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Rain
2024年5月5日 22:15
無機質な部屋に響く機械の音。何度も寝たこのベッド。目をつぶる度に最後のような気がしてしまう。君と夏祭りに行きたかったなぁ…朝から降りしきる雨。夏の終わりを告げる雨は僕の気持ちを代弁している。雨はやっぱり好きじゃない。意識していなくても、あの日のことを思い出してしまう。球児たちの夏も終わった。彼らも夢の時間から現実に戻っているだろう。それは僕も同じだった。あれからさくらと
2024年5月5日 17:31
君には嫌われちゃったと思っていた。図書館に君が来た時、本当は嬉しくて泣いちゃいそうだったんだから。ありがとう。君に出会えて、本当に良かった。夏休みも半分を切った。やることも特になく、僕は球児たちの青春を眺めている。『カキーン』金属音が響き、観客が湧く。ボールはレフトスタンドの柵を超えた。サヨナラホームランを見届けた僕はテレビを消した。コップに麦茶を入れると、自室に戻る。
2024年5月4日 17:35
電気を消してからすぐに君の寝息が聞こえた。こんな無理言ってごめんね。そっと君の背中に手を添える。君の温もりを肌で感じたかった。僕の夏休みは慌ただしく始まったが、その後はいつもの様子を取り戻していた。さくらや遥香と遊ぶことも無ければ、顔を見る機会すら無かった。「うまっ…」博多土産のめんべいを食べながら、僕は宿題を進める。宿題はさっさと終わらせるタイプだ。『やっほー。今日はね、
2024年5月3日 23:00
どうしてあんなことしたんだろう。今思うと恥ずかすぎる。でも、君にかわいいって言われたの、少しドキッとしちゃった。はぁ…明日の病院、嫌だなぁ。「はぁ…はぁ…」インドアな僕には早歩きもしんどい。病院に着く頃には肩で息をしていた。「あれ、さくは?」病院の入口にさくらの姿は無かった。まさか、拗ねて帰ったのか?「いた!」遥香の指差す方向を見る。そこには、タクシー乗り場でおじさ
2024年5月3日 18:59
お揃いのお守りを買った。受験が終わったらかぁ…頑張らないとなぁ。大丈夫、私なら大丈夫。だって、神様にお願いしたもん。「うわぁ、広い!」大きなテレビに寝心地の良さそうなベッド、さくらのテンションが上がるのも分かる。「さく、ベッドめっちゃ柔らかいよ!」「すご!君もおいでよ」お子様の輪に入るのは嫌だが、僕もベッドに腰掛けた。「すごっ…」思わず声が漏れる。さくらはニヤニヤと
2024年5月2日 21:59
この1週間、私は人生で1番勉強した。いつもなら「補習でいいや」って思ってた。でも、今年はそういう訳にはいかないんだ。朝は得意な方ではない。どうして僕は夏休み初日に、人気のない駅前にいるのだろうか。「お、気合い入ってるねぇ」諸悪の根源は早朝でもニコニコして登場した。「気合いじゃなくて悲哀の間違いじゃないか?」「これから楽しい楽しい旅行なのに?」旅行自体に不満な部分はない。
2024年5月2日 16:07
ジェットコースターは楽しかった。お化け屋敷は怖かった。観覧車は2人がすっごく楽しそうだった。君はこんなデートをするんだね。週末が終わる。週末が終われば、僕らの繋がりは嘘かのように無くなる。今日は木曜日。夏休み前の期末テストを来週に控え、自然とクラスは勉強ムードに包まれる。「○○、今日の予定は?」「今日は大人しく勉強するよ。夏休みに補習させられるの嫌だし」俺もこいつも部活に所
2024年5月1日 21:59
友達と友達を会わせるのってなんだか緊張する。でも、2人には仲良くしてもらいたいの。ずっと、ずぅぅぅっとね。僕の初めてのデートは思っていた始まりでは無かった。「まだ、この状況が飲み込めないんだけど」「あの顔見てみ?」後ろを指さした賀喜さん。そこにはニヤニヤとこの状況を楽しんでいるさくらがいる。「諦めて今日を楽しみなよ。私の事を覚えてなかった贖罪も忘れずに」人付き合いを避け
2024年5月1日 17:38
君との初めてのお出かけはとっても楽しかった。あ、でもラーメン残しちゃってごめんね。美味しかったよ。後は…あの本、ずっと持っていてくれたら嬉しいなぁ。今日一日で何度も突飛なことを言っていた。僕はそれを真に受けないと決めていたはずだ。「なんでそう思うのさ」隠していたつもりだが、僕は明らかに動揺していた。言っていることが1ミリも分からなかったからだ。「だって私、預言者だから」返
2024年4月30日 22:10
いきなりあんなこと言って嫌われないかな?いや、きっと大丈夫。だって、とってもお節介な君だから。「ちょっと、黙らないでよ!」答えに困っていた僕を彼女は現実に引き戻した。「ごめん、返す言葉がなかった」「可哀想だ、って思った?」また、答えにくい。僕のボキャブラリーの中には人を労える様な言葉は多くない。「僕と同じ歳の君がそんな運命を背負っていることに驚いた」「ふふふっ…君
2024年4月30日 13:30
その出会いを私は偶然とは呼びたくない。人は必要な時に必要な人と出会う、そう思っているから。「君は私の事、殺さないといけなくなると思うなぁ」君に言われた衝撃的な言葉。今でも脳裏に焼き付いている。「なんでそう思うのさ」「だって私、預言者だから」君との出会いは偶然、いやそんなこと言ったら怒られるかな。春と夏の狭間、不快な暑さの漂う雨の日だった。「何してるの?」病院近くの公