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ヒジュラに砂糖を渡す

ニューデリーのお寺にいたとき隣の家で慶事があり、ヒジュラが祝いに来た。ヒジュラはカーストと関係なく自分たちの共同体で生きている。もともとは半陰陽の人たちで、今はもっと広いくくりだと思う。何も知らなかったわたしは、男性か女性か分からない人たちが、派手なサリーをまとって踊り歌うのを、しげしげと見ていた。するとヒジュラが
「おまえは男か?女か?」とすごんできた。
インドにいたときわたしは剃髪していた。
「砂糖をあげなさい」大家さんが言った。頼りなさげなビニール袋しかなかったが、砂糖を1キロくらいも入れて、恐る恐るヒジュラに渡すと大人しくなってくれた。見られるのは誰だっていやだとつくづく気をつけようとおもった。インドにいるときヒジュラに会ったのはその一度だけである。

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