日本語キリル文字と各言語での相違点2

6/6はロシア語の日です。
今回は各言語における日本語キリル文字翻字で、中央アジアの諸言語を中心にロシア語式と異なる点をまとめておきます。
各言語版ウィキペディアを参考にしています。

日本語キリル文字

拗音は例外を除いて、軟母音字を使用します。
長音は原則的に表記されないのですが、ロシア語版ウィキペディアなどでは長音記号は国際音声記号の《ː》に由来するコロン:》を用います。

А・а】ア/【И・и】イ/【У・у】ウ/【Э・э】エ/【О・о】オ/
Я・я】ヤ・ャ/【Ю・ю】ユ・ュ/【Е・е】イェ・ェ/【Ё・ё】ヨ・ョ/
К・к】カ行・キャ行/【КВ・кв】クァ行/【Г・г】ガ行・ギャ行/
ГВ・гв】グァ行/【С・с】サ行・シャ行/【ДЗ・дз】ザ行・ジャ行/
Т・т】タ行・チャ行/【Ц・ц】ツァ行/【Н・н】ナ行・ニャ行・ン/
НЪ・нъ】ンア行・ンヤ行/【Х・х】ハ行・ヒャ行/【Ф・ф】ファ行/
Б・б】バ行・ビャ行/【П・п】パ行・ピャ行/【М・м】マ行・ミャ行/
Й・й】(二重母音の)イ/【ЙО・йо】ヨ/【Р・р】ラ行・リャ行/
В・в】ワ行・ヴァ行/【МБ・мб】ンブ/【МП・мп】ンプ/
ММ・мм】ンム/【◌:】長音記号.

タジク語キリル文字

ア段はアラビア文字アリフ・マッダآ》からオー《О・о》, オ段はアラビア文字ヴァウو》からウーУ・у》と表記されるケースが見られます。
エ段は語頭はエーЭ・э》, 語中・語末はイェーЕ・е》で表記するルールとなっています。
[ʦɯ̈]はツェー《Ц・ц》が廃字となったため、現行正書法では〈ТСУ〉[ʦu]と表記されます。
ちなみに硬音符《Ъ・ъ》に対応するタジク語アラビア文字はアインع》です。

А・аاَ، ـَه; О・оآ》】ア/【И・иاِ》; -Ӣ・-ӣـِی》】イ/
ИИ・ииـِی》】イイ/【У・уاُو》】ウ/
Э・эایـ; Е・еـی》】エ/【О・оآ; У・уاُو》】オ.
Ш・ш】シャ行/【З・з】ザ行/【Ҷ・ҷ】ジャ行/【Ч・ч】チャ行/
ТС・тс】ツァ行/【Ҳ・ҳ】ハ行.
НЪО・нъоـنعا》】ンオ/【НЪЯ・нъяـنعیَه》】ンヤ.

モンゴル語キリル文字

長母音は母音字の連字で示しますが、例外的にオウは長母音を使用しない固有名詞が見られます。
ヤ行音・拗音の長母音は軟母音字の後に対応する硬母音字を配置します。
ウ段は《У》がオ音[o]になるため《Ү》[ɯ]を用います。

АА・аа】アー/【АЙ・ай】アイ/【ИЙ・ий】イー・イイ/【Ү・ү】ウ/
ҮҮ・үү】ウー・ウウ/【ЭЙ・эй】エイ/【ЭЭ・ээ】エー/【ОЙ・ой】オイ/
ОО・оо】オー・オウ/【ЯА・яа】ヤー・ャー/【ЮҮ・юү】ユー・ュー/
ЕЭ・еэ】イェー・ェー/【ЁО・ёо】ヨー・ョー.
Ш・ш】シャ行/【З・з】ザ行/【Ж・ж】ジャ行/【Ч・ч】チャ行.

タタール語キリル文字

撥音ン[ɴ]はエングӉ・ӊ》[ŋ]で表す場合があり、ヤナリフでは《Ꞑ・ꞑ》、1990年代ラテン文字では《Ñ・ñ》と表記されます。固有名詞由来はロシア語と同じくエヌ《Н・н》となる場合があります。
語中・語末のエ段は《Э・э》ではなく《Е・е》で表記することが多い傾向です。

Е・е】エ/【ЙО・йо ; Ё・ё】ヨ.
Ш・ш】シャ行/【З・з】ザ行/【Җ・җ】ジャ行/【Ч・ч】チャ行/
Һ・һ】ハ行/【Ӊ・ӊ】ン.