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「ChatGPT-4」を使って言語の壁をいとも簡単に越えてしまった話

今までGoogle翻訳を使っても、ずっと翻訳できなかった国の言語が私にはありました。それは、フィリピン人が使うタガログ語です。

もちろんGoogle翻訳は、タガログ語から日本語に翻訳する事はできます。しかしそれは、純粋なタガログ語の文章であればの話です。フィリピン人がチャットで使っているタガログ語を、そのままGoogle翻訳に入れても、ほとんどの場合は全く意味のわからない翻訳になってしまいます。

Google翻訳でタガログ語のチャットを翻訳した
GPT4で翻訳。正確に翻訳できている。


ではなぜ、タガログ語はGoogleで翻訳できなかったのでしょうか。一体どういうことなのか、タガログ語を全く知らない方でもわかるように説明させていただきたいと思います。そして、ChatGPTの出現によって、フィリピンだけでなく様々な言語に応じた、新しい発見を紹介させていただきます。

フィリピン人が使う生きたタガログ語

翻訳できない理由(1)

フィリピンの公用語は、タガログ語と英語です。
しかし、フィリピン人が日常で使うタガログ語は、純粋なタガログ語ではありません。フィリピン人同士の会話、テレビのニュースやバラエティ番組では、タガログ語と英語が混ざった言語を日常的に話します。(※フィリピンの公用語については、多くの議論がなされていますが、ここではタガログ語と英語として進めていきます。)
こうしたタガログ語と英語が混ざった使い方を、タグリッシュと呼び、日常的にフィリピン人の間で話されています。

Hello po. (こんにちわ)

は、フィリピンで当たり前のように使います。

このような、単純な使い方であれば、Google翻訳でも問題なく翻訳することができます。しかし、タガログ語と英語が入り乱れた複雑な文章は、英語の文法ではないため全く翻訳できなくなります。

翻訳できない理由(2)

フィリピン人同士のチャットのやりとりは、タガログ語を省略して会話する事が一般的です。

例えば、

「わかった、わかった」を、

タガログ語では、「Sige, sige」ですが、

チャットの会話では「cge, cge」となります。

「sige(シゲ)」のシの発音を「c」(または「s」)に当てています。
英語でもこのように省略して書くことがありますが、タガログ語でもこの省略記法をチャットで日常的に使います。

他にも、
「Hindi」→「hnd」または「d」
「kasi」→「KC」
「na」→「n」
など

これにより、本来のタガログ語ではなく、発音する音でチャットの会話が進むため、Googleでは翻訳できなくなってしまうのです。

ChatGPTの登場で大きく変わった

ChatGPTは、こうしたフィリピン特有の言語を上手に翻訳することができています。ChatGPTは、発音を理解しており、文章の意味を推論することができるため、このようなタグリッシュでも人間のように理解できます。

私は、日本語で50文字程度の文章を書き、タガログ語(タグリッシュ)に翻訳してみました。

日本語をタグリッシュに翻訳

ChatGPTを使って、日本語をそのままタガログ語に翻訳してしまうと、とても丁寧な、少し堅い本の様な文章になってしまいます。

しかし、「タグリッシュ」で翻訳するよう指示することにより、フィリピン人が日常的に使う口語に近い形で文章を作成することができます。

また、さらにチャットで使う省略記法で出力することもできます。

タグリッシュ+省略記法で出力

このように、チャットで使う省略方法を用いた形で、翻訳することができる様になりました。

ChatGPTは、インターネットからの情報を母国語で取れるようにした

ChatGPTの出現により、今までチャットで会話することが非常に困難だったタガログ語が、全く違和感なく会話できるようになったのは非常に驚くべきことです。

他の国でも、複数の言語が公用語として使われている国はたくさんあります。ChatGPTは、複数の言語の単語が混ざっていても翻訳できるので、コミュニケーションが広がるきっかけになることでしょう。

そして、別の新たな可能性も見えてきました。

それは、英語が不得意で、母国語しか話せないフィリピン人でも、ChatGPTを使えば、母国語で情報を集めることができるということです。

フィリピンは、7,000以上の島々からなっており、180以上の言語が使われている国です。島によってお互いの言語が違うので、会話をしても通じない事があります。また、英語教育を受けていない人々もいるため、母国語しか使えない人も大勢いるのです。
母国語しか使えない場合、ネットで検索しても出てくる情報量は、本当に非常に少ないのです。

しかし、ChatGPTは正確に意味をとらえて、自然な言語に翻訳してくれるため、英語が得意ではない人々でも、母国語でインターネットから情報を自由に取得することを実現させました。

これは今後、教育の現場を変えていくと思います。インターネットの環境さえ整えば、大勢の人々が母国語で勉強できる機会が与えられたからです。こうした大きな変化を私は大変嬉しく思います。

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