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おめでとう、これで君もノーベル賞じゃ! ヨラム・バウマン著 山形浩生訳「この世で一番おもしろいマクロ経済学 みんながもっと豊かになれるかもしれない16講」

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この本は理屈抜きで、だれにでも読めると保証させていただきます。ぜひチャレンジしてみてください。マンガで分かりやすくよめますし、日ごろ感じている疑問を解決できたら(なかなか解決できないから困るのですが)、これで君もノーベル賞じゃ! と乱発されているところが痛快です。

※ ノーベル賞を受賞した学説、業績でも、ちっともマクロ経済はよくならにないじゃないか!というツッコミは、ここでは、、目をつむりましょう。

マクロ経済学と、ミクロ経済学の2冊がセットになっていますが、まずはわかりやすさから言えば、マクロ経済学のほうがとっつきやすい気がします。私は学生時代にはワケがわからないなりにマルエンの翻訳あたり、岩井克人先生の「貨幣論」や柄谷行人先生の著作をナナメ読みしていますが、あくまで経済学初心者でキチンと勉強したことはありません。最近の経済学の本にはだいたい挫折して読み切れていませんが、その理由が「やっぱり解決できていないじゃないからじゃないか」とわからせてたのがこの本です。

さて、この本の原著が2012年に問われてから、もっとも読まれた経済がらみの本といえば、トマ・ピケティの「21世紀の資本論」あたりなのでしょうか。しかし、世の中はどんどん事態が悪くなり、貧富の差は開き、富の分配もうまくいっていません。MMTや、仮想通貨、仮想通貨を仮想通貨によって担保する怪しげな金融工学やら、NFTなどで、世の中にあふれる貨幣または貨幣もどきが激増すると、経済は予測できない手に負えない怪物になりました。その怪物の操縦や、富の上手な分配はますます難しくなっているように思います。ノーベル経済学賞をとった学者の一部も、せっせと金儲けに励んだり、破産したりしているようです。

だから、この本の副題にあるように、なぜ、学問として(金儲けの手段としてではなく、、、) マクロ経済学を研究する必要があるのか、その目的として、「みんながもっと豊かに」を考えることは、とても意味があるように思います。

このところ、私たちの日常を脅かし、世界の物価高を引き起こしているロシアのウクライナ侵攻も、貧しいロシアが豊かになれる平和的な手段を見出すことができなくなり、被害者意識に陥ってヤケを起こしているように見えています。貧しいことに苛立ちを隠さない国が、ヤケを起こさないような仕組み、だれかの貧困を代償にして、自分の国だけ反映するという悪意にならない(自分が踏み台にされているという被害妄想に陥らせない)工夫を考え続けることが、平和な世の中を作る上でますます必要になってきていると感じました。

書誌情報

ヨラム・バウマン著、グレディ・クライン作画、山形浩生訳「この世で一番おもしろいマクロ経済学 みんながもっと豊かになれるかもしれない16講」ダイヤモンド社、2012.5初版 
ISBN-10 ‏ : ‎ 4478017832
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4478017838

ちなみに、セットで
「この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講」もオススメします。

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