見出し画像

Vol.37 あの"家系御三家"六角家がラー博に復活「六角家1994+」

六角家1994+のラーメン

 新横浜ラーメン博物館が30周年を記念し、約2年間かけてリレー形式で過去に出店したお店(計36店舗)が復活出店するプロジェクト「あの銘店をもう一度」がいよいよフィナーレを迎える。

最後を飾るのは「六角家」。1994年創業時に出店して、まだ登場してなかったお店なのでそれ自体は驚かなかったが“レギュラー店”としての復活とはかなりのサプライズ。
復活オープン日は2024年4月8日(月)、店名は「六角家1994+」。ラー博に出店した1994年当時の味を、30年間の技術と経験により進化(+)させたという意味が込められている。

オープンを伝えるポスター

「六角家」は横浜家系御三家として名を馳せた銘店。折しも今年は家系総本山「吉村家」が創業して50周年のメモリアルイヤー。しかも全国的に『横浜家系』が注目され、新たなムーブメントを起こしている。
偶然なのか、有名店店主が競うように『家系ラーメン』をオープンさせている。「ソラノイロ」が「革新家TOKYO」(東京駅)、「せたが屋」が「がんくろ」(武蔵小山)、「らぁめん小池」が「こいけのいえけい」(巣鴨)、「篝」が「嚆矢」(銀座、虎ノ門ヒルズ)、「人類みな麺類」が「人類みな家族」(大阪、渋谷)、など。
一方、家系の新店や若手の台頭も賑やかだ。「武蔵家」からの流れとなる「三浦家」(金町)、「輝道家」(野方)、「大崎家」(鹿島田)、「大輝家」(蒲田)など。さらに“家系”なのに店名に“家”が付かない“ネオ家系”の台頭もめざましい。「飛粋」(蒲田)、「藤参」(三田)、「紫極」(さいたま市)、「龍」(荻窪)、「たいせい」(中野坂上)など。

そんな中、ラー博が期間限定出店ではなく、レギュラー店として「六角家」を復活させる意義や影響は大きい。家系のさらなるムーブメントが拡がっていきそうだ。

六角橋に合った六角家本店の外観

しかしながら、「六角家」の本店はすでに閉店し、創業者の神藤隆氏は2022年に逝去。誰が店に立つのだろうか?現存する唯一の「六角家」である戸塚店(創業者の実弟が経営)と、神藤氏が現存する際、指名により選ばれた「蔵前家」(浜松市)の協力により実現とのこと。

「蔵前家」の袴田祐司さん

「蔵前家」は、創業者の神藤氏がわずか5年弱で独立を認めた優秀なお弟子さん。2001年に蔵前で『六角家姉妹店』として「蔵前家」をオープン。2009年に地元の浜松へ移転。行列ができる人気店として、20年以上頑張っている。私も一度、浜松まで食べに行ったが、「こんなにおいしい家系ラーメンが浜松に!」と驚いたものだ。

蔵前家の外観(現在は休業中)

今回のプロジェクトは、「六角家」戸塚店の神藤誠氏(神藤隆氏の実弟)、露木あゆみさん(神藤隆氏の姪)にも協力・賛同をいただいて実現。

左から袴田祐司さん、露木あゆみさん、岩岡館長(2023年撮影)

最近の家系は醤油感が強めの店が多いが、今回は「六角家」ラー博出店時の“クラシック家系”をベースに進化させた味で提供するという。そのためにスープは家系で一般的な寸胴ではなく、大釜で取るようだ。

まさに「六角家1994+」の店名通りである。家系が誕生して50年。その勢いが留まることなく、さらに拡がっていく一大勢力。2024年4月8日、「六角家1994+」の登場で新たな半世紀の幕開けだ。
文/大崎裕史

📖バックナンバー
Vol.1「2年で味わい尽くす、ラー博30年史」(2022年6月17日)
Vol.2 伝説の銘店 和歌山「井出商店」(2022年6月24日)
Vol.3 創業90余年 福島・会津「牛乳屋食堂」(2022年7月15日)
Vol.4 魚粉のパイオニア 川越「頑者」(2022年7月31日)
Vol.5 敦賀ラーメンの老舗「中華そば一力」(2022年8月29日)
Vol.6 時代の先を行っていた伊豆「あまからや」(2022年9月18日)
Vol.7知る人ぞ知る 岡山・笠岡「中華そば坂本」(2022年10月4日)
Vol.8札幌ブラックの先駆者、札幌「名人の味 爐」(2022年10月31日)
Vol.9 青森・煮干しラーメンを首都圏に広めた目黒「勝丸」(2022年11月5日)
vol.10 『呼び戻し』スープの発祥久留米「大砲ラーメン」(2022年11月23日)
vol.11幻の店が13年ぶりに復活!! 青森「八戸麺道 大陸」(2022年12月14日)
vol.12鍋焼きラーメン発祥のお店。高知・須崎「谷口食堂」(2023年1月3日)
vol.13とんこつを極めて35年。「麺の坊 砦」(2023年1月27日)
vol.14東京では味わえない 飛騨高山「やよいそば」(2023年2月21日)
vol.15新東京ラーメンの一翼を担った「野方ホープ1994」(2023年3月1日)
vol.16九州ラーメン総選挙第1位に輝いた「元祖名島亭」(2023年3月14日)
vol.17伝説のラーメン店復活 函館「マメさん」(2023年3月31日)
vol.18ラーメン業界のステージを上げた 「支那そばや」(2023年4月20日)
vol.19天才 中村氏がプロデュース「IKEMEN HOLLYWOOD」(2023年5月16日)
vol.20パスタの国イタリアからの逆輸入「カーザ・ルカ」(2023年5月31日)
vol.21 佐野実最後のプロデュース 唐津「らぁ麺むらまさ」(2023年6月26日)
vol.22昭和13年創業、京都の最古参ラーメン店「新福菜館」(2023年7月16日)
vol.23時代の先を走っていた銘店「げんこつ屋1994」(2023年7月17日)
vol.24唯一無二のツナコツラーメン「YUJI RAMEN」(2023年8月7日)
vol.25茶系とんこつラーメンの銘店「ふくちゃんラーメン」(2023年8月28日)
vol.26 直球勝負の"どトンコツ" 久留米「魁龍博多本店」(2023年9月17日)
vol.27復興支援により復活した 気仙沼「かもめ食堂」(2023年10月2日)
vol.28鉄人がカムバック 喜多方「大安食堂1994」(2023年10月25日)
vol.29クセがあるけどクセになる 旭川「蜂屋」(2023年10月30日)
vol.30五感に訴える一品料理としてのラーメン(2023年11月19日)
vol.31星付きのお店を上回る人気店 ドイツ「無垢ツヴァイテ」(2023年12月11日)
vol.32 30年前の濃厚味噌ラーメンが復活札幌「すみれ1994」(2023年1月7日)
vol.33春木屋1番・2番・3番弟子が集結「春木屋郡山分店」(2024年1月9日)
vol.34カナダ発の行列店 カナダ「RYUS NOODLE BAR」(2024年1月30日)
vol.35原点の味が復活 博多「一風堂1994」(2024年2月8日)
vol.36昭和23年創業。水鶏系の元祖?岩手「らーめんの千草」(2024年3月4日)

あの銘店をもう一度"94年組" 第7弾 横浜「六角家1994+」
※横浜「六角家1994+」の詳細はコチラ
出店期間:2024年4月8日(月)~
     六角家1994+はレギュラー店として復活します
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下2階
     ※27弾「春木屋郡山分店」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?