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心理効果/混同しやすい共感力の秘密。バーナム効果とミルトン話法

バーナム効果とは、ある人に対して曖昧で一般的な性格や運勢の記述を与えると、その人はそれが自分に当てはまると感じるという心理現象です。

例えば、「あなたは自分の能力に自信がありますが、時々人の目を気にしすぎることがあります」というような文です。このような文は、ほとんどの人に当てはまる可能性が高いので、特定の個人に対して書かれたものではないにもかかわらず、その人は自分だけが理解されていると感じるのです。

バーナム効果の名前は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したアメリカのサーカス王、P.T.バーナムに由来します。彼は「一分間に一人はだませる」という言葉で知られており、観客を惹きつけるためにさまざまな手法を用いました。その中には、占星術や手相術などの占いも含まれていました。彼は占い師に対して、観客に対して曖昧で一般的な言葉を使うように指示しました。そうすることで、観客は自分に関する何か特別なことを聞いたと思い込み、満足感や信頼感を得ることができたのです。

バーナム効果は、現代社会でも広く見られる心理効果です。

例えば、新聞や雑誌の占いコーナー、インターネット上の性格診断や相性診断などが挙げられます。これらのコンテンツは、多くの人が興味を持ちやすく、簡単にアクセスできるものです。しかし、実際には科学的な根拠や証拠が乏しく、個人差や状況差を考慮していないものが多いです。

それでもなぜ多くの人が魅力を感じるのでしょうか。それは、バーナム効果によって自分に関する肯定的なフィードバックを受け取ったと感じるからです。人間は自己肯定感や自尊感情を高めたいという欲求が強く、自分に都合の良い情報を選択的に受け入れやすい傾向があります。そのため、曖昧で一般的な言葉でも、自分に当てはまると思えば納得しやすくなります。

バーナム効果は、社会生活やコミュニケーションにおいても重要な役割を果たします。例えば、カウンセリングやセラピーでは、クライエントに対して曖昧で一般的な言葉を使うことで、クライエントが自分の問題や感情を自己開示しやすくする効果があります。

混同しやすい技法に、ミルトン話法があります。

ミルトン話法とは、催眠療法の創始者であるアメリカの精神科医ミルトン・エリクソンが開発したコミュニケーション技法のことです。この技法では、相手の無意識に働きかけるために、曖昧で多義的な言葉や表現を用いて話します。例えば、「あなたは今、リラックスしていますね」と言うと、相手は自分がリラックスしているかどうかを確認しようとして、無意識的にリラックスする傾向があります。このように、ミルトン話法では、相手の自発性や創造性を引き出すことができます。

バーナム効果とミルトン話法の違いは、目的と対象です。バーナム効果は、自分や自分が属する集団に対して生じる心理現象であり、目的は自己肯定感や帰属感を高めることです。一方、ミルトン話法は、他者に対して用いるコミュニケーション技法であり、目的は他者の無意識に働きかけて変化や成長を促すことです。また、バーナム効果は受動的な現象を指し示す現象であり、ミルトン話法は能動的な技法です。

以上が、バーナム効果とミルトン話法の違いです。

これらの心理効果を理解することで、自分や他者の心理状態やコミュニケーションスタイルをより深く知ることができるでしょう。

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