見出し画像

「ママ、なんでおはなしきいてくれないの」

保育園に4歳の息子を迎えに行って家に向かっているときのこと。

その日は荷物の受け取りの予定があったかなにかでわたしは急いでいた。

早く帰らないと間に合わない。今日は寄り道せずに帰ろう、そう心に決めていた。

いつもは「ママはしろ〜!」とわたしの手を引っ張って走り出す息子に「えぇママつかれてるのに〜」なんて言ってるくせに、「きょうははしってかえろうか?」なんて提案までしてわたしは急いでいた。

そんなわたしに息子が話しかけてくる。

「ママ、スーパーいきたい〜」

今日か、このタイミングでか…。ここでいうスーパー行きたいというのは、つまりお菓子を買いたいという要求である。行かない、今日は断固として行かない。でも、「行かないよ」とストレートに返してはギャン泣きしたりして逆効果になる可能性がある。

「そっかースーパー行きたいんだねー」

そう答えながら足はゆるめない。

「ねぇ、ママ、ぼくスーパーいきたい」

「うん、うん」(早くスーパーの前を通りすぎなきゃ)

「ねぇ!」

「うん」(早く忘れてくれ)

「ママ、なんでおはなしきいてくれないの!!」

「…!!!」

いやいや話聞いてるやん。と思ったのだけど、よくよく考えてみると彼の言いたいことはまったく聴けていなかった。聞いてる「ふり」をしていただけだった。

「言葉のキャッチボール」というのはうまい例えだなと思うのだけど、キャッチボールというのは投げられたボールを一度受け止める、そして投げ返すという行為で。

受け止めたあと、投げ返すかどうか、どこに、どうやって投げるかという選択の余地があるはずなのだ。

だけど、わたしの場合は息子の「スーパーに行きたい」という気持ちをティーバッティングのようにそのままスコーンと打ち返していただけだった。ごめんよ。

**

ふだんやっているワークショップでいつも「話を聴く」のは難しい。だから、この時間は「聴く」ことを意識してみましょう。みたいなことを偉そうに言ってるんだけど、いやはややっぱり話を聴くのは難しい。

相手が「聴いてくれた」と感じなければ、いくら聞いているつもりでもそれは聞けていないよね。

コメントやSNSなどで感想をもらえると喜びます!よかったら感想を教えてください^^