私がMTFだと気づき性転換を志すようになってからもう3年くらいの月日がたった。

その間、私の中に『あかり』という名前が湧き上がって来て、それが私の女としての名前なんだと使うようになってきた。

だけど、その名前を知る人は少ないし、認知しても呼んでくれる人は少なかった。

だから、そう名乗って『あかりちゃん』と言われても中々実感が湧かず「どうしてこんなにモヤモヤしてしまうんだろう」なんてずっと思っていた。

だが、つい最近になり私の生活が一変していった。
ライターとして働き、京都に引っ越したことで変わった環境、しかし一人での仕事でメンタルを病んでしまった私は、パートをすることに決めた。

厳密には来週の月曜日から出勤になるが、面接が終わり、会場を後にする時、出口まで案内してくれたスタッフの方が、私にこんなことを問いかけてきた。

「どっちで呼んだ方がいい？苗字？名前？」

私はすかさず「あかりでお願いします」って言ってた。

立ち会ってくれたスタッフの人は、満面の笑みで私に「あかりちゃんね」と言ってくれて、私はその時にやっと自分の女としての名前を実感することができた。

心の底から嬉しかった。

私と言う存在を受け入れてくれ、あかりとして認知してくれている。
今まで抑えてきていたものが、ここなら十二分に発揮できるような気がした。
ライターの仕事もそうだが、こっちの仕事も頑張りたいな。
今まで開放出来てなかった自分を最大限に放出できそうな気がする。

心機一転、京都に来たのは間違いじゃなかった気がする。

頑張ろう、自分のために。
頑張ろう、将来のために。