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ルイス・キャロルの人物像に迫る!ー彼のボドゲ製作の手法からー(4)

画像は、すべてこの書籍から引用しました。使用している画像は、私の記事とは直接には関係ないです。
The Universe in a Handkerchief by Martin Gardner(邦題:ルイス・キャロル 遊びの宇宙)

Lanrickは何度も改訂され続けました。
「第3改訂」になると、私が「Natural Selection」に対して発言した「批判」の数々が、ほぼ解消されています。
友人らとのテストプレイ回数も、この頃になるとものすごい累積数になっていたでしょうし、何度も揉まれるうち、様々な友人・知人の意見を全部吟味して、こんな形にまとまったのかな、という印象です。

私は「Natural Selection」のルールを読み終わった時、ラウンド開始時点、先手の第1手が「強力すぎる」と分析していました。解消すべき重大な欠点はまずココだと。このままでは「ラウンドの勝利者は、多くの場合には先手」との傾向が強く出てしまって、ゲームの流れ全体での面白さに欠けるだろうと予測しました。

この問題を解決すべく「ラウンド開始時、先手の第一手の移動量だけは2マスのみ」という厳しい制限をかけたものと想像されます。この調節によってゲームは完璧になったかどうかは知らないのですが、少なくとも調節の方向性は「これがBest!」と思っています。
つまり「ルール改正は完全に人任せ(しかも、単なる思いつきレベル)」という手法を用いていても、結局最後には、「三人寄れば文殊の知恵」というコトワザ通りで、かなり高度な完成品に到着するよ。そんな人生の知恵をLanrickに教えられてしまったと思います。

Lanrick 2 players
(第3改訂  October1881)
勝利条件:
5個ある対戦相手のコマを4個取ったら勝ち。
用具:
白5 黒5 合計10個のコマ。
コイン1枚(マーカー)
チェスボード 1台
*外周部分の28マスを「ボーダー」と呼び、それ以外の36マス部分を「フィールド」と呼ぶ。
*コインを中心とする3x3のエリア(全部で9マス)を「ランデブー」エリアと呼ぶ。
準備:
(第一ラウンド開始の前)
順番を決め、交互に1つずつ自分の色のコマを「ボーダー」の任意の位置に置く。
一番最初のコマを置いた人は、最後にコイン(マーカー)を、任意のフィールドに置く。
ただし、コインの置ける範囲には制限がある。自分のコマがランデブーになる位置にコインを置いてはならない。
それだけではなく、自分の色のコマ全てが「1ターンではランデブーエリアに入れない位置」にコインを置かねばならない。
そして、そのラウンドでは、コインを置かなかったほうのプレーヤーが先手となる。
予備知識:
コマを動かす制限の説明:
コマの動きは基本的には「チェスのクイーン」と同様の動き方をする。
しかし動ける距離は制限がある。
その時点で、ゲームボード上にある自分の色のコマの「個数ぶんの距離」しか動けない。
ラウンドに関する制限の説明:
このゲームは、ラウンドを何回か繰り返しながら勝利条件をめざす。
いつでも、ラウンドの開始時の第一手だけは「移動力は2」となる。ラウンドの初手だけは特別。

遊び方:
自分のターンでは、任意の、自分の色のコマを動かす。
コマの「移動力」は盤面に見えている自分のコマの個数で決まる。「移動力」すべてを1つのコマで使っても良いし、複数のコマに振り分けて使っても良い。
*注意:1ターンの中では、コマはまっすぐ直線状にしか動けない。

ラウンドでの勝利と、ラウンド勝利で得られるご褒美:
ランデブーエリアに、自分の色のコマ全てが入ったら、今回のラウンドの勝利者。勝利者には以下のご褒美が与えられる。
1:ランデブー内にいない、任意の相手のコマ1つを除去できる。
2:もし、そのほかにまだランデブー内にいない相手のコマがあったならば、そのコマを「ボーダー」の任意の位置に置きなおして良い。

次のラウンド開始のための準備:
ラウンドの勝利者がご褒美を実行した後、次のようにコマを処理する。
現時点で盤面に自分のコマが少ない人が、任意の自分の色のコマを、ボーダーの任意の場所に置きなおす。
*コマの数が同数の場合は、今回コマを除去された人にする。
これ以後、交互に1つずつ、自分のコマを「ボーダー」の任意の場所に置いていく。
この説明文において「最初にボーダーへとコマを動かした人」がコインを別の場所にセットしなおす。
*当然「1ターン以内に自分のコマがランデブーエリアに入れる」場所にセットしてはいけないし、コインを置かなかった人が次のラウンドの先手となるが先手の第1手目だけは「移動力2」に制限される。

ゲームシステムのデザイナーって、何なの?どういう意味? そんな疑問は、私の記事群によってご理解いただけるものと期待してます。 ラジくまるのアタマの中にある知識を活用していただけるお方、サポート通知などお待ちしています。