なぜ陰毛が曲がっているのか？というのは、誰もが抱いたことがある疑問だと思う。かくいう私も、第二次性徴を迎えて以降、頭を悩ませてきたものである。「髪質がストレートなのに、どうして陰毛はくねくねしているの？」本当に不思議だった。クラスの綺麗なまっすぐ髪のあの娘も、カールした癖毛がかわいいあの娘も、みんな等しく陰毛は曲がっているのだ。
　今回、私はある結論に至ったので、皆さんに共有しようと思う。
　皆さんは、孟子という中国の思想家をご存知だろうか。彼は、中国戦国時代の偉大な思想家であった。彼の思想に、「性善」というものがある。その名の通り、人間は生まれながらにして善であるという思想（性善説）である。「人の性の善なるは、猶ほ水の下きに就くが如し」と述べ、人の性は善であり、どのような聖人も小人もその性は一様であると主張した。
　しかし、その思想に待ったをかけたのが、荀子である。彼は反対に人間の性を「悪」、すなわち利己的存在だとしたわけである。
　この性悪説こそが、陰毛が曲がっている原因なのである。次の段落からは、なぜ「曲がっていること」と「悪」が結びつくのか解説していこうと思う。　
　様々な言語から「曲がっていること」と「悪」の意味的関係は見いだせることが考えられるが、今回は私達に馴染み深い2つの言語からアプローチを行ってみようと思う。
　日本語には「へそ曲がり」「ひねくれ者」といった言葉がある。これらの由来として、本来中心にあるものが中心でない所にある、曲がっている、との意味で、心が曲がっている、歪んでいる、との意味になっていったと考えられており、日本では古来より「曲がっていること」は良くないことだとされてきたことがうかがえる。
　つぎに英語では、"bent"という形容詞がある。こちらの意味は、「曲がった」であるが、イギリス英語では「不正な」、「賄賂で動かされる」、「職務違反の」といった負の側面(≒正しいことを善、すなわち正とした場合の、悪の側面)の意味が存在していることがわかる。
　人間はその種の発展のために、様々なものを犠牲として活動を続けてきた。荀子の主張した「悪」＿＿＿すなわち利己の心、それが誰の心にも備わっている理由は、そこにある。
　きっと、アダムとイブ、神の子である我々が天上の存在であった頃。陰毛は、きっと真っ直ぐであっただろう。
　陰毛が曲がっている理由は、性悪説であり、同時に神より与えられた「原罪」＿＿＿＿、であるのかもしれない。