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第33回 第3逸話『プロテウス』 その3

↑3が四つも、イエーイ!

 …さて、

 目を開けた世界が、前とは少しも変わっていないいつもの世界だったことに、少しがっかりするスティーブン。

「ま、そりゃそうか…」

 しばらく歩いていると、二人連れの「女ども」が、台地から海岸に足を踏み入れるところを見る。

「女ども」とは二人の女性(この時点では歳はいくつぐらいなのか不明)。一人は産婆用の重そうなバッグをぶら下げ、一人は雨傘を手にしてる。一人は名前をフロレンス・マッケイブと言う。スティーブンの独白で教えられる。あのパトリック・マッケイブの未亡人だと…。
じゃあ知り合い?

”僕もかつて、あの女の同業者に、この世に引き摺り出されたのだ。無からの創造ってやつ。
創世記』にある「初めに、神天地を作りたまえり」を思い。スティーブン君は、自分は神に創造されたと思ってる。

”全てのへその緒は、遡って過去に繋がる。神々のようになりたいか? ではそなたの「オムファロス」をじっくり見るが良い”

オムファロスとは臍の緒のこと。これをよくみろと。なぜならこれが親とのつながりであり、そしてその親の親、そしてそしてその親、そしてそしてそしてそして…。ずぅっと遡れば最後は創造主神に辿り着けるだろう。
 とスティーブンは考える

 そこでスティーブンは、遠い過去との交信を試みる。

”もしもしこちらスティーブン。エデンの園に繋いでよ。アダムの妻イブに(イブとへヴァとエヴァはいっしょ。地域で違う方言見たなもの)。”

 すっごいわかりにくいが、スティーブンは臍の緒を電話線に見立てて、イブと交信している。

”裸のイブ。彼女にはヘソがなかった(確かアダムの肋骨で作られた。よって臍の緒は無し。というかアダムもないはず。アダムも神に造られたから。だから世に蔓延る臍の緒まで描かれた「アダムとイブ」の肖像画は全て嘘、とスティーブンは考える。
…てか信仰を捨てたあんたに言われる筋合いはない)。まあるく膨れた傷のない腹。罪の子宮”

 …続く。







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