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2022年09月北海道録音取材記 ~Day4 トロッコ王国美深。松山湿原と十六滝とハイドロフォン~

みなさんこんばんわ。レヱル・ロマネスクシリーズの原案、シリーズ構成を勤めます、進行豹です。

台風一過の取材三日目

は、晴天のもと、多くの録れ高を得ることが叶いました。

しかしながら、重要録音目標のひとつとしていた「天人峡 羽衣の滝」では、
その立地条件により、滝壺に水中マイク――ハイドロフォン――を沈めての録音を行うことができませんでした。

ので、本日の取材の大目的はふたつとなります。

1: 「トロッコ王国美深で、トロッコの音を録音する」

2: 「美深の十六滝のいずれか条件の良いところで、滝の音を録音する」

です。

この1、2とも『現場の耳に聞こえている音を、ヘッドホン/イヤホンからの再生時にできるだけ再現するため』に、
複数のマイクを併用しての録音を行うことがほぼほぼ必須となってきます。

なんとなれば。

「現場で耳で聞いている音」は、『視覚や嗅覚や触覚の影響を大きく受けて補強されている”音”だからなのです』

これを簡単な実験で実証してみようかと思います。

まず、この音をお聞きください。


――何の音に聞こえますか?







いままでの話の流れから、「トロッコ関係の音」と思われた方も多いかもしれません。

では次に、この画像を見ながら、同じ音をもう一度聞いてみてください。

――今度は完全に、「コーヒーミルでコーヒー豆を挽く音」にしか聞こえなくなったのではないかと想像します。

まして、「現場」では、惹かれるごとに香り立つコーヒー豆の香りや、ミルで豆をつぶす感触が、
『コーヒーミルで豆を挽く音』を強調するのです。

このすべてを、音声コンテンツで――
目を閉じて、布団の中で、ヘッドホン/イヤホンだけの音をたよりに、同じように感じてもらうことは、
ほぼほぼ不可能となってきます。

ので、基本的には「セリフで音を補強」します。

【ヒロイン】 
「お疲れだよね? 待ってて、いまとびっきりに美味しいコーヒー淹れたげるから」

……この台詞のあとに上記の音がきて「トロッコ関係の音?」と感じる人は、相当レアとなりましょう。

この「補強」の効果をさらに高め「ああ、コーヒーミルの音だ」ではなく「コーヒーミルの音、心地よいな」と感じていただくそのために、
複数マイクを使った多重録音と、編集してくださるエンジニアさんのミキシングとが、ものをいってくるわけです。

前置きが長くなってしまいましたが、トロッコ王国美深では、
「ステレオマイク」と「コンタクトマイク(接触マイク)」を併用し、トロッコの音を録音します。

コンタクトマイクについてはこちらの記事

で踏み込んで説明しておりますので、もし未読の方はぜひご一読ください。


録音対象、トロッコ王国美深のトロッコは、このような感じのものです


――片道5km。往復10kmにも及ぶ廃線跡を、エンジンつきの、
『自分で運転できる』トロッコで駆け抜けることができる。

鉄道マニアではなくてもテンションが跳ね上がること間違い無しの、
これはすばらしい体験です。

そうして全長10kmの長さというのは
『録音可能時間の長さ』を同時に担保してくれます。

わたくしが「いやっほう!」と運転に夢中になる最中、
町田さんがステレオマイクとコンタクトマイクとを併用し、
さまざまにセッティングを調整しながら、どのような音を録音くださったか――

それはおそらくいずれかのとき、
『レヱル・ロマネスク』関連の音声コンテンツ等にて
みなさまのお耳に届けることが叶うのではないかと想像いたしておりますので、どうぞその日をのんびり目にご期待いただけますと幸いです。

トロッコ王国美深での録音を成功させ。
次に向かいました土地は、
「松山湿原」となります。

湿原の音。
それも標高797メートルに位置する、日本有数の高層湿原の音というのは、
いかなるものでございましょうか?

お宿の方から
「同じく北海道の高層湿原である浮島湿原では2年くらい前に女性単独ハイキング客が熊にやられている」

という情報をいただいていたので、
熊よけの大きな鐘を鳴り響かせた上、熊鈴ふりふり慎重に慎重に、片道30分の登山道を登り切り。

やがて訪れた湿原は――

無音。

旭岳につづいて二度目の「高地独特の無音環境」下にありました。

鳥は鳴かず、虫も鳴かず、さらにはガスの噴出音もありません。
湿原中にある池も、水の流れる音さえたてず――さすがにこれは、手も足もでません。

けれど松山湿原の近くには、仁宇布の冷水――そして十六滝たちが待っています。

気を取り直してまずは仁宇布の冷水のここちよいを録音し。

そして十六滝をいくつかめぐり、『新緑の滝』にて、(町田さんが)滝壺の音をハイドロフォンで録音することに成功し。

そこまでで日も落ちかけたので、今夜のお宿、

『ファームイントント』

さんへと到着します。

ファームイントントさんでの録音目標は
『羊たちの鳴き声』

オーナーさんからも事前に、協力をいただけるとのお言葉をいただいております。

しかしわたくしと町田さんとでいくら待っても、マイクの方に追い込んだりの工夫をしてみても。

――羊は全く鳴きません。

のでわれわれが反対に、夕食の席でオーナーさんに泣きついて。

結果、ファームイントントさんの素晴らしさを、骨の髄まで理解させていただけることとなるのです。

(続く)


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『れいなonトロッコ!』

(あらすじ)
自分で運転できる、エンジンつきトロッコへの乗車を体験させてもらえたれいな。
嬉しくて、楽しくて。トロッコに関する思い出が、次々飛び出してくるのです。

(登場レイルロオド紹介)

「れいな」(御一夜鉄道キハ07s専用レイルロオド)



<出身> 日ノ本(ひのもと) 河崎車輌製

<所属路線> 御一夜鉄道 湯医線(御一夜温泉駅~湯医駅)

<能力・性格>  硬上鉱山鉄道の自社発注機としてつくられた、旧帝鉄キハ07同型機の
第二号レイルロオド。 おっとりふんわり、全てを受容し、どんなことにでも楽しみやうれしさを見つけ出す、天使のような性格をしている。
足元が弱く、いねむり癖があるという致命的欠陥を抱えていたたが、右田双鉄との出会いによって解消された。
マスターである雛衣ポーレットのことが大好き。


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