『Nameless Story』⑧
「保育士 白石麻衣」
「うわっ…」
避難所までの道のりで甚大な災害に直面したことを実感した。私の知っている街は、その面影を完全に失っていた。
『人生がどうかなんて、まだ分かりませんよ』
あの隊員さんの言葉もずっと頭に残っている。
心の中にしまいこんでいた気持ちを覗かれるた気分だ。
ずっと誰かに見つけてほしかった、自分じゃ勇気が出なかったその気持ち。でも…
いろんなことを考え過ぎて、頭の中はぐちゃぐちゃだった。怪我した足を引きずりながらも、私は避難所にたどり着いた。