Hello My Junior

23歳の時、バイト先にいた、いけすかない男前。
正確には、男前だからいけすかなかったのだが、そんな男がある日、BBQ CHICKENSのパーカーを着てきた事から、コロッといい奴認定。
そこからつかず離れずもう18年の付き合いになる。
共通点は年齢と、パンクが好きな事だけ。

いい奴だが、不満もある。
どこでも一瞬で寝て、全然起きない。
だいたい起こす側なので、イライラする。

唐突にLINEを寄越し、返信すると忙しそうな空気を出す。
俺がしつこく送っているかのような気まずさと、「なんでやねん!お前が送ってきたんやんけ!」みたいな憤りを覚える。

ただ、付き合いを止めようと思った事はない。

親友というものの定義は全く分からない。
毎週会うから。頻繁に連絡を取るから。
家族ぐるみの付き合いをしているから。お互いの秘密を共有しているから。
全部合ってるようで、全部違う気がする。

我々の関係に当てはめると、まず大阪と東京なので毎週どころか年単位で会わない時もある。
たまの連絡すら、重要事項以外はHi-STANDARDの活動情報の共有だけ。
お互いパートナーを連れて、ご飯を食べる事はあるが、パートナーを放置できない苦肉の策と捉えている。
秘密は…山ほどある。ジョーカーを持ち合っているという感覚はあるが、切ったところで何も起こらない。我々2人だけが面白い身内ネタになり果てている。

別に、連絡がなくても気にならないし、会ってない事すら忘れている。
会っても深い話をするわけでもなく、ただ飲んでパンクの話をするくらい。
若い頃から奢り奢られを繰り返して、どっちに貸しがあるかも分からないが、別に気にした事もない。

そんな奴に子供が誕生した。

いよいよのタイミングから生まれた報告まで、実況のように連絡をくれた。
落ち着かなさと、心配とは裏腹に、陣痛から出産まで7時間。母子ともに健康と、超安産だった。
無事産まれましたという連絡にお祝いの言葉を送ると

「親戚のおじさん、写真山ほど送るので覚悟しといてね。」

と返ってきた。
当然その後連絡は途切れた。

妙に腑に落ちた。
奴の子が甥っ子なら、兄弟のようなものなのかと。

いつの間にか友達を飛び越えて、血縁になってたのか。
血は繋がってないけれど、それと同等と呼べる繋がりがあったのか。
連絡を取らなくても、腹立つところがあっても関係が切れる事がないのは、切れない縁があるからなのか。

これからは甥っ子を無責任に可愛がってやろうと思う。
無駄にプレゼントして、甘やかしてやろう。
大きくなってきたらお父さんの昔話をしてやろう。
もし困っていたら、万難を廃して助けよう。

初めて会う日はそう遠くないと思うが、その時は
「やあおじさんだよ」と自己紹介しよう。

兄弟の子の誕生日に心からおめでとう。

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