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今、来日している観光客はどんな人?

通訳ガイドのぶんちょうです。
6月から外国人観光客の受け入れが一部緩和され、街で外国人旅行者を見かけることが増えましたね。

私もガイド中に、お客さんを連れた同業者をちらりほらりと見るようになりました。

今、日本に来ている外国人観光客が、コロナ前に比べてラッキーなことは、とにかく「空いてる日本」を体験できていることです。主要な観光地はどこへ行っても、混雑し、何時間も並び、予約も取れない、乗り物も混んでいてすぐに乗れない状態でした。

ところが先日、あの有名な「すきやばし次郎」の予約があっさり取れたお客様がいました。以前は、八方手を尽くしても取れなかったのに!とにかくミシュラン星多め系の予約は困難を極めていました。

スカイツリーも外国人専用のファストパスでない限り、並ぶのは覚悟。スタバでコーヒー一杯飲むのにも30分並んだことを考えると今は天国だ!と思ってしまいます。今では、前日予約が取れたり、いきなりOKの施設もあります。人が多いようでも、前と比べれば相当少ないんだなあと感じました。

そんなラッキーな面がある一方、今の政府の方針では観光客に行動制限がかかっています。それは、観光庁の「感染拡大防止のために各観光関係者が留意すべき事項」に書かれています。

入国から出国までの全行程を通じて、添乗員が同行すること。          

観光庁「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」から抜粋

文字通りの解釈は、空港に降り立った瞬間から、あなたが帰るまでずーっと日本人の誰かがつきまといますよ。と言うことです。

立場を逆にすると、日本から外国に行く時の、いわゆる団体旅行のイメージが近いと思います。成田に集合し、ずっと添乗員さんが連れていってくれるタイプの海外旅行です。

でも、「いや、私はひとりで、自由きままに旅行したいよ。」「家族や友達同士で行って、現地でいくつかガイドさんを雇うのがいいね」と言うタイプの旅行者もいます。でも、この日本のルールは、当然ながら全員守らなければなりません。

始めから団体旅行で来たい!と言うタイプの観光客は今までとほとんど変わりません。空港からガイドに先導されてバスに乗り、ホテルに行き、日本の観光をあちこちして帰るまで、知らない人同士の団体で行動するパッケージツアーは沢山あります。

もうひとつのタイプは個人旅行者で、業界用語ではFIT(Free Individual Travelerなどの略)と言います。このタイプの旅行者は色々なタイプがいて、バックパック一つでひとりで世界を渡り歩くようなタイプから、プライベートジェット機で来日して、とてもスペシャルな旅行をする旅行者もいます。

このパッケージ旅行と個人旅行、旅行者としての私はどちらの経験もあるし、どちらもそれぞれ良さがあります。でも、個人旅行じゃないとムリ~って言う人もいませんか。

今、来日している方の中には、個人で自由に旅行したいけれど日本の規制があるからガイドを雇っているという人もいます。どうしても日本に行きたい!でも、バスに乗せられるのはいや!と言うタイプです。

彼ら(と言っても実際は旅行会社ですが)が妥協点として見つけたのが、「バスに乗る代わりにガイドをずっとつける」ではないかと思っています。

その結果、今の個人ツアーは、ガイドと一日中いっしょにいて、全ての面倒を見てもらう超VIPツアーの形を取っているようです。つまり純粋にエンタテインメント系の施設、ディズニーランドやユニバーサルスタジオのような場所にもガイドが同行が必要なのです。

逆の立場で考えると私たちが外国へ行った時、ガイドブックを読んでも結局どこがいいのかよくわからない。何やら有名だから来たけど、どういう歴史があるのか簡潔に知りたい。そんな時にガイドさんは本当にありがたいけれど、遊園地で今日は半日過ごそうと言うときにガイドさん、いらないですよね。せいぜい入り口までつれて行ってくれれば充分です。

でも今、日本のガイドは、その遊園地に相当する完全エンタメ系施設にも同行することになっています。当然、料金も発生します。しかも、その国に行くのが二度目で勝手がわかっていたり、新婚旅行だったしたらなおさら、水入らずの時間もほしいことでしょう。

自分たちで回れるけれど、ガイドをつけなければならない。であれば、ガイド側としては、邪魔せず、しゃしゃり出ず、ここは必要という時に説明したり情報をあげたり。まあ、基本的にはいつもと変わらないのだけれど、そういうことをいつも以上にすることが大事かと思います。ある意味、ガイドの真価が問われている時とも言えます。




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