Rami (رامي)

ヨルダンの植物の調査・保全に携わっていました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け帰国し…

Rami (رامي)

ヨルダンの植物の調査・保全に携わっていました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け帰国し、現在は外資系メーカーにて医療・介護の現場のために奔走中。Rami (رامي) とはヨルダンでの呼び名で「放つ」や「投げる」という意味。生命科学、栄養、植物、自然環境、中東、国際協力など。

マガジン

  • 海外協力隊note

    • 1,894本

    JICA海外協力隊が執筆した記事を綴るマガジンです。

  • 書籍と論文の紹介

    書籍と論文の紹介記事をまとめています。

  • ヨルダンの新型コロナウイルス事情

    ヨルダンの新型コロナウイルスに関連する自身の投稿をまとめています。

  • ヨルダン各所訪問記

    青年海外協力隊としてヨルダンの植物園で活動しています。ヨルダン滞在中に訪れた場所に関する投稿を纏めています。

  • ヨルダンの植物

    ヨルダンで出会った植物の紹介記事をまとめています。

最近の記事

【書籍紹介】論文図表を読む作法

生命科学や医学分野の原著論文を読み解く上で非常に頼もしい相方となるであろう書籍と出会った。タイトルは「論文図表を読む作法~はじめて出会う実験&解析法も正しく解釈!生命科学・医学論文をスラスラ読むためのFigure辞典」である。 生命科学・医学分野の論文で頻繁に登場する図表(=Figure)をどのように解釈すれば良いのかまとめられた一冊である。アガロースゲル電気泳動、PCR、ポリアクリルアミドゲル電気泳動など、学生実験でも行う基礎的な実験手法はもちろん、次世代シーケンサーなど

    • 【書籍紹介】限りある時間の使い方

      時間の使い方に関する海外のベストセラー本が翻訳されていた。原題は"FOUR THOUSAND WEEKS(4,000週間)"だが、翻訳版では「限りある時間の使い方」となっている。著者はイギリスのコラムニストのオリバー・バークマン、翻訳は「エッセンシャル思考」や「ブロックチェーンレボリューション」なども手掛けた高橋璃子さんとなっている。 効率化や時短術に関する書籍は多くあるが、本書が読者に訴えることは「時間は有限であることをまず認めなさい」ということである。原題の4,000週

      • 野生のシクラメンはヨルダンにいる

        実家からシクラメンが贈られてきた。近くの園芸店の店員から猛烈に薦められたらしい。 葉の模様が特徴的で好きな植物だが、花の数が多い。葉もみずみずしい。園芸家が手間暇かけてつくりあげた園芸種だろう。 シクラメンの起源は諸説あるが、イスラエルやパレスチナ、ヨルダン、シリアなど地中海東側のレバント地域と言われている。イスラエルではかつて国花に選ばれていた。 私がヨルダン北西部の遺跡に訪れた時に、道端で見かけたシクラメンがこちら。 園芸種に比べて花の数は少なく、葉も小ぶりだが、

        • NR・サプリメントアドバイザーの取得まで

          日本臨床栄養協会が認定している「NR・サプリメントアドバイザー」の試験に合格したので、備忘録として取得までの流れを記録しておく。 NR・サプリメントアドバイザーとは "消費者に対して保健機能食品、サプリメントについて、専門的観点から個人個人の栄養状態を評価し、適切にアドバイスできる" 役割を担える人材を育成するためにつくられた資格試験で、日本臨床栄養協会が提供する通信講座を受講した後、年に1度行われる試験に合格することで認定される。今年は330名が合格し、合格率は53.0%

        【書籍紹介】論文図表を読む作法

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        記事

          【書籍紹介】コンテナ物語~世界を変えたのは「箱」の発明だった[増補改訂版]

          前の職場で化学品や肥料原料の輸出入の仕事をしていた関係で、輸送用コンテナで物を運ぶ機会が多くあった。港や船に積み上げられてたり、トラックで運ばれている輸送用コンテナだが、身近過ぎるのか、形がシンプル過ぎるのか、その発明や普及について考えたことも無かった。 そんな中で巡り合った本がこちら。著名人が紹介したりと繰り返し話題に上がる本で、noteでも書評が多く投稿されている。 原題は"How the Shipping Container Made the World Small

          【書籍紹介】コンテナ物語~世界を変えたのは「箱」の発明だった[増補改訂版]

          【書籍紹介】ストーリーが世界を滅ぼす

          アメリカの文学者であるジョナサン・ゴッドシャルの新作「ストーリーが世界を滅ぼす」を読んだ。原題は"The Story Paradox: How Our Love of Storytelling Builds Societies and Tears them Down (拙訳:物語の逆説: 我々の物語への愛がいかに社会を築き、そして崩壊させるのか)"である。 我々人間に備わっている物語を愛する本能が、いかに社会を豊かにし、またいかに社会を崩壊させるのかを示した内容となっている

          【書籍紹介】ストーリーが世界を滅ぼす

          細胞の分子生物学、8年ぶりの改訂第7版。

          分子生物学や細胞生物学を学ぶ学生にとってバイブルとも言える教科書の一つに「細胞の分子生物学(Molecular Biology of THE CELL)」があるが、8年ぶりに改訂され、今月第7版が発売された。 私が大学入学した2012年頃には第5版の日本語翻訳版が出ていて、2015年に原著第6版が発売された。1,000ページ以上ある重い本で、第5版は学生の間で「赤い鈍器」と呼ばれたりしていた(表紙が赤色だったから)。 思い入れの深い教科書なので、新しく出た第7版を購入し、

          細胞の分子生物学、8年ぶりの改訂第7版。

          【書籍紹介】生命の劇場

          「環世界」の概念を提唱した生物学者「ヤーコプ・フォン・ユクスキュル」の「生命の劇場」を一読。ユクスキュルの本といえば岩波書店から出版されている「生物から見た世界」の方が日本ではポピュラーかもしれない。そもそもユクスキュルの著作で日本語訳が出ているのは上述した2冊のみである。 「生命の劇場」の原作は1950年に出版された。ユクスキュルはこの本の執筆途中の1944年に亡くなっており、妻と息子がユクスキュルの下書きをもとに完成させた。ちなみに「生物から見た世界」が出たのは1909

          【書籍紹介】生命の劇場

          Duolingoのアラビア語コースを半年続けてみた

          ヨルダンから帰国して急速に衰えているアラビア語だが、それでも完全に忘却してしまうのは悲しいので、語学アプリのDuolingoを使用して勉強を継続している。 Duolingoで学べるアラビア語は正則アラビア語「フスハー」で、コーランや新聞、ニュース番組で使われる、いわゆる「アラビア語圏の人が学校で勉強するアラビア語」のことである。 アラビア語には「フスハー」のほか、現地語である「アンミーヤ」が存在する。アンミーヤは国や地域によって異なる。私がJICA海外協力隊としてヨルダン

          Duolingoのアラビア語コースを半年続けてみた

          「ツェッテルカステン」はどうやらメモのハウツーでは無いらしい

          数十冊の書籍と数百本の論文を世に出したドイツの社会学者「ニクラス・ルーマン」のメモ術が欧米を中心に流行っているようだ。「ツェッテルカステン」というようで、このメモ術の解説書が日本に上陸した。以下は読んでみての感想である。 巷に多くあるメモのハウツー本の一つかなと思い読み進めていたが、途中から人間がどのように情報を記憶し理解するのかという学習理論の解説本に化けていた。学習方法とその効果に関する先行研究も多く参照しながら、人間がどのように学び、新しいアイデアを思いつくのか解説さ

          「ツェッテルカステン」はどうやらメモのハウツーでは無いらしい

          NETFLIXの創業者がアメリカ版青年海外協力隊出身者だった

          JICA海外協力隊として2019年から2020年にかけてヨルダンで活動していた。コロナ禍での帰国となり、またいつかヨルダンを訪れたいと思っていた中、NETFLIXからヨルダンを舞台にしたドラマ「アルワラビ女子高校」が日本語字幕で公開されひっそりと歓喜した。 NETFLIXについてはその独特な企業文化が注目されており、共同創業者で会長兼CEOのリード・ヘイスティングス氏がその中身を綴った書籍が日本で5万部突破のベストセラーとなっている。 多くの書評があるので内容についてはそ

          NETFLIXの創業者がアメリカ版青年海外協力隊出身者だった

          【書籍紹介】サッとわかる!栄養療法のトリセツ

          臨床栄養に関する新刊が出ていました。リハビリテーションで有名な「熊リハ」こと熊本リハビリテーション病院の吉村芳弘先生率いる栄養サポートチームによる「サッとわかる!栄養療法のトリセツ」です。 「栄養サポートチーム」に馴染みが無い人も多いと思います。私もこの業界に入って知ることになりましたが、病院では患者さんの治療やリハビリを栄養面で支えるために、多職種の医療従事者によるチームが稼働していて、これを「栄養サポートチーム(Nutrition Support Team, NST)」

          【書籍紹介】サッとわかる!栄養療法のトリセツ

          細胞膜受容体とノーベル賞

          2021年|医学・生理学賞|温度と接触に関わる受容体の研究2021年のノーベル医学・生理学賞が発表され、温度と接触に関わる受容体の発見を称え(“for their discoveries of receptors for temperature and touch”)、デヴィッド・ジュリアス博士とアーデム・パタプティアン博士に贈られた。 ノーベル賞のホームページから、受賞理由の研究内容の詳細や、中心となる論文リストなどがまとめられたプレスリリースを閲覧することができる。PD

          細胞膜受容体とノーベル賞

          最近読んだ栄養に関連する書籍

          栄養学・栄養療法の世界に入ってはや1年。栄養関連の書籍も増えてきたので備忘録として残しておこう。 一般書籍 ~何をどう食べるべきか~健康的な食事とはどのようなものか、医師である著者が解説している。糖尿病や肥満の治療に長年携わってきた医師であり、血糖値のコントロールについての記載が豊富な印象。この本も然り、所謂「医者が教える〇〇」系の書籍は参考文献が充実している点が嬉しい。 こちらも医師が著者の書籍で、上で紹介した「医者が教える食事術」と内容は似ている。こちらは研究論文を重

          最近読んだ栄養に関連する書籍

          Netflix初のヨルダンドラマが日本語字幕で公開した

          Netflix初のヨルダンが舞台のドラマの日本語字幕版が公開されていた。ヨルダンに8ヶ月間滞在していた身としては大喚起である。 首都アンマンの富裕層が通う名門女子高でのいじめとその仕返しを描いた全6話のドラマである。いじめは世界共通なのだなと感じながら観ていたが、仕返しのやり方が日本では想像できないもので、ラストもなかなかに衝撃的だった。ネタバレにならないようにこの辺りで止めておく。 ヨルダンの首都アンマンの街並みや観光名所が映り、登場人物の会話もヨルダン方言で、どこか懐

          Netflix初のヨルダンドラマが日本語字幕で公開した

          【論文紹介】人工呼吸器管理のCOVID-19重症患者に必要なタンパク質量

          集中治療室で人工呼吸器管理を受けるようなCOVID-19重症患者の多くは体内のタンパク質の分解(タンパク異化)が亢進している。食事からエネルギーを摂取することが難しく、筋肉等のタンパク質分解して何とかエネルギーを確保しようとしているためだ。COVID-19に限らず、ICUに入室するような重症患者の多くはタンパク異化が亢進している。筋肉が分解されれば体重も落ちるので、死亡のリスクは高くなり、また治ったとしてもその後の回復に時間がかかる。 このような背景から、重症患者に対しては

          【論文紹介】人工呼吸器管理のCOVID-19重症患者に必要なタンパク質量