進学高校ガトリング(試し書き)

私が行っていた高校は由緒正しきガトリング砲であった。

大学受験は射撃に似ていると誰かが言った(知らんけど)。

小さく遠い難しい的を狙うのも、大きく近い的を狙うのも本人の自由だ。努力をすれば、射撃精度があがる。となると、学校というのは受験のために必要となるべき場、すなわち銃である。銃がきちんと整備されているか、性能はどうか、というのは大変重要なのだ。

少子化かなんかしらんが学校同士で競争が苛烈になっている今、各高校、もとい各銃器にとっても、その性能のアピールは経営の必須事項である。その高校はkyo大への命中率でs県No.1を誇り、屈指の進学校として君臨していた(私はそれを知らずに駅から近いというだけでその高校を選んでしまった)。で、入ってみるとあらびっくり。実際には数打ちゃ当たる、当たればもうけの世界であった。百発百中の高精度銃なんかではない、とにかく撃ちまくれのガトリング砲なのである。

ではなにが他の高校を差し置いてここを進学校たらしめるのかというと、公立のkyo大進学者数一位のこの学校はこのガトリング砲への弾丸の装填がすごく上手なのだ。言葉巧みに誘導し、前例を用いて恐怖心をやわらげ、ガクガクのガトリング砲を最新式の高精度スナイパーライフル銃に見せかけて、集めに集めた百何人の弾丸、もとい生徒を一つの的だけをめがけて乱射するのだ。模試の結果が良くない?気にするな(弾丸セット!)!センターが取れなかった?なに、二次で巻き返せばいい(安全装置解除!!)!!とても自信がない?うるせえ!!!さあ、いよいよ二次試験だぁぁ撃てええええ!!!

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

オラアアアこんだけ打ちゃいくつかあたるやろがえ―

というわけで私はKyo大を受験、もといガトリング砲からダダダと射出され、ものの見事に的を逸れて、幸か不幸か流れ弾としてH県はShin大に着弾したのである。

着弾後、ガトリング高校の担任からラインがあった。

「おめでとう。で、行くの?」

私は使い古しの弾丸でも予備校経由で再び砲に装填しようとする担任に敬意を示し、丁重に既読無視した。

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