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ダージーパイの祈り

何年も家族で計画していた中華街探訪。いつでも行ける故の遠さなのか、イギリスのほうが先に叶い、中華街は10年以上たっても実現しなかった。が、コロナが少しあけて県またぎの移動が可能になった頃、なんとも遠かった中華街観光がやっとこさ現実となった。が、あろうことかそこで買ったのはバリのインテリア。イギリスでもアフタヌーンティーを一度も経験せずにアメリカンコーヒーに目覚めていたが、その虚無に向かう反逆精神は本流に逆らうサーモンのごとく元気にピチピチとしていた。が、その意気の良さは辺りに漂うおいしそうなにおいにすぐひざまづき、思いっきりメディアに影響されているのが丸出しな台湾の唐揚げ、ダージーパイの即購入につながり、自分自身その破綻した行動にあきれたが何がそんなに人気を集めているのかも知りたいのが本音だった。
  あげたての平たい唐揚げは実においしく、なにやらスパイスが違う感じではあった。と私の貧弱な食リポートはここまでが限界だが、何かと話題な台湾。食もそうだが、安全保障面でも危機的ではある。台湾有事は日本有事。雑誌などでは「日本のために戦いますか?それとも逃げますか?」など近い未来に起こるであろう台湾問題と類似するウクライナ情勢に連動した記事が載っていたりと何かと物騒である。また最近の情勢に関連して核を所持していない国は常に脅威にたたされ、また核共有といってもボタンを押す権利は日本にはないなどの言及が増え今日本はこれまで寝ぼけ眼だったのがたたき起こされた感じである。「平和ぼけ」やら「お花畑」など色々と揶揄される事柄が多いが、今の今まで日本は本当はなんやかんやいい時代を過ごしていたのかもしれない。が、目を背けてきた問題等に顔面を押しつけられる状態になっているのが現状である。平和ぼけならアルツハイマーでもいい。お花畑だって花を詰んで豊かに暮らせる。が、世の支配者層は国民の幸せというより自分の覇権やメンツのほうが大事なのだろう。どこの一般市民もただただ平和に暮らしたい。ただそれだけなのだ。揚げたてのダージーパイをいつまでも家族と楽しく味わいたい。そんな当たり前の風景が常に当たり前であるように、あり続けるようにと切に願いながらほうばる最後の一口であった。

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