見出し画像

フジのフィルムシミュレーション「ノスタルジックネガ」はフィルム写真よりノスタルジックなのか?

フィルムカメラの話ばかり書いてますが、仕事用には、もちろんデジを使ってます。ソニーがメインですけど、富士フィルムもX-H1とX-T3を愛用してます。最近、X-T3をドナドナして、X-H2Sを購入しました。
主に、動画用として導入したのですが、最新のフィルムシミュレーション「ノスタルジックネガ」の描写にも興味があります。早速、ノスタルジックな場所まで遠出して、試写(静止画)してきました。
X-H2Sのノスタルジックネガで撮った画像を貼っただけではつまらないので、APS-Cのカメラのセンサーと、一コマあたりのフィルムの面積がほぼ同じ、ハーフサイズのフィルムカメラ オリンパスペンFで撮影した写真との比較という趣向にしました。
ちなみに使用レンズですが、X-H2SにはプレミアムコンパクトのXF35mmF2、一方、ハーフサイズのフィルムカメラ オリンパスペンFのレンズは、買ったときについていた40ミリF1.4です。使用フィルムはフジカラー100。
もちろん、厳密な比較ではありません。厳密どころか、かなりユルユルです。撮影場所はほぼ同じですが、アングルは微妙に違うし、絞りも、ピント位置も違います。撮影時刻も、2時間ほど差があります。
ちなみに黒フチがないほうがデジで、フチありがフィルム写真です。

絞り開放F2。ペンキの剥げかけた窓枠の質感など、リアルなのはこっち。空が飛んでいるのは、薄曇りの時に撮ったせい。
絞りはF2.8、シャッターは500分の1。(ペンFのシャッターは500分の1まで)2段ぐらい露出オーバー(補正済み)だったが、白いペンキの窓枠が白とびしていないのは、さすがフィルム。ピント位置がデジ写真より奥なので、奥の建物の壁面の文字はデジよりはっきりしている。でも、フワッとした印象はこちらの方が強い。古いレンズなので仕方がないけれど、今のレンズとはコントラストや色乗りが全然違う。ちなみに、この写真は彩度をあげている。
フジカラー100は、マゼンタが少し強めにでることがある。そのほうが、人肌が綺麗に写るから
だと思うけれど、ちょっとうるさいと感じる場合もあったりする。色再現は、ノスタルジックネガのほうが実物に忠実。でも、雰囲気はこっちのほうがノスタルジック。
普段、フィルムシミュレーションはエテルナを使うことが多い。ノスタルジックネガは、エテルナの暗部の階調を残したまま、もう少し色のりが欲しい時に使うとよさそう。独特の色再現で、深紅の花が、朱色を帯びた華やかな色合いに写る。
少しハレーション気味。でも、そのせいか、よりノスタルジックなのは、こっち。フィルム写真を撮った時刻が夕方で、斜光線だったせいもあると思うけれど。実際のその場の感じに近いのはデジ。ペンFで撮った写真は、美しい嘘……。

ということで、異種格闘技(?)の結果はというと、個人的に、よりノスタルジーを感じたのは、富士フィルムのノスタルジックネガより、ペンF+F.ズイコー40mmF1.4のフィルム写真でした。
もっとも、富士フィルムのウエブサイトによれば、ノスタルジックネガは
「1970年代、カラー表現の可能性を世界に提起し、芸術として定着させた「ニューカラー」の代表作を想起させる色再現を特徴とします」
ということらしいです。
つまり、ノスタルジックといっても、今回の作例のような色合いの淡い、「もののあわれ」的な場所を被写体として、情緒的な絵が撮れるようなフィルムシミュレーションではなさそうです。ノスタルジックネガが目指したノスタルジーは、フツウの日本人が感じるノスタルジーとは、ベクトルが違うのかもしれません。

参考までに、フィルムシミュレーションブラケッティングで撮影した、エテルナ、クラシックネガ、ノスタルジックネガの作例写真(jpeg撮ってだし)を順に並べてみました。

最初はエテルナ。確かにシネマライク。


クラシックネガ
ノスタルジックネガ

こうして比較してみると、ノスタルジックネガは(前言をひるがえすようで恐縮ですが)、なるほどノスタルジック……。建物の古さがよく描写されています。たとえば、昭和レトロ的なシーンの撮影などには、もってこいかもしれません。
クラシックネガは、個人的に一番好きなフィルムシミュレーションですが、被写体を選びます。少し硬いし、(この比較画像では)若干赤みが強い感じがします。
一方、エテルナは一番階調が豊かで、落ち着いた印象ですが、若干、トーンが暗く感じられます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?