056 | 早稲田大学 會津八一記念博物館にチューリッヒ・ダダ100周年展を見に行った



日が空いてしまったけど前回のノート055の続き。
上野恩賜公園から早稲田大学までロードレーサーを飛ばした。距離なんかホンのちょっとだけど炎天下の上野公園で既に体力削られ、水分欠乏&燃料切れ気味だったから、駐輪してまず学食に紛れ込ませてもらってお昼。水分補給とぶっかけおろしうどん、海藻サラダも付けた。生き返る><。 









来てみたら早稲田はたまたまオープンキャンパスの日で、学内の通路や学び舎や広場、あらゆる空間が中高生で埋め尽くされていた。遠隔地からのバスツアーなども組まれているらしく、キャンパス全体が蜂の巣をつついたような大騒ぎである。まぁ中高生が大挙して押し寄せているいるのだから、熱気ムンムンなのも無理はない。

学祭でもここまで凄くないいんじゃないかな。学祭なら、学生を含む大人が多くを占めるであろうところ、この時押し寄せたているのは、その非日常性に興奮する思春期の少年少女である。多少の傍若無人さも持ち合わせたそのエネルギーは只事ではなかった。
だから警備の大人達まで殺気立っていて、当初私まで自転車での入校を止められる始末(以前自転車で来校し学内に駐輪させてもらってるし、いくらなんでも中高生には見られなかったと思うが・苦笑)。

ま、そーゆー事もあるだろう。自分が同学の予定確認しないで来ているので文句は言えない。キャンパス全体が、浅草の三社祭以上の熱を帯び、隅田川花火大会以上の混雑を呈した。きっと若人達にとっては、将来の進路を占いつつの夏祭りのようなものなのだろう。むしろおっさんの自分が、そんな時空に図々しく紛れ込んでいる。

とか言いながらまだ水分補給が足りず、テントで学生が投売りしてたラムネに飛びついた(苦笑)。









昼ごはんの後も目的の場所になかなか近づけなかったその目的は、會津八一記念博物館の「チューリッヒ・ダダ100周年 ーダダイスト・ツァラの軌跡と荒川修作」展。会期がこの時の週末までだから危なかった。




2016年は、第一大戦下のスイスはチューリッヒで、トリスタン・ツァラ達によって、アヴァンギャルド芸術運動=ダダイズムが始動して100年目にあたる。←これは同企画展サイトの受け売りだけど、今時ダダに関しての展示は、多分そうそう見れないしそうそう催されない。お客さんを呼べる「引き」が弱い気がする。こーゆー企画展は教育機関のアウトリーチならではかも知れない極東では。

自分が学生の時、バウハウスとかロシア構成主義とかダダとかについて、教授や講師から吹き込まれる、もとい教えを賜る機会が少なからずあったけど、私はそれら芸術運動と呼ばれるものがピンと来なかった。その反省って訳でもないけど、名前くらい覚えているジャンルの展示なら、機会があれば覗きたいと思った。
実際の展示を見れば何か感じる事がある筈だし、やっぱり何かが必ず面白い筈なのだ。會津八一記念博物館も訪れた事が無かったから、そこがどんなミュージアムなのか、どんな空間なのかも見たかった。

ダダは、パリやニューヨークや、東京にまで拡がった。その実 “ダダとはこーゆーものだ” などと言えるものが不明瞭な、虚無の芸術運動。むしろあらゆる意味性を削ぎ落とす事が重要だった。シュルレアリスムにも、ピカソやアンドレ・ブルトンにも通じているけど、ボンクラ美大生だった私には未だ謎めいている。展示を見てもその謎はあまり解消しなかったけど、興味は増した。

トリスタン・ツァラらがチューリッヒのキャバレー:ヴォルテールを活動の拠点に、第一次世界大戦に対して虚をもって抵抗する事でダダはカタチを成した。芸術運動であると同時にそのコンセプトは「反芸術」だった。

また、ネオダダと呼ばれるものが第二次世界大戦後の’60年代に隆盛し、その流れはNY界隈のポップアートにも繋がり、そのポップアートの影響が今でも世界中のアートに見られる事は誰もが知るところだろう。展示は、絵画というより印刷物の展示が主だった。ダダの機関紙(その名もDada)や「カイエ・トリスタン・ツァラ」の創刊号などなど。どこかで見た事があったようなないような茶色い表紙。




美術家:荒川修作は日本におけるネオダダイストの1人。吉村益信、篠原有司男、風倉省作、赤瀬川原平らとネオ・ダダイスム・オルガナイザーズなる組織を作って活動した。すぐに解散しちゃったけど、この企画展にあった荒川の作品「実際には:盲点の意思」シリーズ、文字と線による幾何学抽象とでも言えそうなシルクかたぶんリトグラフは、今見てもいかしていた。
ちなみに荒川、高校を卒業後 武蔵野美術大学に入学するも速攻で退学している。荒川先輩バリバリです(苦笑)。

會津八一記念博物館のダダ展は予想したよりずっと小規模で、常設の一画を占めるのみだった。それでも見れて良かったし、やっぱ今時ツァラやダダの展示は珍しい。その多くを所蔵品で賄っちゃう早稲田大学、おそるべし。
https://www.waseda.jp/culture/aizu-museum/news/2016/06/10/1213/

せっかく来たから、同学の演劇博物館も覗いた。相変わらず只事じゃない、1928年竣工の建物からしてシェークスピア時代の劇場を模している。
企画展の「あゝ新宿」展がキてた。なにしろ花園神社に出現した状況劇場の紅テントに代表される、アングラ演劇と言えば新宿である。また、フジテレビが新宿区戸山にあった時代の番組映像や、磯崎新の幻の都庁計画など、新宿という舞台空間を様々な切り口で見せ、ボリューム的にも見応えある展示だった。
http://www.waseda.jp/enpaku/ex/4395/




帰路の夕方、江古田駅近くの懐かしい感じの商店街の居酒屋で、早目の晩ご飯にモツ煮定食を所望。ホロホロと言うかグズグズに煮込まれたモツが絶品。
江古田はチャリで都心に出た帰りしか通らないエリアで、この酒場は発見以来お気に入りなのに、毎度アルコールを頼まないという不義理を働いている><。

この日の走行距離:超ヘタレな35.08km。