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UTMB 2021参加者の居住国はどこ?

世界最大規模のトレイルレース UTMB®︎ は 2021年8月下旬に開催予定です。

今年はポストコロナ後、初の開催です。

2020年のUTMBは新型コロナウィルスのパンデミックのため5月に中止が決定されました。

今年エントリーした人は、今期も新型コロナウィルスが感染拡大してUTMBが中止に追い込まれるリスクを承知の上でエントリーしています。

以前であれば、家族や仕事先と調整さえ済ませておけば、UTMB に参加できましたが、現在は、開催国(フランス・イタリア・スイスの三カ国)の感染状況や居住国の感染状況に大きく依存します。

また、今期のイギリスのように、リスクが高い変異ウィルスの震源地とみなされると、他国から渡航をブロックされます。

一方で、ワクチン接種済みであれば、夏頃には渡航の自由度が増しているかもしれません。

不確定要素が多いため、今年のエントリーを見送るのは自然なことです。

そのような状況下にもかかわらず、エントリーしたのはどういった人たちなのか、居住国を確認します。

6月には参加の先送りが許可されました。その変化も確認します。

調査方法

UTMBの参加者一覧ページで抽出します。

Countryは

・居住国(Country)
・国籍(Nationality)

の2種類があるため、目的に応じて使い分けます。

参加者は以下の2回のタイミングで比較しています。

・2月の抽選直後
・7月のゼッケン発行後(=参加先送り選択後)

UTMB の居住国別集計

UTMB(R)の居住国ベースでの参加者数の推移を確認。

前回2019年のトップ20は以下の通りです(参考)。

1. France 4104 runners
2. Spain 892 runners
3. Italy 695 runners
4. UK 545 runners
5. China 397 runners
6. Japan 317 runners
7. Switzerland 332 runners
8. USA 263 runners
9. Poland 253 runners
10. Belgium 234 runners
11. Hong Kong 212 runners
12. Portugal 170 runners
13. Germany 140 runners
14. Argentina 116 runners
15. Sweden 99 runners
16. Brazil 93 runners
17. Canada 83 runners
18. Australia 73 runners
19. Finland 63 runners
20. Thailand 62 runners

今年は、欧州からの参加者数が多く、トップ3は以下でした(参考)。

1. フランス
2. スペイン
3. イギリス

イタリア・アメリカと、前回から参加者数が大幅に減った日本と中国(5位→14位)を追加して、参加者数の推移を確認します(YCCは除外)。

UTMB(R)居住国別参加者数

日本と中国は1月のエントリー時点で大幅に減りました。

6月にはいって先送りオプションが可能になると、日本・中国ともに更に減少。特に、日本は約1/6の22人にまで減りました。
ヨーロッパ諸国では、変異株の被害が大きいイギリス居住者の半分以上が参加を見送っています(743→310)
※イタリア・アメリカは2月の抽選直後の参加者数は不明。

大会開催時には、日本・中国ともにさらに減りました。共に2019年の1/20程度です。

100マイルのUTMB カテゴリーに限定して参加者の居住国を確認すると、2月の抽選直後ではトップのフランスだけでほぼ半分の50.7%(1166)を占め、続くスペイン、イギリス、イタリアを足すと、3/4 近くを占めていました。

UTMB 2021 _ 居住告別参加者

7月になると、参加者の一角をしめていたイギリス・中国・日本からの参加者が激減しています。

UTMB2021の居住国別参加者の変化

UTMB カテゴリーに限定し、過去3年の日本からの参加者の推移も確認します。

UTMB 日本からの参加者数

最終的にはわずか12名だけが参加予定です。

以降は、日本人(Nationality)に限定して、各カテゴリーの居住国を確認します。

イベント全体の日本人参加者

UTMBやTDS などのカテゴリーを区別せず、イベント全体の日本人参加者を居住国別に分類します。

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2月の抽選直後の構成です。

UTMB(R) 2021 _ 居住地域別参加者数

87%が日本からで、13%が国外。特に、欧州からは7.8%(12人)が参加予定でした。

・アメリカ以外の北米
・南米
・オセアニア

などエリアからの参加者はいませんでした。

7月になると、構成が大きく変わります。

UTMB 2021 _ 日本人参加者の居住地域(2021_07)


日本からの参加者が激減したことにより、日本:海外 = 2:1 になっています。

開催時には、日本からの参加者がさらに激減します。

UTMB 2021 _ 日本人参加者の居住地域(大会時)

日本人の参加者は合計16人日本:海外 = 3:5です。

以降は2月の抽選直後でのレース別居住国構成です。

UTMB

UTMB 2021 _ 居住国

92.9% とほとんどが日本からの参加者です。

内訳

・日本 78
・米国 3
・オランダ 1
・シンガポール 1
・タイ 1

TDS

TDS 2021 _ 居住国

73.% と3/4 が日本からの参加者。

TDS は海外居住者率が一番高く、特に約1/4(23.3%)が欧州居住者です。

内訳

日本 22
イギリス 2
スウェーデン 2
ドイツ 1
オランダ 1
フランス 1
タイ 1

CCC

CCC 2021 _ 居住国

79.2% が日本からの参加者です。

内訳

日本 19
米国 2
イギリス 1
オランダ 1
ベルギー 1

OCC

OCC 2021 _ 居住国

9人全員が日本からの参加です。

入賞候補の上田瑠偉さんはこのカテゴリーにエントリーしています。

内訳

日本 9

MCC

MCC は ボランティア、地元居住者および大会または大会パートナー経由の申込者のみエントリー可能なので、少し特殊です。

MCC 2021 _ 居住国

85.7% が日本からの参加者。

内訳

日本 6
オランダ 1

考察

既報の通り、今年の UTMB は 欧州からの参加者が多いのとは対象的に、近年増加傾向にあった日本・中国からの参加者が大幅に減少していることがわかりました。

アメリカ・イギリス・イスラエルなどの状況から、コロナウィルスの感染拡大防止にはワクチンが極めて有効であることが明確になり、夏の開催に向けては、ワクチンの摂取がどこまで普及するかが鍵を握っています。

欧州に限定すれば、夏には摂取が終わる見込みです(図の引用)。

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フランスと同じくEU加盟国のイタリアも供給(≒接種)スピードは同じです。

第5位の参加者数を誇るアメリカは欧州よりも早く接種が完了する見込みです。

また、東アジアやオセアニアは欧米では考えられないほどに感染被害が小さく、安全(グリーン)な国としてヨーロッパ内への渡航が許可されていることが多いです。

一方で、7月時点の状況を鑑みると、デルタ株のような変異株が各地で猛威を奮っており、例えばイギリスはフランスへの渡航者に対して帰国時に強めの隔離を強いており、結果として、英国外への渡航を渋る人が続出しています。

Quarantine to remain for vaccinated UK travellers returning from France | Coronavirus | The Guardian(2021/07/17)

主催者は、ワクチン接種が済んでいたり、感染被害が軽微な国からの参加者を優先して開催を目指すのか、世界中から平等に参加できる体制の確立を模索するのか、気になるところです。

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