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専業ゲーマーがスマブラから離れ、離島で生活した記録

いきなりの大げさタイトル。

海外トーナメントの影響でスマブラ界隈が盛り上がってる最中
期間限定でゲームとインターネットを(ほぼ)完全に絶ち、一人旅に行ってました。

今回の旅はゲーマーとしての取材やYoutubeの企画ではなく、完全な思いつきです。
東京で生まれ東京で育った自分にとって、山や島での生活というのは憧れそのものでもありました。

何故いきなりスマブラを絶ったのか

スマブラプレイヤーにとって大事なトーナメントが幾つも開催される7月。プレイヤーは当然、勝つための準備しなければ勝ち上がることは不可能です。スマブラは特にやり込みが全てなゲームなので、スマブラをしていない人が挑み続ける人に勝てるなんてことはあり得ません。

それでも、今の自分にはスマブラコミュニティから離れてでも別の場所へ赴く必要があったと思います。
端的に言うと、SNSとスマブラ中心の生活に少し疲れてしまいました。

特にSNSに関しては深刻で、ここ最近は特に第三者からの攻撃的な投稿を見かけることが異常に増えたように感じます。

自分がネットで悪口、陰口を言われる分には「コイツは俺に構ってほしくて仕方ないんだな~」というノリで処理できるのでそこまで気にならないのですが

別の方のさりげない投稿に対して辛辣な言葉を投げかけるのが、スマブラもそれ以外のコミュニティでも当たり前の流れになってきていて
知らない人の嫌な部分を常に観させられる感じが、自分にとっては微々たるストレス源になっていました。専業ゲーマーのクセに根本がインターネット社会に向いてない。


SNSだけではなく、スマブラからも少し距離を置きたかったというのもあります。

大学生時代にオフ大会に参加して以降ずーーーっと続けてきた活動ですが、ここ数年はプロゲーマーとして、仕事として向き合う時間が増えてきていました。

スマブラを通して得た経験は大変貴重なものですが、どんな時でもスマブラのことを考えてきた反動で、スマブラ以外の世間一般の知識や政治、教養に対して思考を働かせられない、人として乏しい状態になってしまったと思います。

せっかく専業なのだから時間はあるハズなのに「スマブラしなきゃな…」「Youtubeの動画作らなきゃな…」という建前を言い訳に、教養を得る機会すら放棄していました。

そして29の誕生日に差し掛かった時に、「たった1度しかない人生の、貴重な20代のラストを、仕事とSNSだけの生活で終わらせていいのか・・・?」という思いが過るようになったのです。

そんな背景があり、20代が終わらないうちに東京とは別の場所でゲームとインターネットを(ほぼ)絶った生活をしてみることにしました。

ほぼ。というのは、宿泊先の予約や地図を開くのにどうしてもスマホを使わなければならないのでそれ以外では基本使わないようにする。の意です。(カメラ撮影にも使います)

東京生まれ東京育ちだった自分にとっては田舎の生活は憧れでもあったので、せっかくなので1週間かけて山と島の両方に行ってみることにします。リアル版ぼくのなつやすみです。

ちょうど月曜から九州へスマブラのお仕事をしに行く用事があったので、スタート地点は九州から。目的のない旅の方が楽しそうという理由により旅の予定は全くの無計画です。最初の宿を取り朝起きてからどこに行くか諸々考えることにします。

これで何か生活が変わるのかどうかは終えてみないと分かりませんが、挑戦を決めた時はずっととウキウキ気分でした。
新しい刺激に飢えてたのかもしれない。

旅の記録

ここから先は撮影した写真(ないものはフリー素材)を元にメモ書きのように書き記していきます。

出発地は熊本県

初日は大雨。

まさかのタイミングで梅雨再開。1週間前まで晴れまくってたじゃん。名古屋40度超えてたじゃん。何思い出したかのように再開してくれてんの。

とはいえここで帰ってしまうとせっかくの決意が無駄になってしまいます。撮影用の機材とゲーム機材を全て東京へ送り返し、晴耕雨読という言葉に倣ってまずは小説を買ってみることに。

ゲームもない上にスマホもほぼ使わない生活では、1冊の小説と田舎の風景が移動中のお供になってくれました。

※写真はイメージです(実際こんな感じでした)

山の生活では移動がバスのみ、かつ1日に3本しかないので行動範囲が限られています。
東京生まれ東京育ちの甘ちゃんな僕は当然免許を持っていないので、宿に行くために暗い山道も一人で歩かなければなりません。

舗装されてるとはいえ暗い山道を一人歩くのは中々の恐怖です。
流石に怖すぎて飯屋のおじさんに「熊とか出たらどうしたらいいんですかね・・・」と恐る恐る質問をしてしまいました。

するとおじさん、笑いながら「熊本に熊は出ねぇな~猿なら出るけど」と即答。

安全を確保できた安心感と、くまモンって熊本出身のクマじゃないんだ…という微妙感を抱えつつ、急ぎ足で宿に向かいました。

草木に覆われてる無人駅、良すぎる

山の駅は自然に囲まれ、まるで異世界のような雰囲気に包まれてます。

駅の周りには何もなく、たまに鳥の鳴き声や通り雨がサーーっと通り過ぎて行くだけ。

電車が予定の時間に来ないので、自然の風景と雑音を存分に楽しみながら読書に耽りました。時間がゆっくりと過ぎて行く感覚はたまらなく良いものです。

ちなみに電車はトラブルのせいで1時間後に無事運休(復旧の予定なし)になりました。嘘だろ。

まんじゅう屋を経営しているおばあちゃんに頼み、空きダンボールを分けていただきました

電車が完全に停止して復旧の目途が立たず、バスも夕方まで動かないので完全に詰み状態。
流石にこれはマズいと動き出し、人生初のヒッチハイクに挑戦することに。

車道でパネルを掲げ1時間。当然誰も停まってくれない。
たまにおじいちゃん&おばあちゃんが減速して様子を伺ってくるけど、笑いながら通り過ぎて行く。
笑うなよ、必死なんだよこっちは。

流石に腕もメンタルもやられ、限界を迎えたところでダメもとでJR九州に電話。

「あの・・・電車の復旧の目途って立たないんでしょうか・・・」

「はい!電車は先ほどから復旧しております!

・・・・

手元には手作りダンボールのゴミが1枚。HELPの文字がより悲壮感を露わにしています。

虚しさを抱えつつも、無事復旧した電車に乗り込むことに成功。車の免許取ろう。マジで。

大人なら確実にテンションの上がる提灯

熊本のお酒が堪能できる屋台村にも立ち寄ってみました。
ぼく夏のぼく君は未成年なのでお酒は飲めないけど、僕は成人なので飲めてしまう。悪いねぼく君。

九州のお酒は本当に美味しい。焼酎が昔から苦手だったのですが、球磨焼酎の飲みやすさにすっかりほれ込んでしまいました。
ワンコイン(100円)で地酒を試飲できるシステムだったのでひたすら連コ。無限に飲めてしまいます。お気に入りは『鳥飼』です。

立ち寄った居酒屋で現地の素敵なお姉さま方とも意気投合。
話を聞いたら昼からお店ハシゴしまくってもう5件目とのこと。お姉さまどころか怪物だった。流石に楽しそうなので僕も東京に戻ったら実践します。

これ以上に夏を感じる画像あるか…?

ただ本を読んでるだけで1週間同じ場所に滞在するワケにはいかないので
雨の中でも自然を楽しめる場所はないものか・・・と調べたところ、鹿児島の更に南にある島に、雨でより強化される森があるという情報をゲット。

屋久島は山に囲まれた自然豊かな島。万が一晴れたら綺麗な海と川を眺められ、雨でも神秘的な森を探検できる。リアルぼくのなつやすみを体現するならまさに理想系の場所です。

苔に支配されてる森(別の登山者に撮影してもらいました)

自分が行った白谷雲水峡はもののけ姫の舞台になっただけあって森全体が苔に覆われている、神々しさすら感じれる場所。
いわゆる原生林というヤツで、日本では殆ど現存していない程の貴重な森らしい。
この日は運良く晴れてたけど、雨が降ると霧がかかりより神秘的に見えるのだとか。

年間降雨量が平均の約2倍 山の水が潤沢にある

水質がとてもきれいなおかげで動植物が豊富に生存していて、歩いてるだけで多くの発見がある。ぼく夏というかモンハンの世界観。
宿で借りた図鑑を片手に、レアモンスターを探す感覚でとにかく歩き回りました。原生林がとにかく美しくて歩いてるだけでもひたすらに楽しい。
頂上付近でSSレアの固有種っぽいセミの鳴き声を聞いた時は流石にテンション上がりまくりでした。

太鼓岩。別の登頂者に撮影してもらいました

道中なんか殆ど手を付けられてなくて、岩が乱雑に置かれてるだけなので登りきるのがとても大変。片道2時間弱かかるので体力もヤバい。
最終コースは道というより傾斜なので、木々を伝って登る必要があります。

足踏み外したら転げ落ちてしまうようなコースで非常にヒヤヒヤしましたが、それでも頂上の島の山々を見渡せる岩までたどり着いた時は思わず疲れも飛んでいってしまいました。絶景すぎる。

島民が泳ぎの練習にくる秘境(入口が大変分かりづらい)

運よく晴れてたのでそのまま海にも行きました。
生き物が好きなので、本当はシュノーケリングでサンゴ礁を観たかったのだけど、当日予約いっぱいであぶれてしまった。計画性の無い旅の欠点である。

どの砂浜に行くべきか迷ってる旨を立ち寄ったお土産屋で話したら、島の情報を網羅してる店員さんに「島民しか行かない秘境のビーチがあるよ!」と案内を受ける。

当方、秘境という言葉にあまりにも弱い少年のため、二つ返事で「行きます!!」と回答。なんと一緒にいたお客様にそこまで車で送ってもらうことに。この島には親切な人しかいないの?

実際に来てみると透明度が素晴らしい。こんな綺麗なのにサンゴ礁には生き物がたくさん生息しているそう。ウミガメも卵を産みにくる程。
他に誰もいない状態だったので、プライベートビーチに来ているボンボンキャラのような気持ちになれました。

岩礁に水筒置いてカメラ固定して撮影しました 周りに人いなくて良かった

海における唯一の問題は自分が全く泳げないということ。人類お得意のクロールも余裕で25m前にして沈んでいきます。登山疲れもあり、深い処まで行って溺れるのだけは避けたかったので、浅瀬でラッコのように浮いてたら鼻から水が入ってしまいました。

砂浜でスナホリムシ追いかけて遊んでたら日が沈んできたのでこの日は帰宅。

レモンの前にあるのがサバの刺身 写真だと透明感分かりづらい

ご飯もしっかりいただきます。大人なので当然お酒もいただきます。登山終えた後の酒は得も言われぬものがある。

この島ではなんとサバを刺身で食べれるらしい。超新鮮じゃないと食べれない貴重な品だとか。
身が透き通ってて綺麗。味もサバの旨味バツグンで本当に美味しい。今まで食べた刺身tierの中でも相当上位だと感じました。首折れサバという名前だけはなんとかならんのかな。

こうしてみると結構グロい

そして島に来たら一度食べてみたかったもの。それはカメノテ
亀の手みたいだからカメノテ、ヤバい見た目とは裏腹に味は相当うまいとのこと。
外の皮はカニのように固いので中身だけをいただく。

なるほど、これはめちゃめちゃうまい。カニとアサリを足して出汁を2倍凝縮にしたような旨味。お店では大人気コンテンツと化して開店1時間で品切れ状態でした。もっと食べたかった。

店長のおっちゃんが「端っこだから」と魚の切り身を次々にお皿に盛ってくれたおかげですぐお腹いっぱいになりました。いい店に巡り合えた。

異世界・・・?

島は街の景観自体も非常に良くて、海風を感じながら徘徊するだけでも穏やかな気持ちになれます。

旅行先でも仕事のことを考えてしまう悪いクセはこの段階では完全になくなってました。本当の意味で純粋に散歩を楽しむことができた。

歩いてるだけでも相当楽しかったのですが、車で移動できればもっと多くの場所を訪問できたのかなーと思うと本当に悔やまれます。車の免許取ろう。マジで。(2回目)

旅の終わりに

以上が僕が1週間旅をした上での記録になります。
スマホを自制した旅の中では考える時間が多く、多くのことに気づかされました。

まず一つが、土地の文化や歴史は、実際にその地に赴き、目で見て肌で感じなければ正しい知識は得られないということ。

そしてもう一つが好きを行動原理にしている人は魅力的に見えるということ。

これらは現地に赴き、現地の方と会話をする上で感じたものです。
彼らは共通して地元に対する愛情が強く、それ故に心に余裕があって人に親切になれる。人間としてとても輝いてるように見えました。
これは僕が今後選手として、Youtuberとして活動する上で最も大切にすべきことだと思います。楽しんで生きてる人間はより魅力的に見える


日常においてスマホを使わなかったことによる発見もありました。

首肩の疲れが溜まらないおかげで寝つきが驚くほど良くなったり
暇があったら即スマホをやめたおかげで作業に集中できるようになったり
本を読む機会が増えたことで新しい知識を得られるようになったり
1日の経過が長く感じられる
ようになったり・・・

他にもありそうですが、特に集中した状態の作り方を身をもって学べたのは大きな収穫でした。
これまで社会人経験があり、選手としての活動もしてきましたが、練習においての集中、あるいは没頭した状態というものを正しく実行できていなかったのだと思います。
練習ですら集中ができていない人間が本番で成功を収めることは到底できないでしょう。

娯楽に溢れた現代社会は物事に対して集中するというのが非常に難しくなっているため
今一度集中力を高めるための重要性を見直す良いキッカケとなってくれました。

これからはまた1スマブラプレイヤーに戻ることになりますが、旅で得られた経験や思考はかなり応用が効きそうなので、今から実践するのが非常に楽しみです。

スマブラ以外での学びに対しても味を占めてしまったので、これからは日々変化を得られることを信条に生活をしていくことを意識してみます。
突発的な旅だったけど実行して本当に良かった。

とりあえず車の免許取ろう、マジで(3度目)

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