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アメコミヒーローはもっと気軽に触れて良いんです

 先日BSシネマでクリストファー・リーヴ版のスーパーマンが放送されてました。
 アメコミヒーローというと、最近ではmarvelのアベンジャーズの方が人口に膾炙してます(少し軽薄かつ軽率なくらい)が、ヒーローのアイコンとしては、あの“S”のエンブレムを背負ったスーパーマンに勝るものはないですね。
 そんなスーパーヒーローの象徴の映画は素晴らしかったです。
 そして、そんな映画を見ると、衝動的にコミックを買いたくなりましたが、直球で彼の伝説を追いかけるのもちょっと気後れします。なにせ、歴史も長いわけですし。
 そこで思い出したのが、そのスーパーマンことカル=エルの息子ジョン・ケントを主人公にしたサン・オブ・カル=エルでした。

 評判は前から聞いていましたが、実際に読んでみると、物凄く気持ちよい物語でした。そう思えるのは、なによりジョンくんが「スーパーマンの力を持った、ごく当たり前の現代の地球人」だから。母から学んだ現代の地球人として行動すべきことに躊躇はしないし、それと父から教わったスーパーマンとしての力の使い方と精神を見失っていないから。そんな気持ちの良い姿を見せてくれたから。
 噂の恋人ジェイとの馴れ初めも、実際に読んでみると「同性愛とかバイセクシャルとか、そんなことをいちいち特別視する方がおかしいんじゃないか?」って思いました。あの状況であんなことを言ってくれる相手、好きにならないわけないんですよね。
 そんなジェイが一番かわいいなって思ったシーンは、謎めいたクールな少年ってキャラが、クラークの実家であるケント農場でジョンのお母さんにして伝説のジャーナリストであるロイス・レーンを紹介された瞬間に舞い上がったのが恥ずかしくなって「ここ農場だよね?」「納屋に隠れさせてほしい。それかシャベル貸して、穴掘って埋まりたいから」とドツボにハマるところ。
 また、本作以前からの戦友であるバットマンの息子ダミアン・ウェインとの距離感も良いです。「オレが将来は世界最高の探偵になる器で、なおかつお前の親友で、おまけに観察眼も鋭いってことは知ってるよな?」と尊大に前置きしてから、「良かったね」って胸を小突いてジェイとの出会いを祝福するシーンは、本当に良かったです。
 あと前半の、なんだか知らないけどダミアンがニンジャ軍団と雑談しながら戦闘するシーンで、流れシュリケンや流れカタナがジョンくんに飛んできても表皮で弾かれてそうなところも。

 スーパーマンにせよスーサイドスクワッドにせよ、あるいはスパイダーマンやキャプテン・アメリカやマイティ・ソー、あるいはX-MENなど、アメコミヒーローものの邦訳版コミックは結構出ています。
 そして、映画やドラマ、それを紹介する記事などで何となく知ってるんだけど、って層は結構いそうです。
 そんな人たちにこそ、誰もが知ってるスーパーヒーローの名前と伝説と精神を受け継いだ次世代ヒーローの物語を読んでほしいです。
 この次世代ヒーローこそ、現在進行形の、我々読者と同じペースで歩めるキャラクターであり物語ですから。

 それはそれとして。
 本作のラストで拘束した、ケント農場襲撃を手引きしたヴィランに対して「あそこはジャスティスリーグが守っていた。つまりアンタはバットマンにケンカを売ったんだよ」「彼の尋問がアンタを待ってる。アンタは嫌でも白状することになるんだ」ってジョンくんが言ってました。

 21世紀になって20年が経ちましたが、ブルース・ウェインの闇の騎士っぷりは絶好調の模様です
 神よ、このヴィランに安らぎを与えたまえ。難しい注文だとは思いますが。


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