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    ことり合戦

    わたしと沙都の物語。 子育て中の方、 親を愛したい方。 是非お手に取ってください。
    1,540円
    rakuko76
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    スパイス     今秦 楽子

    わたしと彼女の物語。 彼女と少しずつすれ違い…… 美味しいものが食べたくなるお話。
    500円
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〜創作大賞2024•エッセイ部門〜 【黄身が好き】

                                                   今秦  楽子 まだ雨が続く長崎にわたしは降り立った。 かつて乗ってきた特急かもめは弓なりの浜に 沿って情緒とともに過ごせたのだけれど、 今や無味な西九州新幹線に成り代わって しまった。 七月中ば。まだ梅雨は明けていない。 引越しには3つの段ボールを新居に 送り

    • 燃え滓スケッチ

      《燃え滓スケッチ》 スケッチしていると、何もが忘れられて。 目の前の景色との対話の時間になる。 私はその時間を大切にしている。 ただそこに燃え滓のスケッチが残るだけで なにか言葉を添えておきたくなった。          〜長崎の風景やエッセイ                今秦 楽子 ♢南山手乙27番館 「この街は龍がたくさんだね」 友が言う。 言われてみると、 おくんちでも目玉は龍踊りだし 中華街は龍の巣窟だ。 彼女が行きたいと言った グラバースカイロードには

      • チョコレートのような恋

                       今秦 楽子 ♯1目をあけると輸液瓶からポタポタと俺の血管につながった管が真っ赤なルートを作っていた。 「生きたい、死にたくない」 そう彼女に告げた記憶の中で俺の中から吐き出したチョコレート色をした血液がどんどん広がって行くそんな夢から覚めた時。 「目が覚めましたか」 柔らかく声をかける看護師にここは病院かと問いかけて、少しずつ記憶を辿ってみる。そうか血を吐いて救急病院に運ばれたんだった。細かなことを思い出してきた。 「彼女さんはもう帰りま

        • 未来小説 なないろトマト♯2【小説】

                         今秦 楽子  前回のあらすじ 2035年、ベーシックインカムが導入され 若者達は広島で共同生活を始めた。 やりたい分野で活躍できるよう集まった者たちの中に 田舎暮らしに同じほどの熱量をもたない 裕(ゆう)と詩(うた)の姿があった。 わたしたちはキャンドルの奥に   夕暮れなずむ瀬戸内をただただ眺めていた 「詩ちゃんは人に会わなくて平気なの?」 裕くんからふと投げかけられた質問。 「メタバースでちゃんと人に会ってるじゃん」 咄嗟にこ

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        〜創作大賞2024•エッセイ部門〜 【黄身が好き】

          未来小説 なないろトマト【小説】                 #創作大賞2023#ファンタジー小説部門

                        今秦 楽子 〈あらすじ〉 12年後の日本では めざましく発達する人工知能AIが 人間の仕事を奪っていった。 増加する失業者に対し 政府はベーシックインカムを 導入する決断をした。 一律12万/月 岐路にたった新社会人たちは、 豊かさを求め、 瀬戸内の古民家で共同生活を始める。 営業職で食べていく事を選択した裕(ゆう)。 彼を取り巻くシェアメイトたち。 豊かさを得るための労働とは。 働くこととはなんだろう。 裕の苦悩と自立を描く。 203

          未来小説 なないろトマト【小説】                 #創作大賞2023#ファンタジー小説部門

          【短編小説】白い格子

                        今秦 楽子 今わたしはそこにいる。       誰も来ない格子の中に。 ♢1そこは刺激を避けるために存在する「保護室」 と呼ばれる格子の中。 精神科病棟独特の治療室。 何度『収容』されたことだろう。 その光景は強烈すぎて記憶が あやふやなのだけれども。 いつもこの格子の中で時間を潰すのに トイレットペーパーとトイレの水栓。 後は防音壁に響くわたしの歌声が必要だった。 「また、やってる、 そんなにトイレットペーパー出して……」 「……」

          【短編小説】白い格子

          ことり合戦を出版しました

          ちょうど1年前原稿を書き上げて。 いろんな出版社を巡って 縁あってようやく作品になりました。 【作品概要より】 わたしは敗者。この合戦に敗れた…… から始まるストーリー。 子どもを取りあう「ことり合戦」 その敗因とは? 子ども沙都の成長に反して、 精神疾患の波に夫婦はのまれます。 病気を抱えながら、 シングルマザーとして奮闘するわたしでも 思春期を迎え沙都とすれ違って行くのです。 そして来たる離別の日。 沙都の成長記と共に 家族のあり方、親子愛を描いています。 h

          ことり合戦を出版しました

          楽子の未来小説

          今秦 楽子 「アカデミー作品賞ですよ、ことり合戦!」 電話の向こうから男の言葉が届いた。 「杉田です。ノミネートです、 ノミネートですよ」 「え?」 無造作にテーブルに置かれたiPhoneが その時、鳴った。 着信は編集者の名を知らせて。 ここは山の傾斜を背にそそり立つビルの一角。 わたしたちの事務所兼自宅には 作家の彼と愛犬とが居た。 「は?」 「え?」 窓からさす明かりは壁を白々と照らして。

          楽子の未来小説

          kotoriの巣立ち3

          ♢わたしにとって書く事とはずばり自己実現です。 書くことは最近になってからですけれど 前職でも記録することや計画するための 文章を考えることは得意なほうでした。 わたしの文章はリズム感と余韻が特徴でしょうか。 思いついたままpcを指で弾いています。 今、発表している短編なんかは、 情景描写に力入れて書いてみようとか 視覚に訴える文章を書いてみようとか。 写真や動画の代わりになるような物語を 最近は心掛けています。 わたしが行った場所の空気感をお伝えしたい。 わたしが食べ

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          kotoriの巣立ち2

          ♢子育て世代へ伝えたいことこの前、子育てさなかの友人に会いました。 彼女には「ことり合戦」が発売されることと ことり合戦のあらすじなんかとともに 近況を話しました。 わたしは気づくのです。 もう子育ては卒業したのだということ。 なので彼女に対しては OBの目から話すように語りかけました。 親はみな、 自分の子育てが間違っていないかと 懐疑的に模索している。 そんな気がしました。 どんなお母さんでも 「あなたは母親合格なんだよ」って、 伝えたくなりました。 世の中の子育

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          【短編小説】彼はピーターパン

                          今秦 楽子 「からつゆ」なんてコトバ知らなかった。 けれどそのコトバがぴったりなほど、 暑い、カラッとした不思議な梅雨の日。 慎悟と出会ってしまった。 序人との出会いは偶然という人も いたりするけれど。 慎悟との出会いは 必然だと確信している。 慎悟はわたしに書かせるため 出会ってくれた。 書かせて発表させて、 今までと違う 夜空にいざなってくれる。 そんな彼は、本当に緑色の風体に 羽の生えた帽子をかぶっていたりする。 「大丈夫

          【短編小説】彼はピーターパン

          百道浜から

          よるの海と空 漆黒で恐れすら感じる その黒は深いほどの漆黒で ふと吸い込まれそうになる 漂う波音も昼のより荒く とめどもない その音は沈黙をよりきわだて ふと吸い込まれそうになる 広がる夜空には月も見当たらない 一番星だけがまたたく 一点のまたたきで 暗闇の先だから とことん暗やんだ後にはやって来る 一筋なひかりが               楽子

          百道浜から

          大濠公園から

          鳥たちが憩っている。 ただそこで憩っている。 安らぎの池に身体を浮かべ、 眩しい太陽をさけて身体に顔を埋める。 鳥は飛ぶもの、 鳥はダンスするもの、 鳥は鳴きあうもの、なのだけれど。 ここの鳥たちは沈黙をつくっている。 それはきたる春への準備なのだ。 彼たちは渡ってゆく。 わたしの知らない世界に、 わたしの知らない大空に。               楽子

          大濠公園から

          【短編小説】ランタンノアノ日

                                                                    今秦 楽子 真っ赤な提灯がアーケードの天井となって その幻想的なひかりたちが          わたしたちを包みこむ。 何度目だろう。 こうして特急かもめに揺られることは。 もう新幹線の乗り場や乗り継ぎの通路にも 迷いなく足の向くままにわたしは身を移した。 まるですごろくの駒になって 地図の上を移動しているように。

          【短編小説】ランタンノアノ日

          ボタニカルガーデンから

          冬のおとずれを感じさせる乾いた空気に 包まれる。 湿った土に 無造作にちりばまったカラ落ち葉の匂い。 宇宙いっぱいに広がる碧いそらに 赤みがかる木々の蒼がかさなって。 鳥たちがチッチとささやき、 モニュメントの鐘が絶えずカラカラと響く。 ザワっとすれる樹々の葉に、 カラスがカーと鳴いてゆく。 あき深し。 歩みを進めると 展示されるダリアに薔薇にコスモスが、 色とりどりの花弁を誇っている。 まだまだだよ、 わたしたちまだ終わっていないよ。 って誇っている。 あき深し。

          ボタニカルガーデンから

          夙川教会から

          教会におもむくことが好きだ。 そこに何があるのだろう。 建物がまずすきだ。 ステンドグラスがすきだ。 厳かさがすきだ。 ではわたしはそこで何をするのだろう。     祈り 神社や寺で願う祈りとはまたちがっている。 教会には椅子がある。 じっくりと時間をかけて祈る。 イエス様はなぜそこにおられるのか。 こう見えてミサには行ったことがない。 神父の説教は結婚式に聞いた程度。 神の存在を 大まかな意味で認めているぐらい。 ただ、 どうしようもない悲しみに襲われたときに

          夙川教会から