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【資金調達PRの最適解】資金調達を採用活動に活かす方法/手段とは

こんにちは。ベンチャー/スタートアップ企業さまの採用支援をしているポテンシャライトの和佐田です。

ベンチャー/スタートアップ企業さまの大きなイベントの一つとして「資金調達」が挙げられるのではないでしょうか。

資金調達を採用活動にうまく活かせている企業さまもあれば、もう少し活かせそうな企業さまもいらっしゃると感じています。この資金調達PRをうまく行うことで、採用活動、ひいては事業成長、ミッション・ビジョン達成に近づくことができると感じており、何よりベンチャー/スタートアップ企業さまにとって「資金調達」はあらゆる意味で非常に大きな機会だと思っています。

そこで今回は資金調達を採用活動に活かすための方法/手段の最適解について本noteで説明します。主に、これから資金調達を考えている企業さまの人事や経営者向けになっていますので、ぜひご覧くださいませ。

※あくまで本noteではポテンシャライトで日々採用のご支援をさせていただく中で感じた内容を元に書いておりますので、一意見として参考程度にご覧いただけますと幸いです。


1. 資金調達前に知るべき/考えておくべきこと

本題に入る前に、資金調達PRを行う上での事前に知るべき/考えておくべきことをお伝えします。

 1-0. 資金調達環境について理解する

言わずもがな資金調達PRを行うにあたり、現在の市場観やトレンドを考慮した上で、PRできるかは候補者さまから興味を持っていただく上で非常に重要な要素です。

特に「タイミング」は重要です。世の中の時流と合っているか次第で、伸びることもあれば、伸び悩むこともあります。これは資金調達だけではなく、さまざまなサービスやプロダクトのリリースにおいて言えることです。

話を資金調達に戻すと、2022年から世界中のスタートアップが「冬の時代」に突入したと言われ、資金調達が以前よりも難しくなったと言われるようになりました。INITIALの記事によると、「2023年上半期のスタートアップの資金調達額は3354億円。前年の同時期に集計した2022年上半期の調達額(4160億円)から減少した。」という記載がありました。

👇詳細はこちら

【最新版】2023年上半期スタートアップ調達トレンドより

上記のように半年〜一年の期間で資金調達環境は少しずつ変化していくものですので、常に市場観をキャッチアップしながら候補者さまにどのように伝えるかを考えていただければと思います。

 1-1. 資金調達PRにおけるゴールの設定

次に、ゴールの設定についてです。冒頭でお伝えしたように、今回は「資金調達を採用活動に活かすためには?」が目的のため、その点に沿ってお話ができればと思います。

まずは下記の採用活動のフローをご覧ください。

採用活動のフロー

上記の通り、認知〜入社までが採用活動のフローであり、採用活動における「応募前」までのフェーズを採用マーケティングと呼んでいます。

採用活動の一つの目的は「採用人数を増やすこと」と、定義すると、資金調達PRのゴールは「エンジニアを●名入社すること」になりますが、広報の文脈に近しい資金調達PRは採用マーケティングの一つと言えるため、応募前までのフェーズにゴール設定することをおすすめしています。

また、ゴールは定量的に設定した方が成功したか否かの判断ができるため、定量的に設定することを考慮すると、例えば、「カジュアル面談の実施数を●●件を目指す」などが挙げられます。

"入社"をゴールに設定しても良いですが、本質的に資金調達PRの効果が測れない可能性が高いです。なぜなら、応募以降のプロセスは面談・面接の見極め・惹きつけなどの他の要素が多く含まれるためです。

どこにゴールを設定するかでプロセスが大きく変わってくるため、資金調達PRの効果範囲やPRに割くことができる工数を考慮しながら、設定していただければと思います。

 1-2. ゴールを達成するために、誰に・何を・いつ・どのように・どこで発信するのか

ゴールを設定したら、ゴールを達成するための具体的なプロセスを考えていく必要があります。まずは下記の採用マーケティングの考え方をご覧ください。

採用マーケティングの考え方

上記の通り、弊社では誰に・何を・いつ・どうやって・どこでを設計して採用マーケティング(採用広報等)を行います。

簡単に説明すると、どのような候補者さまにどんな認知をしてもらい、最終的にどのような行動を促したいのか、そのためにはどのような見せ方が必要なのかを考えることです。

個人的に特に資金調達PRで重要になるのは、何をどうやって伝えるのかです。(前提として全て大事なのですが、強いてあげるなら)

まず「何を」ですが、何を伝えるのか?=世の中に会社をどのように見られたいか?という意味合いになり、資金調達PR次第で良くも悪くも会社の印象が大きく左右されます。(どこまで設計するか次第ですが…)

そのため、経営陣や資金調達PRを主導する方が議論を通じて腑に落ちている状態まで持っていく必要があると考えています。腑に落ちる状態まで持っていかないと、PRの準備を行うにあたり必要性や意義を感じにくくなり、瞬間風速的に終わってしまう可能性が高いです。

次に「どうやって」ですが、「自社の情報を提供する手段」と言い換えることができます。その情報を提供する手段はどのくらいあるのでしょうか。代表的な手段を見てみましょう。

自社の情報を提供する手段の一例

よくあるのがPR媒体やnoteなどで「テキスト」での発信かと思います。加えて、最近だとVCが行っているPodcastにスピーカーとして参加するなど「Podcast」も流行っていますよね。

話題性が先行してしまうと、ゴールから遠ざかる可能性はありますが、認知を拡大させるためにも一定の話題性を持たせることが重要だと思っているため、どの内容をどうやって表現することで話題になるかは一度考えてみることをおすすめします。

また、情報提供手段ごとに特徴があるため、そちらをご覧いただき本項を締めくくります。

自社の情報を提供する手段の特徴

上記のスライドにも記載されていますが、テキストは正確性/詳細さがあり、動画やウェビナーは雰囲気や臨場感が生まれやすいです。テキストで情報をインプットすることが得意な人もいれば、音声や動画で情報をインプットすることが得意な人もいるため、それぞれの特徴を理解しながら複数の手段でのアウトプットをおすすめしています。

2. 資金調達後に実施できる施策を並べてみた

ここからが本題です。一体、資金調達後において取り組むべき施策・取り組んだほうが良い施策はいくつあるのか。まずは資金調達後に実施できる施策を項目別で洗い出してみました。

それがこちら👇

資金調達後に実施できる施策

 2-1. 施策を優先度別に分けてみると・・・

資金調達後に実施できる施策 <優先度別>

様々な資金調達PRに関する記事を拝見していると、レベル1はほとんどマストで行っていて、レベル2は行っている企業さまと行っていない企業さまで分かれる印象でした。レベル3の施策まで全て行うと、さらに工数がかかりますが、こだわるならここまでこだわることができるという形でご理解いただければと思います。

施策を行う上で重要なことは「大きな波ではなく小さな波を作る」を意識することです。

大きな波とは、最初に資金調達のプレスリリースが出たタイミングでコンテンツ/イベントを"集中的に"行うことを指しています。大きな波を作ることで話題性が生まれやすいというメリットがありますが、情報が溢れている昨今において一時的に話題になったとしてもすぐに忘れてしまうのが実情です。

そのため、最初のプレスリリースのタイミングで力を入れつつ、小さな波を作ることを意識する必要があります。

小さな波とは、資金調達に関するコンテンツ/イベントを"計画的に継続的に"行うことを指しています。例えば、メディア掲載であれば、掲載タイミングをあえてずらすことや、ブログ/記事の公開であれば、リレー形式にして毎日公開できる座組を作っておくなど、さまざまな方法で小さな波を作ることができます。

整理すると、大項目1で設定したゴールを達成していくためには、大きな波だけではなく、小さな波を作る必要があり、小さな波はさまざまな方法で作ることができるという話でした。

3. 資金調達PRにおける落とし穴

ここまで事前に知るべき/考えておくべきこと、具体的に実施することについてお伝えしましたが、資金調達PRを実施する上で把握しておきたい落とし穴がありますので、ぜひご参考ください。

 3-1. 良いところだけではなく、ありのままも伝える

「資金調達をすること≒事業が成長している/加速させていくこと」と捉える候補者さまが多いと思います。企業は「資金調達」という大きなイベントをきっかけにPRや広報を増やし、認知度を広める/応募数を増やすことは事業成長を考えると絶好の機会と言えます。

ただ、良いところばかりをアピールをすると、社外と社内の認識のギャップを引き起こしかねません。社外には良いところを中心にアピールしてキラキラしているように見えますが、社内はまだまだスタートアップ感のあるカオスな状況…ということもあります。

スタートアップ企業は本来であれば、勝ち馬に"したい"人を採用したいという企業が多いかと思いますが、実際には成長している企業の勝ち馬に"乗りたい"人が応募に来てしまうことが実際にあります。その一つの理由が良いところばかりをアピールしてしまうことです。

そのため、「弊社は特別な存在」という打ち出しをしていくことは逆にリスクになることを考慮した上で、魅力の打ち出しは考えていく必要があることをご理解いただければと思います。(参考動画はこちら)

社内の実態も良いところもこれから改善しようとしているところも、候補者さまにうまく伝えられることが入社前後のギャップを防ぐためには必要だと感じているため、例えば、応募前の段階では良いところを中心に伝えて、カジュアル面談以降のプロセスではエントリーマネジメント(入社後のギャップを限りなく0にするアクション)を行い、期待値調整をした上で候補者さま側も採用企業さま側もお互いに見極めることも一つのやり方かと思います。

 3-2. 「資金調達」という事実だけではなく、背景・意味まで伝える

以前、弊社でこのようなブログを公開し、多くの反響がありました。

詳細はブログを読んでいただければと思いますが、打ち出している魅力は本当に魅力なのか?、「事実」と「魅力」は異なる、という内容を強く伝えています。実際に「御社の魅力は何ですか?」という質問に対して「〇〇です」と回答いただいたとしても、「それは魅力ではないんだよな….」と思うことが一定数あります。

ちなみに、弊社では「魅力」を下記のように捉えています。

魅力とは:
「事実」を相対比較して、希少価値を上げた事項

「魅力」は「事実」がベースになっており、事実を「装飾」することによって「魅力」に変換されるということです。ここで言う「装飾」と言うのは、わかりやすく言うと「比較」と言い換えることができます。

例えば、シリーズAの企業の平均資金調達額は数億円〜十数億円と言われますが、layerX社ではシリーズA累計で約102億円を調達完了というリリースがありました。「102億円」という調達額を聞いて、何となくすごそうと思われる方が多いかと思いますが、一般的な市場の数値と比較すると、どれだけすごいかが伝わるかと思います。(特にスタートアップの環境や市場についてそこまで詳しくない人にはなおさらです。)

また、魅力を伝えることで候補者さまに伝わることもありますが、その魅力の"重要性"を理解できておらず、あまり響いていない場合もあります。そこで魅力の重要性を伝えるためのノウハウとして、IFAというフレームワークを以前ブログで公開しましたので、こちらも興味がありましたら、ご覧ください。

前段が長くなってしまいますが、話を戻すと、上記の話から「資金調達を実施しました!」「PMFしました!」という事実だけを伝えても、候補者さまに響くかというとそうではないということが言えます。

では、何を伝えたら良いのかというと、資金調達の背景や意味合いを伝えることが重要です。資金調達は手段であり、事業を伸ばすため、ひいてはミッション/ビジョンを達成するための手段であることが多いため、資金調達を実施して何をしたいのか、しようとしていることが候補者さまにとってどんな意味があるのか?まで設計できることがベストだと考えています。

大項目1で「資金調達PRにおけるゴールの設定」「ゴールを達成するために、いつ・誰に・どこで・何を・どのように発信するか」についてお伝えしましたが、資金調達前の事前準備次第で候補者さまに響くメッセージになるか否かが決まることをご理解いただければと思います。

 3-3. 瞬間風速で終わらせない仕組み作り

「資金調達」は企業にとって一大イベントです。ゆえに、お祭りのような感覚で一時的に盛り上がって瞬間風速的な形で終わってしまうことがよくあります。

前提として、資金調達のPRにどこまで力を入れるかという会社の意思決定次第ではあるのですが、個人的には会社を大々的に世の中に打ち出せるチャンスなので事前にうまく設計した上で実施した方が良いと思っています。

そもそも、なぜ瞬間風速的な形で終わってしまうのでしょうか?

・資金調達PRのプロジェクトマネジメントをしている人がいない
・資金調達から数日だけ頑張って発信しようとしている (大きい波だけを作り、小さい波を作ろうとしていない)
・事前の目的設定が明瞭ではない
・人数的に不足していて、できることが少ない
・広報より事業を優先したいフェーズである

資金調達PRが瞬間風速的に終わってしまう理由の一例

など、上記以外にもさまざまな理由が挙げられるかと思います。

各社の状況によって行うべき施策が変化しますが、瞬間風速で終わらせない仕組み作りを上手に設計されていたのがGaudiy社の記事でしたので、ぜひご参考ください。

ちなみに、Gaudiy社の記事では、「あえて採用に直結しないイベントを開催すること」「コンテンツを出すべきタイミングを見極めること」を意識されていたようです。

 3-4. 拡散するコンテンツの優先度を決める

どの程度資金調達に関する施策を行うかにもよりますが、資金調達のプレスリリースに合わせて、代表のブログ公開・対談記事の公開・会社概要の刷新・採用イベントの開催など、さまざまなコンテンツを一度に公開することになります。

そこで生まれるのが「どのコンテンツを優先的に拡散すればいいのか?」ということです。

すべての施策/コンテンツの重要度が比較的高いものの、その中でも優先度付けができると思いますので、必須で拡散してほしいこととできれば拡散してほしいことで分けて社員にお伝えすると混乱せずに拡散いただけるかと思います。

弊社では毎年12月にアドベントカレンダー(毎営業日ブログ発信)を行いますが、全て拡散すると多くなってしまうため、曜日ごとに担当を振り分けて拡散を行うことを実施していました。

社員のSNS拡散はとても大きな拡散力を持つので、事前に拡散の設計を行いぜひうまく活かしていきましょう。

4. 最後に

いかがでしたでしょうか。

さまざまな事例を調査して個人的に感じたことは、資金調達PRは「目的と事前の設計が8割」ということです。経営陣と資金調達PRのプロジェクトマネージャーが明確な意思を持って設計部分を策定することが成功の鍵を握ります。

とはいえ、設計だけしても残り2割の運用・実行の部分ができなければ目的の達成はできないので、全社で楽しく取り組めるような仕組みがあるとベストだと感じています。

最後までお読みいただきました。これからも役に立つ採用/人事/組織系のアウトプットを続けていきますので、よろしければフォローもよろしくお願い致します。


本ブログの執筆にあたり、下記の記事を参考にさせていただきました。とてもわかりやすい記事ばかりでしたので、より具体事例を知りたいと思われた方は下記のブログをご覧ください。


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