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56【ラストスパート】

7月9日
胃に直接足りない栄養を取り込むとき以外

体についているものは全て外れて解放!


それが嬉しすぎて
ひたすら歩く、歩く、歩く

もう、ほぼ取り憑かれたように歩く

この日から食事が始まり
と言ってもゼリーと重湯だけだけど。。

それでも

ダンピング症状が出た。。


え?たったこれだけで?

ダンピング症状というのは
食道と胃を切ってつないでいる影響で
胃に食べたものが滞在する時間が少なく
一気に栄養が小腸になだれ込むことで
栄養過多になって血糖値がバン!と上がるため
それを身体が下げようとしてインスリンを噴射し
今度は逆に血糖値がガクンと下がることで
全身から汗が噴き出したり、
めまいとふらつきで立っていられなくなったり
身体が震えたり、急に眠くなって気を失ったりする症状
(これにひたすら悩まされることになる)

まさか、そんなちょっとの食事で
出るはずもないと思っていたから

いっぱい歩いてベッドに戻った時に
全身から汗が噴き出して、止まらなくなって
ナースコールを押した

Kさんが慌ててきてくれて
血糖値を測ったら80を切るぐらいで
ちょっと先生と相談してくると出ていった

ムウは普段から血糖値の低下はよくあって
チョコレートや飴を常備していたから
よくあるやつがちょっと酷いぐらいの
感じだったけど、看護師さんは慌てたみたい

大丈夫だとは思うけど念のために
先生は点滴をするように言ってる

とのことで本当に嫌だったけど
また左腕に針を刺し、点滴を再開した

もう。。。


夜になって点滴が終わっても
とりあえず針は抜かずにおくというので
そのままにしていたら激痛が走った

お願いです。
もし明日も点滴するなら
また刺してくれていいので針を抜いてください

と夜担当のBさんに無理を言って抜いてもらった
(これ以降、点滴のお世話にはならなかった)


7月10日

朝、体重が100g増えていた
今までずっと少しずつ減っていたのが
下げ止まった!と思って嬉しかった

この日はユウの教員採用試験の一次の日
きっと眠れずにドキドキしてるんだろうなと
電話をかけてみたらちょうど
駅のホームにいたようで少し話せた

とりあえず励ませるだけ励まして
1日ドキドキして待った

難しかったらしい。。。。
でもあの子は大丈夫!

7月11日

この日もひたすら歩く

咳をした時の傷の痛みが
少しずつ柔いできてる

喉と声のリハビリのために
声を出さないとダメだと言われていたので
9階の屋上庭園で思いっきり歌う

咳こんで苦しくなりながらも

ひたすら歌う


全くもって前のように歌えず
めちゃくちゃ落ち込んだけどそれでも歌う


途中、なんだか、

涙が溢れてきたけど歌う

あらん限りの声で。

この日からご飯(お粥)が始まり、結構食べた

ひたすら噛む
口に入れて完全に溶け切るまで噛む

ダンピングにドキドキしながら
ほんの少しの量をタイマーで30分測って食べる


7月12日

前日の夜から昼間、フリーでいるために
エネーボという栄養剤を夜寝てる間に1日分、
点滴で胃に直接、投入するシステムにしていた

途中、目が覚め、朝には終わってるはずの
栄養剤が全然落ちてないことに気づく

自分でスピードを早めてまた寝る

4時に起き出して、ガブちゃん日記を書く

この日から立ったままできる
ストレッチとYOGAを始めた

朝ごはんオカズは全部食べる

ご飯を食べられてるからと
エネーボも今日で終わっていいことになる

朝、巡回に来るG先生にひたすら

いつ退院できますか?

14日には退院したいんです。

と伝えていたけどこの日、
O先生にも伝えることができて

今のまま、順調であれば大丈夫じゃないですか?
U先生とも相談しておくね


と言ってもらえた

特に理由はないけど
新月に入院して満月に退院すると決めていた
そしてそれがこの病院でまだ誰もなし得ていない
新記録らしかった

そんなことを目指したところで
どうにもならなことはわかってるけど

人は、いや

ムウには目指すゴールが必要だった

そうしないといつでも

心がポキっと折れそうだったから


気になっていた声帯や喉の状態を
耳鼻科で診てもらったけど
順調だと言われてホッとした

これでいつかまた歌える日が来るな。。

レントゲンも問題なし
歯科でもしっかり磨けてると褒められる

やっぱり褒められると嬉しい

この日は
安倍首相のお別れ日で
テレビでやってる隊列が病院の下を通っていった

12000歩以上歩いた

7月13日 
夜は9時過ぎに眠くなり4時前まで眠る(一回2時に起きた)

すごい。よく眠れるようになってきた

雨の朝、ガブちゃんの22を書いてからの
ストレッチと筋トレ
モモがヤバいので無理は禁物

ウォーキング中に巡回中のU先生を発見

すごい勢いで歩いてますねー 

と言われ

先生!
明日退院していいですか?

と直談判

ですね、
ダメな理由ないですもんね


手帳を開き 14時に退院説明の約束を取り付けた

やったーーー! 
ついに、退院できるーーーー!!!!!


術後、
ウォーキングの時にいつもすれ違う先輩に
本当に励まされた

言葉を一言も交わしたわけではないけど
いつもムウより早く歩き出していて
いつもムウの先を行ってくれた

外れる管の状況も
歩くスピードも
歩く距離も
自分の少しだけ未来の姿を見せてもらえてるようで
本当に励みになった

そうやって
背中で見せられるような生き様が
退院してからできるのかな、できるといいなと思いながら
歩いた距離はお昼前には3キロに達していた

13:30から 
がん相談支援センターのSさんと話す

咳がひどくてあんまり話せないが、
これからのことを色々聞けて安心した。

15:00
ダンピングがきて落ちるように眠る
これがいつ来るかわからないかたタチが悪い
そしてやってくるともう何もできなことも。

16:30
栄養相談を受けて一通りのことを聞く

退院後3ヶ月はリハビリ期間として
とにかく、いっぱい噛んでゆっくり食べること
栄養が吸収される力が弱っているから回数を増やすこと
消化のよくないものや刺激物は避けること

などを丁寧に教えてもらって
栄養補助食品のパンフレットをもらった

今日はルウと全然話せないままに 終わる
まぁ明日会えるからいいのかな。。。。

入院からの怒涛の日々、
新月から満月までいることになった

激動の日々だけど
すぎてみるとあっという間だった


ここまで退院だけを目標にきたけど
やっぱり自分の
短期の集中力はやばいことを改めて思い知った

そして
これから何を目指して頑張ろうかね。。。
これからが正念場だな

と何にもない自分に強い不安が押し寄せてくる。。。

だけど

ガブちゃん ありがとう
本当に ありがとう


ちゃんと生きるよ 


生きる

何がちゃんとなのかまだわからないけど
生きようとしてみるよ


そうだ、とりあえず今日のところは
ガブちゃんを育てた生き方をを後悔するよりも
ここまで頑張った自分を褒めよう


教訓
:いつかは終わりがやってくる
:先輩は必要
:期限付きの目標も必要
:とりあえず感謝しよう

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