療ばかり行なっていた訳です。
それが悪いわけでは決してないのですが、「出来ないことは言って欲しい」と思った出来事でした。

【サクッと用語解説】二次障害
発達障害の特性ゆえに周囲の環境や対人関係などによって、精神的に深刻なストレスやダメージを受け続けた結果、不安障害、統合失調症、双極性障害(躁うつ)、うつ病などの疾患を発症すること。

参照:発達障害の二次障害 Kaien(閲覧2024/03/30)


2.発達障害の診断サポート[WAIS-Ⅳ知能検査]


幸いBクリニックには心理士さんが勤めていたため、WAIS-Ⅳ知能検査をしてくれました。(2022年10月1日)

WAIS-Ⅳ知能検査は、発達障害の診断やサポートに活用される成人用の知能検査のひとつです。ウェクスラー式知能検査の中の1つで、世界で広く使われています。
WAIS-Ⅳ検査の数値は個人情報なので、扱いには充分にお気をつけください。

ちなみに私の場合、言語理解指標(VCI)が一番高く、ワーキングメモリの指標(WMI)と処理速度指標(PSI)が90台でした。
一番高い数値と一番低い数値が15以上あると、発達障害の条件のひとつに該当するそうです。
私は差が22程度あったので、しっかり当てはまりました。
心理士さんから
「ワーキングメモリと処理速度の低さを、言語理解でカバーしてこられたんですね」
と言われたことをよく覚えています。


3.自分の能力の凸凹を落とし込む


結果と分析のプリントの原本をCクリニックに提出してしまったので、生憎どんな助言が書かれていたかはうろ覚えになってしまいました。
でも今はネットが普及しているので、自分の能力の凸凹をザックリ把握するのに問題はありません。

私の場合、凸は口頭指示・説明の理解、言葉での説明や会話によるコミュニケーション。むしろ、そちらの方が苦は少ない知能になっている。
凹は、①集中し続けるのが難しい。あと、聴覚情報を脳内で処理する際に困難があるので、会話や指示の内容を覚えることが難しい。読み書き算数にも影響が出やすい。電話対応が苦手なパターンです。
視覚情報の素早い処理や、その情報に基づいた作業を時間内に終わらせることに困難がある。黒板の書き写しや単純作業が苦手だったり、思考の柔軟性や切り替えが困難だそうです。


4.更にうつ病が加わる


私の場合になりますが、発達障害の二次障害でうつ病を発病しています。
2024/03/29に医師から預かった自立支援医療(精神通院医療)意見書(診断書)によると、該当するのは、
 (1)抑鬱状態
    1.思考・運動抑制
    3.憂鬱気分
    4.その他(不眠)
になっています。
飲んでる薬も、発達障害と鬱の両方に合わせた薬になっています。
参考までに。
全て1回量です。⚪︎T=⚪︎錠です。
 ストラテラ(アトモキセチン)35mg 1T
 インチュニブ(グアンファシン)1mg 1T
 レクサプロ(エスシタロプラム)10mg 0.5T
 リーゼ(クロチアゼパム)5mg 2〜3T
 レンドルミン(ブロチゾラム)0.25mg  1T
 デエビゴ10mg 1T

個人的には、インチュニブの薬価が1mg1錠405.5円なことに驚きを隠せません。
ありがとう、自立支援医療制度。1割負担でメッチャ助かります。3割負担だったら破産してる、インチュニブで。


4.自立支援医療制度は絶対オススメ


自立支援医療は、申請書と診断書が市区町村のホームページにPDFで載っていることがよくあります。
ホームページに載っていれば、書類をもらいに役所の障害福祉課的な所まで、行かなくても済むので楽です。家のプリンターか、コンビニのネットプリントで印刷しましょう。
精神科はとにかく治療に時間がかかります。
看護学生時代に、治療効果がわかるまで時間がかかることの例えとして、
「救急の1時間が病棟の1週間で、病棟の1週間が精神科の6ヶ月」
と教員から教わったことをまだ覚えています。
精神疾患になると、立場によっては、どうしても家の経済・生活基盤に直結してきます。
財布の紐を締める所はしっかり締めておきましょう。

自立支援医療は、役所へ提出さえできれば、即日でコピーを渡してくれるので、それを持って病院ないしクリニックへ診察券と一緒に提出するだけでOKです。

メリットととして、①自己負担金額が1割になるし、②ひと月にかかる通院先と薬局での合計自己負担額の上限も設けてくれます。私の場合2,500円です。
デメリットは、医師の診断書など、自費診療は対象外になることです。


5.行政のパワーを活用する


お金に直結する行政サービスは、調べてみたところ意外と限られています。
  ①自立支援医療
  ②障害(基礎・厚生)年金
  ③障害者手帳
  ④生活保護
この4つ程度です。

あとは、障害者雇用を目指す場合に、就労移行支援サービスを利用する時に必要な、障害福祉サービス受給者証もあります。
障害福祉サービス受給者証は、更新なしで有効期限が2年しかないので、就労移行支援サービスとの契約がガッチリできたタイミングで申請に行きましょう。
就労移行支援してくれる所が、申請するタイミングについてちゃんと言ってくれるはずです。


参照先


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