人生を選びなおし、弟と縁を切る

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。
幡野広志さんの本。
図書館で借りて読んだ。

最初は癌に罹った話と家族への思いの本だと思ってたし
途中までそう読んでいた。

NASAの直系家族定義の話が途中で出る。
直系家族とは自分が選んだ家族で、配偶者・子供・子供の配偶者で
親兄弟は拡大家族にされる。
親兄弟は自分では選べれないからだ。
自分で選んだ家族は配偶者とその子供たちになる。

わたしはずー--っと弟のことが嫌いだ。
物心ついた時から母親から兄弟仲が悪くて
「そんなに喧嘩ばかりしてるなら離れて過ごせ」と言われてた。
弟から相当嫌な思いをされた。
なにがあったのかは書くつもりはない。
思い出すだけで嫌な気持ちになるので何かに書き残すのが嫌だ。
弟は高校一年で家出をし、その後家庭内暴力が始まった。

わたしが22歳で結婚したのも早く家から出たかったからだ。
後で知ったが従妹の一人も同じことを言っていた。
(彼女の場合両親の不仲が理由だったが)
従妹もわたしも、実家から出るためには結婚という形しかなかったように思う。

弟はその後総合失調症と診断された。

わたしは実家と距離を置き、お盆と正月に挨拶するだけにした。
その時は夫も娘たちも一緒に行くが、弟は顔を出すとすぐにわたしは
帰りしたくをする。
顔も声も聴きたくない。
そういう関係だった。

実家の母親が痴呆症になり、父親の手に負えなくなってから
わたしが実家に介入することになった。
両親が入院したり施設に入居する際の手続きはわたしがした。
弟でも手続きは出来るだろう。
ただし正確な判断は出来かねる。

これは総合失調症の人がもし読んだら、本当に申し訳ない。
が。
弟の場合だけだと思うがわたしはそう判断した。

判断した理由。

父が前立腺で入院し、退院の際
看護師さんから「次回は二週間後に来院してください」との説明を聞いた弟は「違うやろ。一週間後じゃないのか?」
看護師さん「いえ先生から二週間後と」
弟「なんでや。一週間後やろ!」
看護師さんは当惑したまま。
少し離れてその話を聞いてたわたしが弟に
「あんたは一週間後にと思ってたけど、二週間後と言われてびっくりしたんやね。でも先生が二週間後で大丈夫だと判断したから二週間後に来てくださいと看護師さんが説明してるのよ」と言うと納得してくれたことがある。
隣でそのやり取りを聞いてた夫は「おまえも大変やな」と。。

また、母が施設に入ってすぐ、夜中に転んで頭部を切ったことがあった。
夜中の三時ころにわたしの携帯に連絡が入り、
母親の状態を確認したところ、意識もしっかりしていて何かしらの症状もないとのことだったので、そのまま様子をみて朝病院に行くか決めようと電話を切った。
朝、施設から弟が大騒ぎしているとの電話で目が覚めた。
聞けばわたしに電話したあと、その担当者が不安になり弟に連絡をしたとのこと。その時は電話が通じなかったが施設から電話があったことに気が付いた弟が施設に連絡をして、すぐに施設に来て(車で二・三分の距離)
「俺が病院に連れてけばいいやろ!」と大騒ぎになってた。
施設の人は申し訳なさそうに
「弟さんは目が座っててすごい形相です。
 このままお母さんを任せるわけにはいきません。」
わたしは弟と電話で話をしてなんとか宥めさせた。

施設の人には前もって弟のことを伝え、わたしにだけ連絡するようにお願いしてたが、それが徹底されていなかった。
その後それは徹底され、また母が昼間うとうとして過ごし夜寝ないから睡眠薬投与の量を調べるため一時精神科の病院に入院することもあったが
入院することは弟には伏せられ、入院後に知らせることになった。
入院手続きに弟は同席されると困ると施設側が判断したからだ。
退院する時も同じく。
施設側との色々な打ち合わせもわたしだけになった。

こういう経緯でわたしが両親のキーマンになった。

が、弟はそれが気にくわない。
わたしに突っかかってくる。
ありにも腹が立ったはわたしは
総合失調症だから出来ないと多分返事をしたのだろう。
弟はそれで傷ついたとずー-とわたしを恨んでいるらしい。

そこまでに至った経緯なぞ関係なく
総合失調症=障碍者だからという言葉を切り取り、恨んでいる。

なんでこんな弟が身内なんだろうとずーっと辛かった。


幡野さんは母親とはもう会わないと書いてあった。
会わないと決めた理由は本に書いてあっただけの理由じゃないはず。
本のレビューには母ともう会わないと決めたことに非難する声もありましたが、わたしも自分の葬式には弟を呼んで欲しくない。
死ぬ時くらい自分で選んだ夫・娘・娘夫婦・孫 たちに囲まれただけで送り出してほしい。

出来れば金輪際会いたくないが両親がまだいる以上そうは出来ない。

血がつながってる身内と思えば辛い。

血はつながってるけど、他人。

幡野さん、ありがとう。

踏ん切りがつきました。

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