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日本語教育能力検定試験 一発合格体験記【′23年】

2023年度の日本語教育能力検定試験(試験日:10/22)を受験し、一発合格できました。

近年の日本語学習者の増加に伴って日本語教師の指導の質が問われ始め、ついに今年文化庁から登録日本語教員の資格取得に関する発表がなされました。

要は今までは養成講座の受講だったり、この日本語教育能力検定試験の合格だったりと、日本語教師になるため必要だったプロセスを見直し、ばらばらだった足並みを揃えようというお話です。

学生時代日本文学科だったにもかかわらず教職課程を履修しなかったコンプレックスが私の受験のきっかけでしたが、この国家資格化の波に煽られて、どうやら認定機関で一年以上の実務経験を積まないとこの登録日本語教員になれないよう。

経過措置バンザイ。平たく言うとわかりにくい。
なんだか認定こども園創設にあたっての、幼稚園教諭免許・保育士資格を相互に取得するための措置と似ていますね。

国に対する不満はさておき、非母語話者に対して日本語を指導すること自体に興味があったので、試験勉強から本番まで楽しんだ上で合格できて嬉しいです。合格通知がクリスマスの日に届いたので喜びもひとしおでした。

今後この日本語教育能力検定試験がどんな意味合いを持つかは読めないけど、思い出としてnoteに残します。

養成講座などは受講しておらず、短期間の独学に過ぎません。まして、本来受験回数や勉強期間、学習方法の貴賤なんか無いはず。なので話半分で読んでいただければと思います。

■使用した参考書

受験者の定石通り、赤本と呼ばれる参考書と問題集、おまけに用語集を購入しました。

ヒューマンアカデミー著 翔泳社 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第五版

第五版が最新のようなので選ぶ際は注意が必要。こちらをベースに学習を進めました。

話が逸れるけど章によっては第二言語学習における思想が強めで驚きました。具体的には、外国籍の日本語学習者に対して「日本語上手~~」と手放しに褒める態度は改めるべきだ、といった感じ。
言語が特定の国家や人種の所有物ではないという姿勢には同意できるけど、参考書がコレでいいんかな。

ヒューマンアカデミー著 翔泳社 日本語教育能力検定試験 合格問題集 第三版

試験は基礎・音声・応用(筆記含む)の3科目という形なのですが、それがまるっと3回分収録されています。
合格ラインは回次によってばらつきがあり、概ね受験者全体の20〜30%、得点で言うとだいたい170/240点にあたるそう。

参考書を確実にするよりは間違えて記憶に残そうの信条で、出題範囲をさらう前に模擬試験を受けたら、最初の得点は半分にも満たなかったです。

ヒューマンアカデミー著 翔泳社 日本語教育能力検定試験 分野別用語集

買ったけどスキマ時間に眺める程度にしか使用しませんでした。
試験は言語一般から多く出題されるなど傾向があるので、この用語集を一言一句舐め回すように読む必要は無いと思います。

他にも、幅を拡げたくて以下の3冊を使用しました。

スリーエーネットワーク 『考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法』 原沢伊都夫著

学生時代の友達から紹介されて購入。
赤本に手を出す前にこの本で学習を進めたのですが、結果としてとても良かったと思っています。

前述の通り試験は言語一般からの出題が多く、加えて第二言語としての日本語の文法指導は、いわゆる中学校などで習う学校文法とは異なる点が多いです。

ヴォイスやアスペクト・テンスなど、お初にお目にかかる文法上の考え方も多いので、それらを実践的に取り扱っているこの本でまず最初に学べて、私にとって良い助走になりました。

アルク 日本語教育能力検定試験 合格するための問題集

こちらは、海外の大学で日本語を指導している先輩からの紹介。
赤本だけでは充分ではないと感じていたので、より場数を踏めて良かったです。

凡人社 令和4年度日本語教育能力検定試験試験問題

直近の過去問です。時間が足りなくて、音声しか解きませんでした。

他、Instagramで日本語指導者のアカウントなど数名フォローしていたけど、YouTubeの解説動画やネット記事に関しては今回あまり手を出しませんでした。

■学習の流れ

・9月下旬
『考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法』をベースに言語一般の地盤を固める。

・10月1週目
赤本の参考書を一周する前に、問題集の模擬試験を一回解いてみる。間違った問題から該当する科目に飛び、知らない知識を溜め込んでいくイメージで進めました。

・10月2週目
赤本の問題集を終えたタイミングでアルクの問題集に移行。着実に上がる得点に一喜一憂しつつ、同時に音声と筆記に対する不安も抱える。

・10月3週目〜試験前日
ひたすら音声と筆記の練習に費やす。前日は問題集の答え合わせを書き溜めたルーズリーフを見返しました。

・試験本番
蹴散らすつもりで臨みました。

■感想など

本番を終えて一番自信が無かったのは音声です。問題集を解いてる段階から、何度聴いても回答が腑に落ちないこともあり、センスが無いのかと自信を失くすこともありました。

けど、音声学自体は学習していくうちに興味が芽生え、受験後に友達からこんな本を借りました。

朝日出版社 『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む』 川原繁人著

子どもと言葉、加えてポケモンなどのポップカルチャー好きの私歓喜。若干文章あざといところもあるけど、学問をかみ砕いてとっつきやすくする切り口が斬新でした。

※著者である川原繁人さんのファーストインプレッションは以下の2ちゃんねるまとめ。

話戻ります。
私はタイ語学校に通っていた経験があり、学習者の目線や異文化適応に関しても、一つひとつ実感を持ちながら試験勉強を進められました。

みなさんが受験するきっかけは、きっと多岐に渡ると思います。日本語教育を通して日本の伝統・文化を広めたい。元々国語教諭の資格を持っているとしたら、それを活かしたい。
どんな形であれ、自分の興味・関心と関係する内容を勉強出来たら楽しいですよね。

資格を取得した後も、自分の好きなこととどこかで繋がるお仕事が出来たら、それは幸せなことだと私は思います。

最後に、このnoteがいずれ誰かの学習の一助になることを願っています。

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