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生活

2021年7月に、新卒から2年と4ヶ月勤めた会社を辞めた。

理由はメンタルがぎりぎりだったからで、「もう会社行けない」という状態になるまで我慢してしまった(辞めると言えなかった)ので、次の見通しが何もないまま退職した。

ひとまず、収入を途切れさせてはいけない、と、負担が少なそうでお給料がそれなりにもらえそうなアルバイトを探し、派遣会社に雇っていただき、退職した翌日から働きはじめた。

転職までの短い間お世話になるつもりが、なぜか仕事ぶりを評価していただいたり、前の仕事のスキルを活かせたりと、あまりにも居心地がよいので、そのまま新年を迎えてしまった。そして、しばらくはこのままでいたいとさえ思っている。

職場の居心地の良さだけが理由ではない。仕事を辞めてから得られたある感覚を、もっと味わいたい、自分の中でかみしめたいと思うようになったのだ。

それは、生活している、という実感だ。

朝起きる。コーヒーを淹れる。お弁当の準備をする。
洗濯をする。洗濯物をベランダに干す。
食材をスーパーに買いに行く。レシピを見ながら料理する。
夕食を食べながらテレビを見る。お風呂に入る。

これらの、当たり前のような繰り返しが、ただひたすらに嬉しいのだ。

それまで、日々の暮らしが大事だと思ったことは一度もなかった。
学生時代は遊ぶことが何より大事だった。
会社員になると、仕事をしていない時間帯は、仕事で疲れた体とすり減らしたメンタルを、いかに休ませることができるか考えてばかりだった。
料理などする余裕もなく、ほとんど毎日コンビニでごはんを買っていた。

だからいま、生まれて初めて、生活しているように思う。

生活する力は自信になる。自分の人生の舵をしっかりとにぎっている感覚になる。

仕事で上司に評価されたときや、クライアントへのプレゼンが成功したときも、自信にはなったが、またすぐに不安になった。
まわりの評価に一喜一憂していたのは、生きることに対してつねに不安だったからかもしれない。

いま、まだ不安の中にいるが、日々の繰り返しを通じて、少しずつ、どっしりとした自信のようなものが自分の中にたまっていくのを感じる。
この自信は、きっと仕事をするときも糧になる。

だから、この感覚が自分と一体化し、揺るぎないものになるまで、
まずは一生懸命、生活をしてみようと思う。

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