見出し画像

株主利益を無視する経営陣の企業①

株式会社は誰のものか

創業者一族、CEO、融資した銀行、株主・・・
この中で株式会社は誰の持ち物だろうか。

無論、株主である。
何故なら株主には会社の重要な方針を決定する権利があるためだ。株式の保有割合が増すにつれ、CEOの任命権や会社を解散させるほどの権力を持つことになる。つまるところ株式の上場とは、融資と引き換えに会社の支配権を市場に委ねることと言える。

株式会社は、企業が多額の投資を必要とする成長期に返済期限のない大量の現金を手に入れられるという点で、世界経済の発展と技術革新に大きく貢献した大発明である。更に、経営に民主主義的な要素が入り込むことが経営陣へのプレッシャーとなり、高い経営効率を維持できることを歴史が証明してきた。

それでも、上場した後も大半の株式を創業者一族(経営陣)が握ることは往々にしてある。その目的は、彼らの経営方針に対する外部からの干渉を排除することだ。

独裁的会社

日本では1990年代に銀行同士が株式を持ち合い、互いの経営に口出しをしない約束をすることで、外部からのプレッシャーを全く受けないような支配体制を整えていた。国も世論もそれを暗に認めていたどころか積極的に行政指導を行う護送船団方式を作り上げた。その結果、経営効率を悪化させ財政破綻を起こす企業が出ることとなった。これを行った理由の一つは、外国資本が日本に入り込むことを異常に嫌ったからでもある。

こういった事例からも世の中の大多数の人が、会社は創業者や取締役の所有物だと考えており、株式会社を理解していないことが伺える。
本質的には日本人が資本主義の力を真に理解していない証拠でもある。

個人投資家はどう立ち向かうか

独裁者が支配する企業は、必ずしも株式投資家と利害の方向性が一致しているとは限らない。投資家は企業が経営効率を改善し、株価の上昇や配当金を期待するが、経営陣がまるで株主には何の得もさせまいと言うばかりに抵抗することがある。
投資家として、このような企業にどのように対応すべきだろうか。
次回、具体的な例を紹介しながら考えていくことにする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?