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俺が鳥になっても

もしも人になったとしよう

もしも鳥になったとしよう

もしも蛇になったとしよう

もしも蟻になったとしよう

もしも砂になったとしよう

もしも空になったとしよう

もしも酒になったとしよう

もしも雨になったとしよう

もしも全ての一部になったとしよう

もしも記憶の彼岸に流れ着いたとしよう


失墜の中の饗宴がはじまった

黒い風船にしがみつけ

時には君になろう時には君

時には彼に時には彼女に


流星、龍、蝋、ローマ、ロック

木の実、記憶、傷、霧、君


めぐれめぐれ全ての中を

めぐれめぐれ全ての中を


俺が鳥になっても愛してくれよ

君は一部、死んでも死なないめぐるだけ

俺が鳥になっても愛してくれよ

俺が鳥になっても。


鳥葬

空葬

風葬

埋葬

火葬


想像してみろあの時を

想像してみろあの時を

足りない痛みを補おう

太陽に跨り進もう


緋色の船が空にいる

部族は病をなおしたい

祭祀よ我を導きたまえ

死はいつもそこにいる

死はいつも優しい友だ


明日は君の生まれた街へ帰ろう

花となり花となり

明日は君の育った森へ帰ろう

風となり風となり

明日は君の泣いた道へ帰ろう

雨となり雨となり

明日は君の死んだ丘へ帰ろう

鳥となり鳥となり


俺が鳥になっても愛してくれよ

俺が鳥になっても愛してくれよ


星に跨がれ

原子に跨がれ

宇宙の外や

想像の外に

跨がれ歌え魂の子らよ

恐怖に身を晒せ

影を落とした月の裏

準備はいいか

裸になって踊りだせ


優しい雨しか降らない街で

悲しい歌しかない子守唄

刺した傷から流れる精子

無限を彷徨う首狩り詩人

毒矢をなめて生きている


大きなフクロウが枕元にきて

君に日記を読むだろう

傷なんて一つもないのに

君達は傷を治そうとしている

傷なんてはじめからないのに

君達は傷をなおそうとしている

目を覚ましてくれ。

続きはあそこにおいてきた。

また会う日までさようなら。

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